第69話 お兄様かむばーっく!
コミックファイア様にてコミカライズ連載開始です。
漫画・夏河もか先生
ぎゃんかわレティと麗しのお兄様の物語をぜひご覧くださいませ!
「ここでは見せられませんが、この形代の羽は鋭い刃のようになって敵を攻撃します」
私が確認を取るようにお兄様を見ると、同意するように頷いてくれた。
そして他の生徒たちにも言い聞かせるようにして教室を見回す。
「攻撃魔法については教室ではなく練習場で見せてもらうので、着席するように」
お兄様は受け取った折り紙君1号をそっと飛ばして私に返した。
ちゃんと戻ってくる折り紙君1号に、まるで生き物みたいだって言って、教室が騒めく。
「静かに! 他に特殊な魔力というと……マリア君、君の得意な魔法を教えてください」
おっと。
隣の席のマリアちゃんがご指名された。
そういえばお兄様の登場ですっかり忘れてたけど、平民のマリアちゃんがこの学園に入学できたってことは、何か凄い魔法が使えるってことだもんね。
なんの魔法だろう。
一斉に注目されたマリアちゃんは、ビクビクしながら立ち上がる。
「えっと、あの、私は」
マリアちゃんは注目されるのに慣れてないのか、おどおどと周囲を見回す。
マリアちゃん、がんばって!
心の中で応援していると、マリアちゃんが一瞬私を見た。
私が頷くと、応援している気持ちが伝わったのか、マリアちゃんがようやく口を開く。
「私は回復魔法が使えます」
なるほどー。回復魔法か~。
怪我とか病気を治せる回復術師は貴重なので、少しでも回復魔法に適性のある人は、それを伸ばして回復術師の仕事に就く人が多い。
マリアちゃんみたいに初めから回復魔法が使えるって分かってたら、学園で学ばせるのは当然なのかも。
それにしてもあんな辺鄙な村から、魔法を使える人間が二人も現れたなんて、やっぱりあの土地には何かあるのかなぁ。
と、そこで今ではすっかり執事が板についた聖剣の顔を思い出す。
もしかして聖剣の魔力が漏れ出て影響を受けたんじゃ……。
だってリコリスの花も、聖剣の魔力を浴びて突然変異の黄金のリコリスになったんだもんね。
この仮説はもしかしたら正しいのでは。
なんてことを考えているうちに、クラスメイトたちの魔法の申告が終わってしまっていた。
しまった。全然聞いてなかった。
でもそのうち授業で誰がどんな魔法を使うか分かるから特に問題はないかな。
お兄様がこれからどんな授業をやるか説明をすると、ちょうど良いタイミングで終わる時間になってしまった。
どうしよう。あっという間だった。
くううう。
もっともっと長くてもいいのに。
むしろ一日中お兄様の授業でも問題ありません。
そんな私の願いはむなしく、お兄様は教室から出ていってしまった。
ああああああ。
お兄様、かむばーーーーーっく!
入り口の扉に残る銀の残像を目に焼き付けていると、さっきの三人組が近寄ってきた。
名前なんだっけ。伯爵家、子爵家、男爵家の人たちだよね。
「レティシア様、さっきの使い魔のようなものは何ですの」
伯爵家の、えーと、ドリス・ミュラーが私の机の横に立った。
「折り紙君1号です」
「おりがみくん……変な名前ですわね」
変じゃないもん。お兄様だっていい名前だね、って褒めてくれたんだから。
っていうかこの子たち、何か用?
「魔法が使えないという噂でしたけど、ちゃんと使えますのね」
ちゃんとかどうかは別だけどね。
魔力はあっても、使えないわけだし。
っていうか、面と向かって「魔法が使えないと思ってた」って言うの、失礼だよ。
ムッとしたので、私は無言で折り紙君1号を周りに飛ばした。
「ええ。この通り使えますよ。ただたまにコントロールを悪くしてしまうことがあるので、うっかり制服を切ってしまったらごめんなさいね」
「ひっ」
小さく悲鳴を上げた三人は、凄い勢いで逃げていった。
っていうか、私の方が高位なのに、よくマウント取ろうと思って近寄ってくるよね。
しかもお兄様目当てなのが分かりまくり。
正直、お兄様目当てなんだったら、その家族である私に対してあの態度はないと思う。
本来は私に好かれるように行動すべきでしょう。
まあそういう行動をしたとしても、お兄様の隣は譲りませんけどね!
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