第61話 友達100人できるかな
HJノベルス様より
『グランアヴェール 1お守りの魔導師は最推しラスボスお兄様を救いたい』
発売中です。
イラストのまろ先生の可愛いレティシアと素敵なお兄様の表紙が目印です。
どうぞよろしくお願いいたします。
学園に着いた私はお兄様と別れて教室へと向かった。
学園は14歳から18歳まで通う四年制だ。そこでしっかり魔法の知識だったり剣技だったりを覚える。
基本的に貴族は全員通うことが義務付けられている。
地方に領地のある貴族は、裕福であれば王都にタウンハウスを持っているのでそこから通学して、貧乏な場合は格安で入れる寮から通う。
寮費が格安なのは、地方の優秀な人材の確保が目的だ。
だから成績や素行が悪いと、寮から追い出されてしまう。つまり退学だ。
ただ貴族にとっては学園で学ぶのは義務教育みたいなものだから、卒業できないと貴族としての未来を閉ざされてしまうので、大体は学園でしっかり勉強する。
特に領地を継がない次男や三男は、就職先を探さなくちゃいけないので大変だ。
就職先は、一番人気が文官になって王宮勤務。戦うのが得意なら、騎士団を選ぶ人も多い。
次は神官。
この世界はギリシャ時代みたいに多神教だから、就職先はいっぱいある。妻帯しちゃいけないとかって決まりもなくて、たとえば嫡男が亡くなった場合は神官から還俗して代わりに跡を継ぐなんていうケースも多い。
お勤めも、一日祈りを捧げてる神殿もあれば、大地の女神の神官なんかは、農地の改革なんかを指導していて、それぞれだ。
だから神官も、学園を卒業して気軽に選べる就職先だ。
次に、大貴族の家に雇われること。
使用人とはいっても、家の中に入れるわけだから、大体は同じ派閥から雇うんだけど、優秀な場合は他の派閥から引き抜くなんていうこともある。
そして何にもなれなかった生徒は――普通はそうならないように学生の間に努力するんだけど――領地に戻って、平民として家に貢献する。
なので学園では、高位貴族と下位貴族が交流することが推奨されている。
つまりあれです。学園内では身分差は気にしなくていいっていう校則があります。一応ね。
でもさすがにお兄様とか、一応王太子のエルヴィンに馴れ馴れしく話しかける生徒はいなかったみたい。
というか、エルヴィンはちょっと単純なとこがあるから、おだてられると嬉しくなってホイホイついて行こうとしてたんだって。
それでお兄様が横で変な人が近づかないか目を光らせてたみたい。
学園でお兄様に迷惑をかけるなんて、本当にエルヴィンはダメな子ですね!
お兄様は、二人でいると自分にも変なのが寄ってこないから楽なんだよ、って笑ってたからいいけど。
なんて心の広いお兄様。
さすが私の推し。
とまあ、そんな感じで、学園では身分に関係なく、広く友達付き合いできるかな、って思ってたんだけど……。
「まあ、ローゼンベルク家のレティシア様には一度お会いしたかったと思っておりましたのよ」
「本当に。お噂通り、とても可愛らしいお方ですわね」
「今まで一度もお茶会にいらしたことがなかったから、どんな方なのだろうと思っていました。お会いできて嬉しいですわ」
なんかモコを抱っこして教室に入ったら、いきなり女子たちに囲まれた。
えっ、えっ、えっ。
あなたたち誰?
魔力過多で倒れることが多かった私は、14歳にしてはちょっと小さい。
あとお茶会なんかもしてこなかったから、当然この教室に知り合いなんて一人もいない。
だから私よりも背の高い知らない子たちに囲まれると、威圧感がはんぱないよぉ。
今まで前世も含めて同年代のお友達がいなかったから分からないけど、女の子ってこんなふうにグイグイくるものなの?
ぴえええ。
もうちょっと適切な距離感を所望する!
思わず後ずさったら壁際に追い詰められてしまった。
っていうか、いきなり自己紹介が始まったけど、仲良くしたいならもうちょっとやり方を考えようよ。
「私、ミュラー伯爵家次女のドリス・ミュラーと申しますの。レティシア様と仲良くできたら嬉しいですわ」
「私はシュミット子爵家のイヴリン・シュミットと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「私はハモンド男爵家のローラ・ハモンドと申します。どうぞ私とも仲良くしてくださいませ」
うわー。見事に、伯爵、子爵、男爵と続いてるわ。
爵位順にご挨拶っていう一見礼儀正しい感じにしてるけど、ここは学園で爵位は関係ないっていう建前だから、そんな爵位を強調されても……。
あと、私と仲良くなりたいんじゃなくて、これは多分、婚約者のいないお兄様に近づくためのダシにしようとしている気がする。
私のお兄様専用危険察知センサーがそう言ってる!
友達100人できたらいいなって思ってたけど、こんなお友達ならいらなーい!
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