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【書籍化・コミカライズ連載中】グランアヴェール~お守りの魔導師はラスボスお兄様を救いたい~  作者: 彩戸ゆめ
第ニ章 学園に入学しました

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第52話 学園に入学しました

 小説『グラン・アヴェール』では学園入学前にお亡くなりになっていた、私、レティシア・ローゼンベルクですが、なんと無事にヴェリタス学園に入学することになりましたー!


 わーい。パチパチパチ。


 いやもうホントにね。


 私ってば、原作ではお兄様が学園に入る前年にたった七歳で死んじゃう設定だったから、もし八歳の誕生日を迎える前に魔力過多の特効薬が完成しなければ、お話の通りに死んじゃうんじゃないのかなって思ってた。


 だって聖剣のいた洞窟で特効薬の材料となる黄金のリコリスの花園を見つけたのは良かったものの、すべて根っこで繋がっていて、思い切りよく根っこを切ったエルヴィンのせいでたった一株しか残らなかったんだもの。


 とりあえず王都まで戻って五歳の時のお誕生日プレゼントにお父様からもらった温室に運ぶと、なんとか根付きはしたものの、黄金のリコリスはまったく増えなかった。


 洞窟の環境そのままは無理にしても、なるべく近い状態にしてみようと、温室の壁には岩を置いた。

 そして天井にも布を垂れさせてちょっとだけ薄暗くしてみた。


 温室の意味がないような気がするけど、閉鎖された空間なのは確かだから、黄金のリコリスのための実験場としては最適だよね。


 温室の隣にはロバート先生の住居兼研究室があるから、ロバート先生とお兄様は、それこそずっとそこに寝泊まりをして黄金のリコリスの栽培をがんばってくれていた。


 だけど黄金のリコリスは、いつまでたっても増えなかった。


 それどころか、たった一株しかない花もだんだん萎れてきてしまってて。


 もしかしたら洞窟に刺さってた聖剣の魔力が必要なんじゃないかってことで、聖剣にレプリカを作ってもらって温室の真ん中に刺してみた。


 するとどうだろう。


 今にも枯れそうだった黄金のリコリスはみるみる元気になっていき、かなりの勢いで増えていったのである。


 さすが聖剣というべきだろうか。


 本体のほうはなぜか人化して私の執事になってるけど、レプリカの聖剣でも十分に魔力を放出してくれた。


 聖剣さん、ありがとう!


 でもそのことに気がついたお兄様って凄い!

 さすが前世からの私の推し!


 賢くて優しくて絶世の美形。


 それが私のお兄様――セリオス・ローゼンベルクなのである。


 黄金のリコリスが増えれば、あとはロバート先生の研究にお任せである。


 花の蜜が良いというところまでは分かって、魔力過多の症状をだいぶ抑えられるようになったんだけど、その後がうまくいかない。


 体の成長と共に魔力もどんどん増えてしまっていて、原作と同じ七歳の時じゃないにしても、いずれは魔力過多の発作で倒れてしまうだろうということだった。


 小説でロバート先生が完成させた、魔力過多を完治させる薬。

 絶対に作れるはず!


 そこで私がひらめいた。


 花の蜜が効くなら、プロポリスなら、もっと効くんじゃない?


 プロポリスとは蜂が巣の隙間を埋めるために生成する、天然の樹脂だ。


 植物は自らが傷つけられると、傷口を守るために樹脂を分泌したり、新芽や蕾を病原性の微生物から守ったりするために、傷口に抗菌作用をもった物質を送っている。


 この抗菌作用が、薬に使えないだろうか。


 この世界にもミツバチとクマバチの中間のような性質を持つ蜂がいる。

 ミツバチよりちょっと大きくて、丸くてころんとしていて、毒針を持たない。


 人に良く慣れるので、この温室の中で飼っても問題はない。


 そこでその蜂を温室の中に放して、プロポリスを取った。


 すると、なんと、魔力過多の特効薬がついに完成したのである!




 それはお兄様が学園へ入学する、わずか三日前のことだった。



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