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【書籍化・コミカライズ連載中】グランアヴェール~お守りの魔導師はラスボスお兄様を救いたい~  作者: 彩戸ゆめ
第一章 推しの妹に転生しました

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第17話 お兄様と密談

「お兄様」

「うん」


「一刻も早くお父様からミランダを引き離したほうがいいと思う」

「そうだね」


「お兄様には、何かいいアイデアがありますか?」


 私が聞くと、お兄様は「そうだね」と考える素振りをしながら私を見る。


「レティこそ、何かいい考えがあるのかい?」

「ミランダを物理的に離すのが一番だと思います!」


 私が元気よく答えると、お兄様はよくできましたと私の頭をなでてくれた。

 えへへへ。嬉しい。


「確かに、それは言えるね。でもどうやって?」


「ミランダの領地に風光明媚な場所はありませんか? そこに私が療養に行く事にすればいいと思うの。その間にリコリスの成分を分析して、お父様の解毒薬を作るのはどう?」


「レティをミランダの領地に行かせるのは賛成できないな」


 確かに赤ちゃんの時、床に叩きつけられそうになったもんね。


 でも今の私なら、無抵抗のままやられる事はないし、護衛もちゃんとつけてもらう。

 それに聖剣を見つけたら魔力を扱えるようになって、反撃もできる……と、思う。


「まず父上に相談してみたいところだけど……。既に何らかの薬物を投与されているとなると、普段の様子と変わらないように見えて、実は判断が鈍っているという可能性もある。ミランダを解雇しないのも、おかしいと思っていたんだ」


 衣裳部屋の担当にした後、ミランダはそこでもちょっとしたトラブルを起こしたらしい。

 さすがに王妃の縁戚とはいってもクビにするところなんだけど、なぜかそのまま勤めている。


 そう言われてみれば、確かに不自然だ。


「僕たちだけで解決となると、正攻法ではいかない、か……」


 お兄様は悩むように腕を組む。


 お兄様の横顔をじっと見つめていると、深いため息が部屋に響いた。


「解毒薬を作るためのリコリスは、どうやって手に入れるつもりだい? ミランダの領地から運ぶにしても時間がかかりすぎる」


「エルヴィンに、プレゼントでもらったリコリスを育ててみたいから、鉢植えでちょうだいってお願いすればいいと思うの」


 珍しいというだけで、別に王宮で開発された新種の花という訳でもないから、そんなに苦労しなくても手に入ると思う。


 ただ、もし王妃が難色を示したら、それはそれで考えなくちゃいけない。


「王妃殿下が許さないかもしれないよ?」

「だったら押し花にするのも許してないと思う」


 そう断言すると、お兄様は目を閉じて考えこむ。

 きっと今、物凄い勢いで色んなパターンをシミュレーションしているはず。


 私はお兄様が結論を出すのをじっと待った。


 淡い常夜灯に照らされたお兄様の姿は、まるで彫像のように美しい。

 四年前よりも丸みの失せた頬に、長いまつ毛の影が落ちる。


 少年らしさを抜け出す時期特有の、何とも言えない魅力があった。


「分かった。僕も一緒に行こう。解毒薬の作製はロバート博士に任せておけば大丈夫だろう」


 ええっ。でもそれだとこっそり聖剣を見つけられなくなっちゃう。


 ああ、だけど温室の真ん中にオブジェとして刺す予定なら、偶然聖剣を見つけちゃいましたって事にした方がいいのかな。


 ミランダと私だけより、お兄様がいてくれた方が心強いのは確かだし。


 ……お兄様と旅行、って考えると、心が浮き立つのは仕方ないよね。

 凄く楽しみ!


「さあ、もう遅いから部屋まで送っていこう。それともここで一緒に寝る?」


 ひええええ。

 そんな、お兄様と一緒のベッドに入ったりしたら緊張で眠れません!


 ここは素直に自分の部屋に戻ります。


 そして部屋に戻った私が眠るまでお兄様は手を握ってくれていて。


 悪夢なんて忘れてしまうくらい、素敵な気持ちで眠りに落ちた。


 






 でもその旅行は実現しなかった。

 朝食の席で、私が突然倒れてしまったからだ。



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どうぞよろしくお願いします!

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