表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ連載中】グランアヴェール~お守りの魔導師はラスボスお兄様を救いたい~  作者: 彩戸ゆめ
第一章 推しの妹に転生しました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/131

第13話 誕生日プレゼント

 小説の中のエルヴィンは、金髪碧眼で笑うと白い歯が見える、爽やか系の細マッチョだった。


 俺様で貴族至上主義みたいなところはあるけど、基本的に単純な性格をしているので、勇者アベルにぎゃふんと言わされる事が多い、ちょっと道化師的な役割だったように思う。


 そんな彼の人気が出たのは、その壮絶な最期からだ。


 魔王との戦いの前で四天王と呼ばれる最後の魔物と対峙して、アベルのミスで窮地に陥った時、「ここは俺に任せろ。お前たちは先に行け」と言って相打ちになったのである。


 それでも最後まで平民であるアベルの事は好きじゃなかったらしく「後は頼んだぞ、セリオス」と、最後にお兄様の名前を呟いて倒れた。


 これぞ男同士の友情。

 なんというかもう、最高ですよね!


 ファンの間で、もしかしたらエルヴィンは脳筋なんじゃないかっていう疑惑があったんだけど、それが正しかった事が証明されてしまった。


 王家の教育ってどうなってるんだろう……。


「この俺がわざわざ来てやったのだぞ。もっと喜べ」


「誰も呼んでないのに押しかけたのは誰ですか。しかも近衛を撒いてきましたね?」


 さり気なく私を背中に隠したお兄様の厳しい言葉に、エルヴィンは言葉を詰まらせる。


 ええっ、近衛を撒いてきたの?


 公爵家は王宮のすぐ近くに屋敷を持っているとはいえ、よくここまで無事にやって来たなぁ。

 仮にも王太子なんだから、もっと慎重に行動しないとダメじゃない。


「ちゃんとイアンは連れてきたぞ」


 イアンって騎士団長の息子で魔王討伐の一員だけど、エルヴィンと同じ年じゃないっけ……。

 将来の側近候補として、エルヴィンのお守……じゃない、お目付け役をしている。


 ちゃんと止めないとダメじゃない。


 そう思ってチラリと壁際を見ると、十一歳にしては大きな体を小さくしたイアンが申し訳なさそうに立っている。


 きっと止める間もなく、エルヴィンが飛び出してきちゃったんだろうなぁ。


「エル様はイアンが死んじゃってもいいんですか?」

「は? な、何を言うんだ」


 お兄様の後ろから顔だけ出してエルヴィンを見ると、一体何を言われているか分からないという顔をしていた。


「だってもし護衛が誰もいない時に、エル様がほんのちょっぴりでも怪我をしたら、イアンは死罪になると思いますよ」


「そんな、大げさな……」

「そうですよね、お兄様」


 私の言う事は信じなくても、お兄様の事は信じるだろうと思って話を振ると、賢い賢いと頭を撫でられる。


 えへへ。褒められちゃった。

 って、そうじゃなくて。


「そうだね。他の護衛がいないのなら全ての責任はイアンが被るだろう。レティにも分かるのに、君は……」


 そこはちょっと申し訳ない。


 私は永遠の十六歳だから、実質エルヴィンより年上なのよ。


 五歳の私がこんな話し方をしてておかしいと思われないのは、お兄様がいるおかげだ。


 私のように前世の記憶があるわけでもないのに、五歳の時のお兄様の話し方は、今の私とあまり変わらなかったそうだ。


 さすがお兄様。私とは違う、本物の天才!


「しかし、レティシアは俺の友達だから、来るのは当然だろう」


「今度からはちゃんと先触れを寄越して護衛を撒かないようにして下さい」

「わ、分かった」


 お兄様にこんこんと説教されたエルヴィンは、ちょっと涙目になっていた。


「お兄様、それよりもプレゼントを開けていいですか?」

「もちろんだとも」


 やったー!


 お父様からは温室を、お兄様からはお揃いのブレスレットをもらった。


 温室はいずれ黄金のリコリスを見つけたら栽培できるようにおねだりした。

 ブレスレットにはお兄様の瞳にそっくりな魔石がついていて、防御の効果があるらしい。


 エルヴィンからは……。


 お花のしおりをもらった。


 子供のプレゼントみたい、と思いながら、でも私はまだ子供だった、って思い直して。


 手にしたしおりを見て、驚愕した。


もしも「面白かった」「続きが気になる」などと思って頂けましたら、

広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HJノベルス様より
小説3巻発売中!
Amazonでの購入はこちらです
イラスト・まろ先生

i907487

コミックス2巻発売中!
Amazonでの購入はこちらです

漫画・夏河もか先生
i830252
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ