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便宜上宇宙というが…~宇宙のなかまたち短編集~

太陽の船がゆくよ ~天使の羽根休み~

作者: アマメヒカリ

太陽ってすてきです。

船はだいたい、どこの国、どこの世界、どこの星も同じようなしくみになっている。


おおぜいを

どこかに

運ぶ


という目的には、だいたい同じものが生み出されるようだ。




人にも船があるだろう?

どこかのだれかさんたちが設計図を送ったそうだ。

細切れに少しずつね。

ある時、そのだれかさんたちに会ったことがある。

なぜいっぺんに送らないのか?理由をたずねたら、こう答えが返ってきた。

「だってね、彼ら、驚くだろう?大きすぎるものを送っても、閾値を超えればただの光にしか感じないだろう?」

そうか、と相槌を打ったわたしに更に続ける。

「彼らにとってちょうど良い大きさの設計図というものを研究しているんだ。大きすぎると危険回避のためか無視をするようになってるんだよ彼らは。すごいよね。無視の仕方も様々でね、いちばんすごいのが、君、なんだと思う?」

うーん。わからないな。と私が答える。

「眠るんだよ!」

船の設計図を人にちょうど良く送る研究をしている彼らは大興奮だ。

「信じられないよ!眠っちゃうんだ。すごいよね!」


と、地球でいうところのシリウス辺りの技師たちは、愛すべき地球のひとびとへ向けて、日々奮闘しているようだ。



研究と奮闘の果てに、彼らの設計図を受け取った地球の人の一部が、実際に地球の大陸間をわたる船を造り上げた。


人にはひらめきをかたちにする力がある。


重力をものともせず。

大量の酸素に錆びることもなく。

たいしたものだ。





月が陰なく光るのは、太陽のおかげだそうだ。

それがほんとうかどうかなんて、わたしにわかるはずもない。

季節的に、そろそろ太陽から船が旅立つ頃だというのは、知ってるよ。仕事だからね。



太陽の船にはおもに子供が乗る。

わたしはその船の乗組員。

そう。そういうこと。


太陽の船の発着は、ファイアール、光炎の燃える太陽のかげに寄り添う別次元の太陽にある。

私たちには普段は見えない。透明なゆらめきとしてしか。



地球でいうと冬の頃。

透明なゆらめきは厚みを増して、ゲートを開ける。

わたしたち乗組員は、水で編んだひとりのりシップでゲートから入る。



太陽の船は、音でつくるんだ。

地球でいうところの、倍音というものや、その他の振動を集めて、オーブを構築していく。

振動数が高いので、まるでファイアール、光炎の燃え盛る太陽みたいにみえる。



太陽の船は地球でいうところの冬至の頃、地球のさまざまなところへいき、子供たちをのせる。

星の子たちだ。

すこし疲れた子供たちを、太陽へ招待して休んでもらう。



プレアデスで学んだことのある子供たちは、地球での成果を見せあって楽しむことが多いかな。


地上での営みを終えた星の子もいるから、その子は好きなだけ太陽で休んだあとに根源の光の海へ旅に出る。

どの子も、はちきれるくらいの笑顔でね。



子供は愛しい。

命の凝縮だね。



子供はわたしを見ると天使と呼ぶね。

人のかたちをとった時にしまいきれなかった光が、腕や背中から漏れてしまうのを羽根だと思ったようで、

地球に羽根のある人はいただろうけど我々はそれとは違うよと説明するのも野暮な気がして、そのままにしている。






太陽の船。

星の子供たちを乗せて旅立つ冬の朝。



時々あるのだけど、太陽の船を見る人もいる。

大人も子供も、そういう人はいつの時代もいたね。

夢に出てくる人、明け方に偶然見た人、いろいろだ。

“うつつ” と、夢との間にある国へ旅立つ船。

そんな話を書いた人もいたみたいだ。


人はひらめきをかたちにする力がある。





太陽へ向かうひとりのりのシップの中で、わたしはこの書簡を自らの周囲へ書いている。

そう。ひらめきをかたちにしないわたしは、書簡だけ、友人へ転送する。

ひらめきをかたちにする友人に、わたしができることはこれくらいだ。




太陽に着いたらラッパを吹こう。

わたしだけが持つラッパを吹いて、太陽の船をつくろう。

おおきく、おおきく、美しい船を。

今年も。







太陽といえば?

1 サンバルカン

2 エステバン

3 ラー

どれでも正解!

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