58ケセド
sideユグドラ
「ルウちゃん、エンドはどうだったの?」
僕がそう通路を歩きながら聞くと顔を真っ赤にしながらルウちゃんは顔を背けた。
…可愛い反応するねぇ。
エンドが気にいる訳だ。
僕は黒い短剣をジャグリングのようにくるくる回しながらそれを目で追う。
なんだか甘っとろい雰囲気になってて心地よい。
からかいがいがあるってもんだね。
そんな風にルウちゃんをからかいながら歩いて行き、領地へと着いた。
「ルウちゃん、準備しときなよ?」
「わかってる」
僕が後ろに視線を向けると真っ赤な短剣を十数個周りに浮かべながらまた新しい短剣を増産し続けていた。
その数は百を超えて行き、最後には背中でリングを形成する程に増えていった。
僕が言っては行けないんだろうけどそれ何に使うんだろう…鬼畜かな?。
「ちょっと下がってて」
「え、うん」
ルウちゃんがそう言って腕を交差させるとリングが2つに分かれ、腕に羽のように付いて行く。
「【暴虐】」
腕を振るい、その短剣が十数倍の大きさに広がって街の全体に広がって行く。
それは赤い海となり、街を包み込んでから光となって消えた。
魔法…かぁ、最近急激に強くなって行ってるよねルウちゃんって。
「【断罪】【飛斬】」
僕がそう言って剣を振るうと灰色の光が進んで行く。
人間は誰も居ないが、僕が振るった光は全ての建物を壊して行った。
「君達、ここから立ち去ってくれない?」
上空から青髪の男が降りて来る。
そいつは白を主体に金色の装飾をされたまるで僕のグラムのような戦斧を持っていた。
「そんなの答えは決まってるよねー?」
「却下だよ」
僕は肩をすくめながらルウちゃんを見た。
そしたら僕の真似をするように肩をすくめてそう答えた。
「そっかー…【正義】」
その男がそう言うと、グラムが途端に重たくなり、ルウちゃんの短剣が消えた。
「私の名はケセド・ゲドゥラエル。そしてこの戦斧はザドキエル、魔法を無効化する能力を持つんだ。
君達魔力に頼りすぎてる種族が勝てるかな?」
そう言って奴は私にあいつは突撃して来た。
…こいつこそ力に頼りすぎてるよね?。
僕はしゃがんでから大剣を回すようにして足を斬った。
「ぐ…」
足を切られたそいつは態勢を崩しながらも僕に戦斧を振るう。
私は大剣を道路に刺して戦斧を防ぐ。
やっぱり大剣を折る事は不可能なのか。
ならやりようはあるね。
僕は道路に剣を突き刺し、その周りを回るようにして戦斧を防ぎながら対策を練った。
僕には不可能かもしれないからなー…。
というか、いつの間にルウちゃんは消えたんだろう。
どこかに消えて見えないんだけど…。
僕は黒い短剣を取り出してケセドを突き刺す。
「ぐ…はぁ!」
だがすぐに動き出した。
あいつどんだけタフなんだよ!?。
戦斧が僕の前を横切り、また切り返すように近づいて来る。
僕はバク転の要領で戦斧を蹴り上げる。
その瞬間、あいつは目を見開いていた。
「力が消えても経験がある、だから負けはしないよ」
そう言って僕は距離を取る。
…と言っても何一つ状況は好転してないけど…。
僕は武器を失った、それで相手に与えた傷をあいつは気にせず動いている。
どうすうべきか…。
そう思っていたら声が聞こえた。
「さーよーうーなーらぁ!」
そう言って上空から巨大な鉄のハンマーを持ったルウちゃんが落ちて来た。
「か…!」
奴はそうして力尽きた。
えぇ…。
「魔力が使えないなら能力ならその範囲外から攻撃すればいいのさー!」
ルウちゃんはそう言って声高々に笑っている。
これもエンドが気に入った理由の一つなんだろうなー…。




