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少年は悪魔となる   作者: ルシア
第三章・契約
27/69

25満月の中で

sideルウ

「へぇ…ルウにそんな過去があったとはねー」


そう言って彼は私を見た。


「まぁね、私はまんまと嵌められたのよ」

「というか、盗み聞きとは質が悪いね?」

「さて、なんの事かな?」


エンドはそう言って誤魔化して来る。


「はぁ…」


私は彼の居る方向を振り返った。


「柵の上に立つなんて余程馬鹿なのね」

「さて、なんの事か分からないなー」


やれやれ…。


「しっかし教えてくれても良かったんだよ?」

「いいじゃないか、私は君に話したい事は話してるよ」


私がそう言って笑うとエンドは少し微笑む。


「…そう言ってくれると助かるね」


そう、少し悲しそうに彼は言う。


「あーもう!」


私は彼に抱きつき頭を撫でる。


「ルウ…?」

「黙ってて」


少しの時間が流れ私はエンドを離した。

彼の表情から悲しみは消えていた。


「あんな顔されたらこっちが私が悪者みたいじゃんか」

「エンドの事は信頼してるから泣くな!」


私はそう言って眼鏡を掛け直した。


「もう音楽が流れてるじゃん」


そう言われ耳を澄ますと微かに聞こえるバイオリンの音。


「エンドって耳良いよねぇ…」

「ただ…今から戻るのは…ねぇ?」


肩をすくめて見せるとエンドはこう言った。


「なら魔法の実験も兼ねて…」

「空でダンスなんて如何かな?」


そう言って彼は黒い翼を広げ私に手を伸ばす。

彼の後ろには満月が見える。

彼の姿が光に晒され赤い目と黒い翼がより美しく照らされてなんとも幻想的だ。

私は彼の手を取った。


「【風魔法クリエイト・ウィンド】」


そうエンドが唱え、私達の周りを風の膜が覆い、私は手を引かれ、まるで重力が無いかの如く空を舞う。

エンドは羽ばたき、黒い羽を散らしながら空高くへと進んでいく。

城の頂上近くで彼は止まり、お辞儀をした。

私はお辞儀を返して踊り始めた。

私は手を引かれ流れに身を任せるように回る。


「楽しいか?」

「うん!」


私は彼に身を任せながら楽しい一時を過ごした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ…魔法を使い続けるのは疲れるな…」


そう言ってルウをベランダに降ろした。


「それじゃ、パーティーが終わったらまた会おう」

「そうね!ありがと!」


そう言ってルウは屈託のない笑みを浮かべる。

…これだけでもやった価値は合ったな。

早く行かないとな…。


「行くぞ、ルウ」

「うん!」

「…なんで撫でるのさ」

「特に意味は無いよ」


そう言って俺はルウを撫で続けた。

ふふっ、悪くないな。

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