内戦の屍 ~または魚の食べ方~
人よ・・
魚を食べなさい。
その魚は貴方に食べられる為に、
遥か遠くベーリング海峡より
泳いできた屍だ。
生まれた時から
死に始めた宿痾を持った
血の袋だ。
業の血を含んだ海綿だ。
その魚を食べ、
人よ・・
この地に立つがいい。
お前に思想などいらぬ。
自我など思考ではない。
肉の叫びだ・・
虚洞をすり抜ける死の音だ!!
国家主義者よ・・
フランコの悪質な子供よ・・
憤怒の猿よ・・
人生を叫ぼうと、
偉人を気取ろうと、
その全ての矯激が
骨の潰れる無様な音・・・
海の無作法な足どりに過ぎぬのに!!
魚はお前に食べられる為に生まれ、
では、お前達は
国を正す為に生まれた?
いいや、違う!!
お前は糞になる為に生まれた!!
憎悪は持ち越せぬ。
例え、親の仇であろうと・・
やがて、お前のその
命の蝋が尽きた時に、
お前は魚と共に倒れ、
穢れた土の性質となる。
キリストの元、
ようやく和解するのだ!!
全ての誤解は解けるのだ!!
丸い死体探しの亀達の馳走となり、
あるべき姿に帰れ!!
悲惨を超越する真理とは、
救いだ。
思想など、
ただの命の残響だ。
やがてその悲鳴も忘れ去られ、
物事は沈黙する・・
ミサが始まるのだ。
そして、腐った魚や、
見苦しい糞尿、
内戦の屍達は
今日もキリストに憧れる・・
ある親は子に言う。
[魚を食べなさい。
体に良いのだ!!
我々は王だ!!
王として魚を食べなさい!!]
そうだ。人よ・・
魚を食べなさい。
お前達は無に過ぎぬ。
穴の空いた鯵の目の
空洞の夜の玉座に座る
糞尿の王に過ぎぬ・・