第61話 バグ使いの少女
某大好きなゲームから、キャラクターの名前を借りてしまいました。
さそり座の少女が、それにあたります。
「お前はいったい何者だ! そして、そのバグはどうなっている!」
小早川が紫色のタクティカルフレームに、声をかけた。
「初歩的な罠に引っかかるとは、私も未熟……反省」
相手――声から察するに、少女――は答えずに、動かないでいる。
そこにバグが熱戦を放ち、足元の草を断ち切った。
「バグを支配しているというのか……今までにない事例だ。注意しろ!」
小早川が僕たちに警戒するように呼び掛ける。
「まず、バグから潰したほうがいいと思うよ。タクティカルフレームを相手にしているときに、後ろから攻撃されたら厄介だから」
僕が提案する。
「そうですね――でしたら、この技がいいでしょう。『蟲毒陣』!」
漣が技を放つ。
かなり物騒な響きの技であるが……一体どんな効果があるのだろうか。
「これでバグたちは、最後の一体になるまで魔法陣から出られません。最後は二体同時に倒せば、魔法陣の力を最大限に活用できるはずです」
漣が技の説明をしてくれた。
予想以上に強力な技のようである。
後、漣の武器がクォータースタッフから、扇子に変化していた。
畳んで相手を殴ったり、開いて切り裂いたりと変幻自在の動きを見せるようだ。
魔法のデバイスとしての効果もあるらしく、今は紫色の光を放っている。
「おっしゃ、俺の出番だな!」
晶が『ダイナマイト・インパクト』をスコーピオンタイプのバグに放つ。
相手は光線を放って攻撃していたのだが、晶は気にすることなくそのまま突撃し、一撃を叩き込む!
圧倒的な威力で、粒子となって一体が消えていった。
「くっ、二体は私の後方に。遠距離攻撃に専念するのだ!」
残りのバグたちを、魔法陣の範囲ギリギリに下がらせ、遠距離からの光線に専念させている。
ちなみに今回のスコーピオンタイプも、前回と同じくしっぽの部分が光線を放つように変形したタイプのものだ。
「こちら側に久朗とかいうバカが来ていてくれていればな――あいつとならば打ち合っても、絶対勝ち目があるのに」
どうやらあの戦闘を通して、データを収集していたようである。
「小早川さんは、遠距離からでも一撃でバグを倒せる自信はある?」
僕が尋ねると、うなづいてくれた。
「だったら、一撃必殺で行こう――『飛燕斬・二式=改』!」
僕は遠距離の大技を放つ。
クロスした巨大な斬撃が、遠くにいたバグに突き刺さり、一瞬にして切り刻む。
体力の消費は大きいものの、僕の使える遠距離攻撃の中で最大の威力を持つ技だ。
「『リボルバー・ドローン――オールレンジアタック!』」
小早川さんの方は、拳銃が搭載されたドローンを一気に射出した。
口径から推測すると、おそらくニューナンブでは無さそうである。
それが次々とバグに襲い掛かり、穴だらけになったバグが粒子になって消えていく。
さらにその攻撃は、紫色のタクティカルフレームにも向けられていた。
ただし、しっぽのような形状をした部品によって、ドローンが次々と撃墜されていく。
彼女の意思で動いているようで、まるで第三の手のように滑らかな動きであり、警戒すべき武装である。
「これ、高いんだぞ……なんてことをしてくれる!」
小早川さんが思わずという感じで、ぼやいているが……今はお金のことを気にしている場合ではないと思う。
「あっという間に、三対一だ――痛い目を見る前に、降伏したほうがいいのではないか?」
もう少しで増援のヒーローたちも駆けつけるはずである。
そうなれば、更に状況は悪化するはずなのだが……相手に焦りの色は見えない。
「罠にかけたつもりだったようだが、罠にかけたのはこちらの方だ!」
指を鳴らす音とともに、警察の外側から現れたのは……さまざまなタイプのバグが、数えきれないほどであった。
最低でも50を軽く超えており、中にはギガバタフライなどのような大型のタイプも存在する。
「新島から連絡が入った。応援の部隊たちも現在、バグの大集団と交戦中とのことだ!」
小早川さんが、焦った口調で僕たちに声をかける。
これだけのバグを一度に相手にするとなると――正直、生き残ることだけを考えても厳しいものがある。
「まあ、今回は単なるあいさつ代わりということで、見逃してもらえないか?」
相手の提案に、うなづかずにはいられなかった。
「私の名前は紅羽。ゾディアックの一員で、タクティカルフレームの名前は『スコルピオン』だ――それでは今回はこれにて失礼しよう」
悠々と去っていく彼女と、それを取り巻くように動くバグたち。
まるで軍隊のような動きに、ただ茫然と見送るしかなかった――。
これだけイメージを変えておけば、さそり座の少女の元ネタは分からないと思います。
名前の読みは同じなのですけれどね。




