表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/69

第47話 ネットダイブ

ネット空間は、基本的に宇宙空間と同じ戦闘ロジックが働きます。

そのためネット空間に適応しているヒーローは、宇宙でも同じような戦闘能力を発揮することができます。

「今回用いるのは、ヘッドセット型の没入機(ぼつにゅうき)だ」


 (まもる)先生の講義が始まった。

 ヘッドセット……いわゆるヘルメットのようなものが、全員に渡される。


「没入機には、いくつかの形状が存在する。その中でももっとも広く用いられているのが、このヘッドセット型だ」


 ちなみに技術革新によって、ケーブルを用いなくてもパソコンと接続することができるため、ヘッドセットにはパソコンに接続するためのケーブルはついていない。

 そのため見た目はケーブルのないヘルメットとほとんど変わらず、頭部に若干変わったパーツが加わったような形になっている。


「本格的に没入する場合、カプセル型を用いることもある。これは長時間の没入を行う人間用で、チカもそれを愛用しているのだが……正直あまり、お勧めできないな」


 守先生が、少し困ったような顔で説明する。

 いったいどうしてなのか……?


「あ~……セクハラではないことを、最初に言っておくぞ。カプセル型の場合排せつ物の処理などを機器そのものが行うため、基本的に全裸で入ることになるんだ」

 なるほど、納得。


「チカはカプセル型を愛用しているようだが……生命維持装置が付いているとはいえ、24時間以上の没入は推奨されていない。2日を超えると警告がされ、3日で危機的状況であるという事を周囲に伝えるシステムになっている」


 3日もの間、カプセルの中で身動き一つしない……それは確かに、危機的状況だと思う。


「チカは何度となく、警告を無視しているからな……そういう時にもっとも有効な手段が、LANケーブルを機器から物理的にぶっこ抜くっつうわけだ」


 カイムが補足説明を行う。

 ちなみにこの世界では、高速の無線技術が実用化されているのだが……有線接続における技術革新も同時に行われているため、もっとも速度が出るのは有線接続という状況に変化はない。

 僕たちが用いるヘッドセットは無線接続だけれども、チカは少しでも速度を求めて、有線接続を愛用しているようだ。


「それでは実際に、ヘッドセットを身に着けてみろ……まあ、ヘルメットをかぶるようなものだから、難しいことは特にないと思うけれどもな」


 VR機器とは異なり、ヘルメットには透明なバイザーが付いているだけで、視界を制約しない。

 いざというときに着けたままでも、行動できるように進化した結果である。


「ちなみに、ネットに潜るだけならば、資格がなくても没入機さえあれば行うことができるが……あまり推奨できない。しっかりとしたインストラクターがいる状況で行うことをお勧めする。実際の海でも、ダイビングをするためにはインストラクターが必要だろう?」


 守先生が、補足説明をしてくれた。

 ちなみにみかんが持っているのはB級のライセンスで、自分だけがネットダイブを行える資格である。

 それに対してチカが有しているのは、他人の指導も行うことができるS級のライセンスとのことであった。


「それでは、ネットダイブを行う――キーワードは、『ダイブ(DIVE)』だ」


 守先生の指示に従って、僕達は一斉にキーワードを唱える。


 すると、意識が自分の体から離れていくような、独特の感覚が発生する。

 光の中に意識が溶け込むような感覚があり、自分の体と光の境界が薄れていくような、少し不思議な感覚になる。

 怖さはなぜか感じず、むしろ母に抱かれているような安心感があった。


Hallo(ようこそ) World(この世界へ)


 システムメッセージが表示される。

 そして、光が消えると……そこは広大な黒い空間であった。


「ここがネットの世界……って、なんだか宇宙空間みたいだ」

 

 事前にみかんに様子を聞いていたため、慌てることはない。

 むしろ周りを見渡す余裕すらある。

 遠くの方にはいくつもの星が散らばっていて、本当に宇宙空間のような感覚だ。


「なんだ、誰もパニックを起こさないのか……さてはみかん、先に教えていたな?」

 守先生の機体『シュバリエ』がこちらにやってきた。


「ちなみにこの世界でも、パーソナライズされたタクティカルフレームは使用できるぞ。やってみろ」

 守先生のの声に従って、僕達もタクティカルフレームを呼び出す。


「フェイズシフト!」


 僕のタクティカルフレーム、『オウス』が無事に装着された。


「あと、この空間を移動するには羽などのような推進器が必要になる。久朗(くろう)の『レイヴン』はともかく、ほかのやつらはこれを使え」


 守先生が、マントのようなものを僕たちの機体に装着してくれた。


「これで比較的、自由に行動できるはずだ――ってこら久朗、お前は自由すぎるぞ!」


 言われて久朗を探すと、空を自由に飛び回り、回転や急制動などを行い、思う存分楽しんでいるようだ。

 適応能力が高いというか、何というか……。


「っと、少し厄介なことになったぞ! 近くの領域に、バグのコロニーが発生したようだ」


 守先生が少し、焦ったような声を出す。


「ぶっつけ本番で、いきなりネット空間での戦闘となるが……まずは自分の身を守れ。私やチカがメインになって、戦うことにする」


 ネット空間での最初の戦闘が、こうして幕を開けることになった。

なのでス〇ロボに登場した場合であっても、最初から宇宙への適性があるということになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ