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第43話 結城の新たな力

 体育祭が終わり、僕たちは家に帰った。


「そういえば結城(ゆうき)が戦っているときに、武器が竹刀に変わったようだが……あれはいったい何だったんだ?」

 久朗(くろう)が僕に問いかける。


「うん。新しい能力みたい。それについては今日の訓練で実際に見せるよ」

 僕はそれに答えた。


「「ただいま~!」」


 玄関をくぐり、帰ってきたことを告げる。


「お帰りなさい。お疲れさま」

 母さん――(ふみ)が、それに答えた。


「ごめんなさいね。広大(こうだい)も私も忙しくて、体育祭を見に行けなくて」

「いや、この年になって親が来るというのは、それはそれで恥ずかしいからな……気にすることはないぞ」

 久朗が文の謝罪を、笑い飛ばした。


「あと、肉団子が美味しかった! お弁当、ありがとう!」

 あの肉団子の美味しさは、市販のものでは味わえない。

 (かなで)ちゃんも、更に(さき)ちゃんもびっくりするくらい美味しかったので、感謝を伝えるのは当然のことである。


「広大の仕事の方は、もう少しかかりそうなの。先にお風呂に入る?」

「ううん。先に訓練して、僕の新しい能力について知ってもらおうと思う」

 

 文の問いかけに対して、先に訓練することを伝えた。


 家に隣接した道場に足を踏み入れる。


「実際に見ているから、ある程度のことは分かるが……一体どんな能力なのだ?」

 久朗の言葉から、興味が隠し切れない。


「じゃあ、やってみるね――『ソードチェンジ・バンブーソード』!」


 手に持っていた刀が、竹刀に変化する。


「これは竹刀しか使えないのか?」

 久朗の問いかけに、僕は笑って答える。


「ううん、違うよ――『ソードチェンジ・ウッドソード』!」


 今度は木刀に変化した。


「更に……『ソードチェンジ・ノーマルソード』!」


 そして、いつも腰に下げている刀に戻す。


「今使えるのは、この三種類だね」

「ふむ……それぞれの特性は、どうなっているんだ?」


 久朗が僕に問いかける。


「まず、竹刀は確実に1ダメージ固定みたい。久朗へのツッコミに使うのがメインになりそう」


 その言葉に久朗が、顔をしかめた。


「冗談はさておき、眠っていたり混乱していたりする相手に対して、叩いて正気に戻すために使えると思うよ」

「ふざけた見た目だと思っていたが、意外と有用なようだな」


 久朗の評価が、少し上がったようだ。


「そして木刀は、本物の刀の半分の威力になっているみたい。その代わりに確実に手加減することができるので、不殺に使えるよ」

「これまた有効な能力だな……そして本気の時は真剣を使えばいい、と」


 見た目はともかく、どの形態もかなり有用である。


「この能力には、まだまだ先があるみたい。この能力を含めて、僕の能力はSR(スーパーレア)だったみたいだね」

 どうやら僕の能力は『折れない剣』だけではなかったようで、ホッとする。


 それから久朗とともに、少し訓練をしてお風呂場で汗を流す。


「湯上り卵肌……私だからいいが、ほかのところでその薄い服だと、冗談抜きで破壊力抜群だぞ」


 女顔なので、湯上りの女の子にしか見えないらしい。

 痴漢にあった経験があるくらいなので、ここは素直に受け入れることにする。


「今日の夕食は、オムレツとトマトのマスカルポーネチーズ乗せよ」

 母さんが僕たちに、夕食のメニューを伝えてくれた。


 神崎家のオムレツの具は、ジャガイモ、マッシュルーム、玉ねぎ、ひき肉を炒めたものである。

 それを卵に混ぜてフライパンで焼き、ラクビーボールのような形状に整えたものにトマトケチャップをたっぷりかけるのが、特徴的である。


 そしてトマトのマスカルポーネ乗せとは、カットしたトマトにオリーブオイルと塩コショウをまぶし、ちぎったスイートバジルの葉っぱとマスカルポーネを乗せたものである。

 一般的にはカマンベールやモッツアレラが使われるのだが、マスカルポーネの方が広げやすく、味もトマトとなじんで美味しいのだ。


 どちらも僕たちの大好物。

 体育祭と訓練で疲れた僕たちにとって、最高のご馳走だ。

 夕食が待ち遠しい。

これで、第三章が終了です。

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