第32話 二年生との顔合わせ
関西に住んだ経験がないので、関西弁の間違いについてはご容赦ください。
今日は、二年生たちの練習を見学することになった。
体育祭で戦う相手が、いったいどんな練習をしているのか――とっても興味がある。
校庭に僕たちが向かうと、二年生のグループはランニングをしているところだった。
あの金色のバグと戦った時に見たことのある先輩も、確認できる。
「それでは、全員集合! これからお互いに自己紹介を行う」
守先生が、二年生に集合の合図を書けた。
「まずは神山から、佐藤、船橋、ガイン、ミーシャの順番で行ってもらおう」
「分かりました!」
そろった声で2年生が答える。
「まずはうちからやな……うちは神山楓と申します。関西から来たんで、標準語は勘弁な」
長い髪の毛をポニーテールにしている女性で、凛とした雰囲気がある。
「前に金色のバグと戦った時のことで分かるかもしれんけれど、うちは回復が得意や。薙刀で近接戦もこなすで。なんで『戦巫女』を名乗っておる。タクティカルフレームは『紅』っちゅう名前や。よろしゅう」
回復役なのに、接近戦もこなせる……これは少し、厄介かも。
「次は俺だな。俺は佐藤実だ。拳銃と格闘を得意としていて、狙撃もこなす……そういえばお前たち、俺の妹と知り合いじゃないのか?」
短髪を立てた髪型の彼が、僕たちに尋ねてきた。
「佐藤……という事は、もしかして妹の名前は咲か?」
久朗がそれに答える。
「ああ、咲が言っていた友達っていうのが、お前たちなのか。これからも仲良くしてやってくれ――ただし、手を出そうとするのであれば、覚悟しておけよ」
彼には少し、シスコンの気があるようだ。
「次は僕の番だな! 僕の名前は船橋良。トラップを生み出す能力を持っていて、攪乱や遊撃を得意としているぞ。またトラップを解除するのも得意だぜ!」
少しあどけない感じを受ける少年だが、中身は意外と狡猾な部分がありそうだ。
「それにしても、何度見ても結城は女の子にしか見えないよな……これで男だっていうんだから、神様は何か間違えたんじゃないか?」
そう、こいつがあの「性別詐欺」とのたまった奴だ。
模擬戦の時には、真っ先に狙おうと思っている。
「初めまして! ボクはミーシャといいます。ロシアから来ました」
緑髪の少女が、自己紹介を行う。
頭にウサギのような小型のカチューシャが付いていて、アクセントになっている。
「クォータースタッフで戦います。あと、精霊の力を借りて魔法を使ったり、歌で仲間を支援したりすることができます!」
魔法も使えるというのは、聞いていない!
おまけに歌で仲間の支援までできる……彼女もまた、優先して倒さなければならない相手のようだ。
「最後は俺だな。俺の名前はガインナッセ=クラッシュボルトだ。長いからガインって呼んでくれ」
そして、一番最後の人物が名乗りを上げた。
一言でいえば……「黒い巨人」である。
2メートルを優に超す体格で、筋肉の塊だ。
頭は剃っているのか、スキンヘッドになっている。
「俺はいわゆる盾役だな。ただ油断していると、痛い一撃が待っているぜ」
見ただけでも堅そうであると分かるし、その筋肉は単なる飾りではないのは、容易に想像できる。
何よりもタクティカルフレームなしで、バグを退治できるというのだから……一種の化け物だ。
「五人とも、期待のエースだ。一年生たちは胸を借りるつもりで挑むといい」
守先生が僕たちに、少し安心させるように言葉をかけた。
「ついでだから、一年生も自己紹介するか?」
「分かりました!」
あいうえお順で、漣さん、久朗、晶さん、僕、そしてみかんが自己紹介を行う。
「一年生もかなり、将来有望だぞ。何しろ最低でもR、結城に至ってはSRなのだからな」
守先生は僕たちにも、期待しているようだ。
その期待を裏切らないためにも、頑張らないと!