全ての始まり
ガシャン!
「やっちまった、人なんて居なかったはずなのに」
車のライトが目の前に倒れてる人を映している。
急いで駆け寄るその人は黒いローブ?の様なモノを着ていて抱き起すと不自然なくらいに体が折れ曲がるが…不思議なことに血が一滴も出ていない。
「すぐ!救急車を」
「いや…必要ない」
今まで力なく倒れていた男が急に喋りだした。
「損傷が激しい…残りMPも…このままでは持たない…謝っておく…すまん」
ビック
支えていた体急に痙攣しだし不自然に曲っていた体が動き出した!
「え!?」
そして消えるような声で…
「お前の…体貰い受ける…」
フードで隠れていた顔の部分から黒い霧が吹きだし俺の体を包み出した!
「なんだこれ」
霧はやがて俺の体を侵食するように皮膚の部分から俺の体に吸い込むように入って行く、
それと同時俺は意識が虚ろになって行くのを感じていた。
「意識が…」
くっそ、意識が消えそうになると思いでが走馬灯のように流れてくる。
小さい頃の記憶、学生時代…そして教師なって踏んだり蹴ったりの毎日、
これで終わるのか…
イヤだ!まだやりたいゲームもやりたいこともいっぱいあるのに!
その時一瞬だけ自分の意識が戻った気がした。
それなら!これから出るゲームやアニメ、恋人ができたら、いつも馬鹿にする生徒に仕返しなど、妄想なら得意だ!
するとあの男の声が聞こえた。
「くそ!抵抗するな」
「うるせえ!これは俺の体だ!」
次の瞬間俺の意識が完全に戻った、そして俺の体を侵食しようとしていた黒い霧は俺から離れ人型になり俺に襲い掛かってきた。
「来るな化け物!」
おもいっきりその霧人間を殴ると不思議なことに霧なのに実体があり、しっかりと蹴り上げた感触があった。
「抵抗するな…時間がない…」
「焦っているようだな、それなら」
俺は車に向かって走った。
「させん…」
「うあ、なんだこれ」
霧状の男が手を振りかざすと大量の虫が顔に向かって飛んできて邪魔をしてきて前が見えず何かに躓いて倒れてしまった。
「来るな!」
「あきらめろ…」
倒れながら抵抗するが男は俺の右手を掴みそこから再び俺の中に入り込んでくる。
「やめろーー!」
「くっ、間に合わないか…」
薄れゆく意識の中で願望、妄想、怒りをイメージし続けた、
それからどれくらい経ったのだろうか…
ピーピー!
車のクラクションの音が聞こえた。
目を覚ますと車の中に居た。
「あれ?」
なんともない…まさか居眠りしてたのか?
外から声が聞こえる。
「何止まってるんだ」
我に返り急いで車を走らせた。
「疲れてるせいか、ストレスのせいかな…」
その日はゲームもせずに早く寝た。
~車が過ぎ去った後~
「ここで反応が消えているわね」
そういって道路肩に置いてあったローブと、人間の抜け殻のようなものを拾い上げた。
「とりえあず第一段階は成功したようだけど、慌てすぎよ回収をわすれるなんて…まあ、いいわ私の第二段階へ移行しないと」
そう言って一人の女性が消えた。