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第4話 待ち合わせ

常葉はどんどん女の子っぽくなっていきます。可愛い容姿をもっていたら、その気になるでしょうね。

如月常葉です。

だいぶ、女っぽくなってきてしまったので、一人称は「私」で行きます。


ついに夏休みになりました。


私は24時間女性で過ごしています。


こうなると、おっぱいがないことと、股間に男性の象徴があることがすごく気になってきます。


不便だなあって思う毎日です。


先日、家族に進められて、お医者さんに行ってきました。


性転換について相談にのるジェンダークリニックです。


実はホルモン投与と性転換手術についてすごく関心が沸いてきたんです。

家族に勧められたのがきっかけですけど。


お医者さんは、私が男性であることにまず驚いていました。

しかもホルモン治療をしていないのに

女性にしか見えない私を右左から観察して

絶句。

たいして私の話を聴かず、君は生まれたときから女の子になるべきだったんだねと、

結論を出してしまいました。


ホルモン投与までには、かなりの時間、診察を必要とするみたいなんですが、

私みたいに完璧に女性に見えるタイプなら、親の承諾さえあれば、すぐにでもホルモン治療を開始する段取りをすると言ってくれました。


まあ、まだ、悩んでいるのでと返答し、次の診察日だけ予約して、帰ってきました。

女性になるなんて、つい最近まで思っていなかったので、そんな簡単には決心できません。


待合室には、女性化しようとしている男性や、男性化しようとしている女性がいて、

ちょっと驚きました。


さて、明日はついに、友人の高木朝陽とのデートです。


今日は履いていく靴、ソックス、下着、スカート、ブラウス、バッグ、アクセサリー等、

姉と相談しながら一生懸命決めました。

お化粧については、高校1年生ですので、本格的にする必要はないということになります。

でも、

ファンデーションは塗らなくても、眉毛、まつ毛、リップは

メイクすることにします。

リップはグロスを使います。

メガネはかけません。


声の出し方も確認。

もともと高い声ですが、さらに女の子っぽく聞こえるように姉に聴いてもらって練習しました。


姉の一葉が言う。

「スカート短いから、風とか、階段、エスカレーターに注意してね。」


「うん、大丈夫。ここのところの外出で慣れた。」


「これだけかわいいと、高木君にキスを迫られちゃうかもよ。うふふ。」


「さすがにないでしょ。高木君、ふつうに女の子が好きだもん。

私とキスしたら、ホモになっちゃうって思うよ。」


「そお?

常葉はどうなの?

男の子とデートするって、異常だなって感じる?」


「ううん、

最近は、自分が本物の女の子って思うようにしてるから、ホモって感覚はないよ。

まあ、もし、万一迫られたら、私が女の子らしいからだって思ちゃうかな。」


「なるほどね。常葉の場合、もう女の子になりきってるもんね。」


「うん、最近はそんな感覚になってきた。

女の子の服の方がしっくりくる。

9月に男の子に戻って登校できるかわからないよ。」


「お父さんとお母さんが、学校側に女子の制服で通えないか交渉してみようか?って言ってるよ。」


「ほんと?すごいっ!

そんなことできるの?」


「まあ、どうなるかわかんないけどね。

ただ、常葉の通っている学校、過去に前例があるみたい。

男子になりたい女の子を男子の制服での通学を許可したんだって。

常葉も認められるかもよ。


それより、明日はどこまで高木君にその可愛さをアピールできるか楽しみね。」


「うん、それってすごく関心がある。

もし、私に惚れちゃったら、私も本格的に女の子めざそうかな?


女としての私を好きになってくれる男の子がいるなら、

女子になるのが正解かもしれないし。」


「ふふふ、前は女の子のかっこはしたくないって言ってたのにずいぶん変ったわね。」


「おかげさまで、女の子でいるのが楽しくなっちゃったからね。」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



そして、当日がやってきた。


私は最寄りの駅(神奈川県の某駅)ではなく、横浜駅で朝陽と待ち合わせた。


なんとなく、地元ではなく、横浜で待ち合わせたくなった。

女装した私をわかる人はいないと思ったが、デートの待ち合わせは地元では恥ずかしい。

そこで、東京への中間地点である横浜で待ち合わせになった。


待ち合わせ時間より20分くらい前に、待ち合わせ場所で待っていると、

人相の悪いチャラい若い男性二人組に声をかけられた。

ちょっと早く家を出てしまい、早く着いてしまっていたのだ。


「お姉さん、一人?」

ナンパだった。

「人と待ち合わせしています。」


「ええーっ、そんなのいいじゃん、俺たちとどっか遊びにいこうぜ。

そうだ、今がだめなら、連絡先教えてよ。

別の時に遊ぼうよ。」


ナンパ男たちは、けっこうしつこかった。


私が、走って、逃げ出したくなった時、

「おい、やめてくれよ。俺の連れだ。」


朝陽が現れて、私の手をしっかり握った。

朝陽は身長178センチでけっこうがっちりしている。

喧嘩が強いかどうかはわからないが、すごい怖い目でナンパ男二人を睨みつけた。


「ちぇっ、彼氏つきか、行くか。」


二人は立ち去った。


「大丈夫か?常葉。

気をつけろよ。いつ来たんだ?」


「あ、ありがとう。朝陽。私15分前から来てた。」


「俺は12分くらい前だ。

来たときに、常葉はすでに二人組につかまって、俺に気づかなかったんだよな?

俺は俺で、常葉の姿があまりにも変わっているんで気づかなかった。


えらくかわいい子がナンパ男につかまってるなあ、助けに行くべきかな?でも、その前に

常葉を見つけなきゃと思ってたんだけど、


よく見たら、常葉に似てるから、つかまってるのは常葉だってわかって、

慌てて今来たんだよ。

悪い、気づくのが遅くて。


でも、すげえ可愛いよ。


ナンパとか、痴漢とか気を付けた方がいいぞ。」


「ほめ過ぎだよ、朝陽。

でも、助けてくれて、ありがとう。


きょうは、一応デートだから、ずっと手をつなごう!」


そう、私を救ったあとも、朝陽は私の手を握ったままで、私も、手を離そうとしなかった。


「ええっ?」

朝陽は、手をつないでいる事実に気づき、顔を赤くした。


そして、恥ずかしそうに、


「そうだな、デートと言えば、そうだよな。

恋人つなぎって練習でやってみたいんだけど。」


「いいよ。やろうか。」


男同志であったが、自分を助けてくれたし、可愛いとほめてくれた朝陽と手をつなぐのは

全然抵抗がなかった。

いや、むしろ手をつなぎたいと思った。


朝陽がどう思っているかわからない。

単に流れでそう言っているだけだろう。


でも、いままで、女子にしか恋をしたことのない自分が、男子相手に恋心を持ち始めているような

気がしてきた。


なんとなく恋が始まる予感?

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