第14話 ダブルデート
あと少しで終わりです。
如月常葉です。
学校がない休みの日に東京まで出てきてます。
食のフェスティバルというイベントに来てるんです。
私たち、高校生男女4人組はものすごく盛り上がりました。
何て言ったって、食べ盛りです。
そして、4人とも好き嫌いがありませんでした。
「いっぱい食ったぞー。満足。」
「私、あんなおいしいお肉食べたの初めて。」
「マグロ丼もうまかったぜ。」
「私、牛タン最高って思った。」
4人は大満足して、会場を後にしました。
その後は、都内の遊園地に向かいます。カップルと家族連れが多い場所です。
純菜が突然切り出します。
「ねえ、石川君と事前に打ち合わせしたんだけど、遊園地なんだから、男女のペアで行動しない?
そっちの方が青春ぽいしさ。
私と石川君で事前に調べておいたアトラクションに行くからさ、常葉と高木君は二人ですきなアトラクションに行ってよ。
帰る時の待ち合わせ場所と待ち合わせ時間だけは決めとこう!」
石川君も続きました。
「遊園地なら男女のペアで行動した方が楽しいぞ。
俺は純菜と一緒に行くから、高木と常葉は二人で好きなところに行けよ。
じゃあな。」
何と、石川君は純菜の手を掴み、ドンドン先に行っていしまいます。
わーっ、純菜って積極的。石川君もまんざらではなさそう。
なんか、今日中に恋人になっちゃいそうじゃない。
もうサポートしなくてもいいかな?
「なんか、あの二人うまくいってるみたいだな。」
「そうね。」
「じゃあ、俺たちは俺たちでデートするか?」
「うん。」
朝陽は私の手をつかんだ。そして、恋人のように手をつなぎながら歩き出した。
「石川たちが手をつないでたんだから、俺もしたくなったんだ。
いいだろ?」
「うん。手をつないでいた方が楽しい。」
私たちは、完全に恋人モードで遊園地内のアトラクションを楽しんだ。
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さて、そのころ、
俺、石川優人は、隣を歩く純菜に見とれていた。
初めの勢いのまま、手をつないで歩いている。
こいつ、可愛いなあ。
今まで何で気づかなかったんだろう?
今回、こんな企画を考えたんだから、
やっぱり彼氏なんかいないんだろうな?
「高木たち、うまくいってるかな?」
「絶対うまくいってるよ。あの二人相性いいもん。」
「俺たちも相性いいかなあ?」
「ふぇっ?」
「突然だけど・・・
純菜と付き合いたいんだけど、どうかな?
俺、相性いいと思うんだ。」
俺は、なんとなく自然の流れで、純菜に告白してしまった。
もう、心の声が出てしまったとしか言いようがない。
その瞬間、笑顔だった純菜の顔がこわばる。つないでいた手も放した。
そして、その場所で、手で顔を隠し、うずくまってしまう。
「どうしたんだ?純菜?俺、変なこと言っちゃったか?
告白はまずかったかな?」
純菜はゆっくり立ち上がる。
そして、回れ右をして、俺に背を向けた。
何か泣いている。
「わっ、ごめん。
いきなり告白なんて、ないよな。
そういえば、今日は高木たちをくっつけるのが目的だよな。
俺って空気読んでないな。
ははは。」
その瞬間、純菜が振り返る。目が真っ赤だった。
「ばかっ!!」
そう、言うなり俺に抱き着いてきた。
柔らかい体の感触と、コロンの甘い匂いを感じる。
「今の告白取り消せないからね!
私、優人の彼女になるから。
もう離れない!
ずっと好きだったんだから。」
「ええ?
そうだったの?」
「・・・」
「・・・」
二人はしばらく沈黙した。
「純菜、観覧車乗ろう!
観覧車なら、二人きりになれるぞ。」
「うん。」
その後は、再び黙り込んだ二人は、しばらく列に並んで、観覧車に乗り込む。
向かい合って座る俺たち。
純菜は下を向いている。
俺は、固まってしまっている純菜に声をかける。
「今まで、純菜の気持ちに気づかなくてごめん。妹ばかり気にしてたから。」
「ほんとに鈍感だよ!こんなに可愛い子が近くにいたのに!」
やっと、純菜が顔を上げる。
ちょっと不機嫌な顔をしていたが、
「でも・・・許してあげる。」
と言って、俺の方の席に移ってきた。
そして、俺に寄りそうように座った。
柔らかい身体の感触を感じる。
いい匂いもする。
俺は、思わず肩を抱いてしまう。
そして、顔を見つめる。
目があった瞬間、純菜は目をつぶった。
あ、キスモードだ・・・
これはキスしないといけない。
俺は彼女の唇に自分の唇を重ねた。
そのあと、観覧車の中で、軽いキスを何回も重ねる。
そして、そのあと純菜は
「わあっ、恥ずかしい。」
と言って俺の胸に顔をうずめた。
「純菜、これからよろしくな。」
「うん。」
あとは、あいつらだけど、うまくいってるかなあ。
「もうすぐ観覧車下についちゃうな、純菜、あと一回キスしよ。」
「うん、いいよ。」
俺たちは観覧車が下に着く前にもう一回キスを楽しんだ。
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常葉です。
遊園地のアトラクションをいろいろ楽しんでいた私と朝陽でしたが、
観覧車の前を通った時に、私は見てしまいました。観覧車の中にいる純菜と石川君を。
隣のいる朝陽をちょっと見上げたけど、気づいてないかな?
もう一回、純菜たちを見ます。
わっ、キスしてる!
今日一日で、そこまで接近したんだ。
もう恋人になっちゃったんだ。
私も負けてられない。
私は思い切って、朝陽に声をかけました。
「ねえねえ、観覧車に乗らない。」
「えっ?観覧車か?しばらく乗ってないなあ。
よし、乗るか、景色よさそうだし。」
観覧車を待つ列に並ぶ私たち。
列は結構混んでいて、並んでいるうちに純菜たちは降りてしまい、鉢合わせはありませんでした。
純菜、すごい。石川君をどうやって口説いたのかな?
いや、石川君が覚醒したのかな?
純菜可愛いからな~。
夢中になっても不思議ないね。
観覧車の順番がやってきました。
二人して乗り込みます。
私は、最初っから、朝陽の横に座りました。
恋人モードです。
朝陽はちょっと驚くけど、別に嫌がりはしません。
「一緒に座れば、一緒の景色が見れるな。」
なんて言いました。
観覧車が上に上るにつれ、
私は、心の中でキスしてほしいと思います。
でも、私の方からは言えません。
だって、まだ中度半端だもん。そのうち女の子の体にはなるつもりだけど。
私は、朝陽の顔をじっと見てしまいます。
ほのぼの恋愛で終わらせるつもりです。