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第13話 シスコン男

高校生のダブルデート、いいですね。

何となく初々しくて、

青春ぽくて

楽しそう!

石川優人です。


俺は、シスコンだ。

文句あっか?

妹が超絶に可愛いから、誰にも渡したくないとずっと思っていた。

小学校も中学校も、なるべく一緒にいた。

妹も慕ってくれて、誰もが認める仲良し兄妹だ。


ちなみに、妹の友梨佳はマジメで清楚系だ。


中学に入学後は生徒会に所属して、規律や校則をきちんと守るタイプ。

成績も優秀。

親からもよく褒められる。

俺も褒めた。



俺たち兄妹は、仲が本当にいい。


子どもだけでの遠出が許されるような年齢、すなわち中学くらいになると、

兄妹でデートするのが休日の定番になった。


そして、俺が高校1年生、妹が中学3年になっても、デートを繰り返していた。

俺はこの兄妹の習慣がずっと続くと思っていた。


でも・・・

高校2年になり、妹が別の高校の1年に進学したら、

ちょっと雲行きが怪しくなる。


妹が、

「お兄ちゃん、彼女作ったら?

私、同じ高校で付き合いたい人いるんだ。

お兄ちゃんとデートするのはやめる。

絶対デートしないとは言わないけど、

原則しないよ。

そうじゃないと、お兄ちゃんに彼女できないし、

私にも彼氏ができない。」


「ええっ、お前好きな男いるんだ?

許さん。

どこの誰だ。」


「あわてないで!

まだ具体的な話はないの。

なんとなくいいと思う男子生徒が何人かいるってこと。

まだ、入学したばかりなんだから、あわてて彼氏をつくらないよ。

でも、その準備として、お兄ちゃんと私はデートをするべきじゃないと思うの。

わかった?」


「冷たいこと言うなよ。」


まあ、嫌われたわけではないが、これで、妹を休日に誘いにくくなったのは

間違いない。


その話を、仲間の高木朝陽と、中学からの知り合いの草加純菜に教室で話してしまう。


朝陽は

「わかるよ。妹さんの気持ち。

高校入ったら、普通に恋愛したいだろ?

優人も妹愛から卒業だな。」とコメントし、


純菜も

「そうよ。妹さん、可愛いからモテモテみたいよ。

黙って彼氏作っちゃっても、不思議ないんだから、予告してくるだけ、

お兄ちゃんのことを思ってくれてるんだよ。

うん、友梨佳ちゃんから卒業だね。」

と絶望的なことを言う。


「純菜、俺がどれだけ妹のことを好きかわかるだろ?

妹は清楚でお嬢様っぽくって、もろ俺の好みなんだ。」


「どうせ、私はギャルっぽくて、ビッチっぽいと思ってるんでしょ。」


純菜はプイっと横を向いて、他の女子の方に行った。


俺は、純菜のギャルファッションは別に嫌いではない。

スタイルがいい彼女にとっては、すごく似合うファッションだ。

彼女は成績優秀で、クラスのリーダーシップも握る。

ある意味、友梨佳と似ているのかも。

ただ、長年の友達関係で、恋愛対象にならなかった。

それに、笑っていたと思ったら、今みたいにすぐ機嫌を損ねるし。

難しい相手だ。

そういえば、純菜って、可愛くて、スタイルがよくて、

男にモテるみたいだけど、彼氏を作らないなあ。なんでだろう?

まあ、うちの学校ではギャルっぽいのが苦手な男子が多いからなあ。

強そうだし。


でも、あいつと二人であるいたら、エッチな気分になるかもな。

あのウエストの細さとミニスカートと胸の大きさは、たまらない魅力だ。


ははは、いまさら、あいつのことを恋愛相手には考えにくいなあ。


俺は、ぼんやりと考えた。



そして、6月になる。

妹は、ちょっと冷たい。

少しだけなら、外出に付き合ってくれたが、前みたいにいかにもデートという外出はなくなった。

寂しい。

まだ、彼氏は作ってない。作っても秋以降かなと言ってくれたのが救いだ。


そんな状況のとき、

小中高と

腐れ縁の純菜から提案があった。


何と都心で開かれる「食のフェス」の5000円分のタダ券4枚をゲットしたから、

俺と、朝陽、常葉の4人で行こうと誘ってくれたのだ。


俺は、けっこう食いしん坊だ。

チラシに書いてあった地方のグルメをみて、よだれがでそうになった。

妹の件でちょっと元気がなかった俺はたちまち元気になった。


「おおっ、行きたい!オッケーだ。」


でも、俺は気をつかった。


「あれ、待てよ。

いつもの仲良し4人組の後の二人の女の子は誘わないでいいのか?」


「うん、あの子たちは最初に誘ったんだけで、都合悪かったんだ。

常葉は大丈夫だった。

それで、あとの二人は自動的に高木君と石川君になったの。

だって、常葉は高木君と仲いいじゃない?」


俺は納得した。

それなら女子の人間関係に問題はない。

あれっ?

でも、4人で行くって、なんかダブルデートみたいだなとちょっとだけ思った。



そして、その日の夜、純菜から電話があった。


「高木君と常葉をくっつけちゃおうよ。」ということを言ってきた。

「なるほど、いいね。」俺は、ちょっと興奮した。

あの二人の煮え切らない関係にはちょっとイライラしてたんだ。

二人は恋人になるべきなんだと俺は思っていた。


今回の提案は確かに、偶然にチケットが手に入ったことや、純菜の女友達二人の都合が悪かったことから

出てきた話かもしれないけど、純菜はこの話にかこつけて親友の常葉を何とかしたいと思ったみたいだ。

なんか、ワクワクしてきた。

人の話だが、二人の純情さをよく知っている俺としては、ぜひくっつけたいと思ったのだ。


俺自身の恋愛のことは全く頭から抜けていた。


純菜との電話を終えて、リビングに降りて冷たいものを飲もうとすると、

妹の友梨佳と冷蔵庫の前で鉢合わせした。


「来週の週末は、常葉、純菜、朝陽と一緒に東京へ行ってくるよ。

ちょっとイベントがあってな。」


友梨佳は、その3人を知っている。会話の中でよく出している名前だからだ。

さらに、純菜はものすごく知っている。

小学校、中学校一緒で、けっこう遊んだことがある。純菜の妹とは友達でもある。


友梨佳はすごく嬉しそうな顔でつぶやいた。

「純菜さんと遊びに行くんだ!

いいんじゃない?」


俺は、友梨佳がなんで機嫌がよくなったのかわからなかったが、とりあえず妹の笑顔が見れてよかったと思った。



・・・・・・・・・・・・・・・


私は、石川友梨佳です。

高校1年生。

先ほど、私べったりで、彼女を作ろうとしなかった兄の優人が信じられないことを言いました。


なんと、男2人、女2人のグループで、休みの日に遊びに行くみたいです。

女の人の一人は如月常葉さんって言って、本当の性別は男性なんだけど、超美少女にしか

見えない人。近々、性転換手術もするから、ほぼ女の子とカウントしていいでしょう。

以前の兄の話では、今回のメンバーに入っている高木朝陽さんとの恋愛が発展しそうということでした。


と、なるとですよ。

4人の後の二人である兄と純菜さんがくっつく可能性があるってことじゃないですか。

これは大ヒット。

純菜さんが兄のことを好きなのは小学校からわかってました。

純菜さん、スタイルがよくて可愛くて、超モテるのに、兄一筋でした。

でも、兄は全く気が付かないんですよ。

ひどい話でした。

私がしゃしゃり出て、変なことになったら大変だと思って、何も言わなかったけど、

ついに、ここに来て動きがでてきたんですね。

純菜さん、ファイト!

ぜひ、将来は私の義理のお姉さんになってほしいなあ。私、純菜さん大好きだし、

純菜さんの妹とは大親友だしねっ!


とりあえず、このままうまくいけば、私も彼氏をつくりやすくなるっ。

もうすぐこのお話もおしまいです。

私は純菜というサブキャラがお気に入りです。

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