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魔導士 マルス  作者: 白井 みちる
第一章
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subject : 対策2

スアレフ目線です。

「幹部の動きは確認が取れていないらしいの」

その瞬間、ゴーロ=イグナーツは組んでいた腕の筋肉が動いた。

その瞬間、ヨシュカ=アーデルベルトはメモを書く手が止まった。

その瞬間、ヴィルヘルム=アドラーは目元の筋肉が動いた。

「あらら」

アドラーは困ったように手を挙げた。

全員が知っている。幹部の指揮官を見つけ出さいと、その後の対策が完璧に立てられないことを。

「肝心なところだ。決行される日までに見つけろと伝えておけ」

マルスが私をまっすぐに見てそう言った。

ただ、それだけだ。

それだけのはずなのに、味方であるはずなのに、私の背筋を冷たいものが突き抜けた。

「はい」

マルスから視線を外せない。


戦闘のこととなると、マルスはいつも万全の態勢で臨みたがる。たしかに、死にたくないし大変な戦いは避けたい。それでもいつも疑問に思う。

どうしてそんなにも。

と、同時にやはり尊敬はする。

マルスは私が見てきた魔導士の中でも優れた魔術の才能と広い視野、高い状況判断能力を持っている。それに加え、隙のない徹底的に敵を追い込む計画。強いに決まっている。彼が魔術師になってから早8年。私は1度たりとも彼が負けるのを見たことがない。

「それで、今回動くのは少人数らしいから、3人でもいいんだけど」

無理矢理にマルスから視線を外し、全員を見渡した。

「幹部の確認が取れていないこともあって、4人でお願い」

「えー、スアレフもついてくるだろ~?」

アドラーが机に寄りかかって聞いてくる。

「え?うん、とわたしは・・・」

ちらりとマルスを見る。

連れて行ってくれないかなー。

そんな期待を込めて。

「アドラー。今回は相手が自由で気高いオオカミカールロルフだ。スアレフは連れて行かねえ」

私はマルスから目を外してふくれた。

「残念ですが、僕もマルス君に賛成します」

アーデルベルトの言葉を聞いて本当に肩を落とした。どうやら今回はどうしても連れて行っては貰えなさそうだ。

「まぁ、気ぃ落とすなオジョーちゃん。今回は裏でフォローを頼むぞ?」

「はい」

イグナーツがなぐさめてくれていることはわかっている。

うん、次、次。

「それで今回、自由で気高いオオカミカールロルフの目的は」

私は唇をなめた。おぞましい言葉が私の喉から発せられることを知っていて。

人工人間じんこうにんげんの研究材料の捕縛。つまり子供の誘拐」


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