初旅行
「やあ会いたかったよ。それじゃ行こうか」
「へっ?」
目の前の男がそういうと足元が急に頼りなくなり、どこかに落ちて行くような感覚が自分を襲う
「ちょっ。何が起こっ・・」
そして俺は気を失った
「おい!起きろシオン!!」
重そうな金属鎧を身にまとった筋骨隆々のおっさんが叫ぶ
「ん・・・ここは・・・」
「まだ寝ぼけてるのか!時間がないぞ!顔を洗ってさっさと集まれ!あと五分だ!!」
「・・・すみません、ゴードン教官。すぐ行きます・・・」
教官の大声で目を覚ます。
急いで準備をしながら頭を必死に動かす。
俺の名前はシオン。さっきの教官はゴードン。ここはある人類の敵を打倒するために作られた修練場だ。
使い古した服に腕を通し荷物を持つとノブに手をかけ・・・
「痛っ!」
頭に鋭い痛みが走る
(おーい、聞こえてるー?)
その瞬間、悠斗の魂が目を覚ます。
(おい!どういうことだ!どこだここは!)
(またまたーwわかってるくせにー)
「いてて。ってやばい!早く行かないと教官にどやされる!」
(???どうなってる?)
(今君はそのシオンってやつの体の中、別に君が彼の体を乗っ取ったってわけじゃあないから気にしなくていいよ)
(は!?シオン!?ちょっと待て!落ち着け!最初から最後まできっちり余すことなく全て!そう!全て話せ!!)
(まあまあ落ち着けよ。落ち着くべきは君だ)
(早く!!)
(ハイハイ)
「シオン!何やってた!!遅いぞ!!」
「すみませんっ!」
シオンが外でどやされてる間に説明を受ける
(ふう、つまりこうか?)
1,不思議な男の名前はヨミである
2,今自分の体はシオンという男のものである
3,悠斗の魂だけをシオンの体に入れて、シオンは気づいてない
4,悠斗はシオンの魂から彼の知識を得ることができる
5,ここは地球ではなく、さらに言えば同じ世界ですらない
6,悠斗はここで成長しなければならない
(そうそうそんな感じかな?)
(なんで?がついてんだよ。それに最後の成長ってなんだよ)
(成長は成長だよ。精神的な、ね。)
(そもそもなんでこんなところに連れてこられたんだ。意味がわからん。もしかして夢か?夢なら全部説明つく)
(夢じゃないよー。僕が君をここに連れてきたのは君に成長してもらうためさ。簡単に言えば親心?みたいな)
(親心?なあおれ元の世界に戻れない(ジリリリリリリ!!!!)うるさっ!)
(ごめん。もう行かなきゃ。また顔出すよ。最後に、君が元の世界に戻るには成長すれば大丈夫だ)
(は!?おい!ちょい!待って!おーい!!)
(ただいま霊波の届かないところにいるか、電源g(ふざけんな!!!)・・・じゃ)
シーン
(ほんとに行ったみたいだな・・・)
まったく、なんでこんなことになったんだ?
まだ夢と言われた方が納得できるんだが・・・
ほっぺたを引っ張ってみても痛みが走るだけ
とりあえず今はここが現実だと考えてやって行くしかないか・・・ ふう・・・