木乃優斗
本日二度目です
君はどうして意見を言わないの?
だって合わせる方が楽じゃないか
8月10日(土)
「おーい、優斗にいちゃん起きてー」
「んー?おはよう優奈」
寝ぼけ眼をこすりながら起き上がる
汗だくのパジャマを見て夏特有の熱気に嫌になる
「うわ、汗だくじゃん。シャワー浴びてきたら?。風邪ひくよー」
「そーする」
幸い時間には余裕がある
「じゃあ私、朝ごはん作ってくるね」
「ああ」
答えながら押入れから制服とtシャツを取り出す
タオルはあっちにあるはずだ
シャワーを浴びながら今日の晩御飯を考える
中学2年の頃女手一つで自分を育ててくれた母が他界した
それからというもの妹の木乃優奈と二人っきりで暮らしている。
金銭的には母の生命保険がおりてかなり余裕がある
とはいえ自炊しないわけにはいかんだろうということで朝食は優奈、夕飯は俺で持ち回りで作っている
ちなみに昼食は学校の学食だ
スッキリしたところでシャワーを止めタオルで拭いてから制服を着る
リビングから美味しそうな匂いが漂ってくる
「あ、朝ごはん出来てるよー」
「うん、ありがとう」
今日の朝ごはんもいつもどおりパンとスクランブルエッグ
「優奈まだ卵焼きできないのかよ」
「う、卵焼きって難しくない?」
半ば呆れながら優奈を見る
優奈はどうしようもないほどに料理が下手で、このスクランブルエッグは卵焼きの残骸なのだ
「ま、まあいいじゃん。これはこれで美味しいよ」
そんないつもの会話を楽しむ
「そういえば晩御飯何がいい?」
結局さっきは思いつかなかったのだった
「にいちゃんいっつもそれ聞かない?」
「何かを決めるのは苦手なんだよ」
「じゃあパスタ。ペペロンチーノがいいなあ」
「オッケーだ。期待しとけ」
「にいちゃん料理得意だもんねー」
・・・なんでそんなに棒読みなんだ
「あーあ、私もにいちゃんと同じぐらい料理ができればなー。いや3分の1でもいいや」
「いつも教えるって言ってんのに」
「ぶ、部活が大変なのよ」
「いっつもそうやって言い訳使いやがって」
「あ!そろそろ時間やばいよ。学校行かなきゃ」
逃げたな・・・
とはいえ実際やばい冷蔵庫の中身を確認してさっさと出かけないと
優奈が出かけたのを確認して、鍵を閉め自分も学校へ向かう
途中で学生らしき集団が歩いている。
隣の高校の生徒だ
ウチの高校と違って土曜日は休みなので仲間同士で遊んでいるというところだろう
正直羨ましい
「あーあ、中学生の時が懐かしいなあ」
「おーい、優斗ー!!」
振り返ると同じグループに属している斎藤樹が走ってくる
「よう樹」
「まさか通学路で会うとはな!」
「そーだな。ところで随分と上機嫌だがどうしたんだ?」
「そうなんだよ!聞いてくれ!実はな・・・」
樹は昨日会ったことをハイテンションで話し始める
・・・正直同じグループと一緒にいるのは気を使う
というのも高校生とは面倒くさいもので属するグループで高校生活が決定すると言っても過言ではない
しかもただ話に乗ればいいという訳ではなく、盛り上がるようにうまく合いの手を入れなければ無口なヤツ、ノリが悪いヤツとして迫害される
だが、まあそれも慣れてしまえばそう大変なことでもない。
だけどそれができないヤツも、当然存在してしまう訳で・・・
そんなことを考えながら樹とともに学校への道を歩く
さあ今日の1日が始まる。
よろしければアドバイスを下さると幸いです。参考になりますし、何よりやる気が増えます!




