子狼の対戦相手
翁め、いつか仕返しシテヤル。
『フフフッ。皆、自己紹介は済みましたね』
おっと。暗い思考をしてしまった。どうやらボクは顔に出やすいようだから注意しないと。
『フフフッ。それは無理そうですね』
「えっ!? それって一生考えてることだだ漏れ!?」
『フフフフッ。それはシロウ、アナタ次第ですよ』
う~ん、指摘されないと気付かないから……もしかしたら、一生だだ漏れかも……。
『フフフフッ』
「シロ君、分かりやすい」
「プププ~」
お、おお。母さんだけでなく、ハクとスーにも分かりやすいのか。……スーはよく分からないけど、きっとそうなんだろうな。……普通にこっちの言葉解ってるみたいだしね。
『フフフッ。さて、そろそろ試練を受けれるか、否か……ここにいる者たちには手合わせをしてもらいます』
ここにいるって言うと……ボクとハクそれにスー、ハティアにスコル、グラニアとレグルス……ん?
「ねぇ、母さん。一人余るんだけど、その一人はどうするの?」
『フフフッ。そうですね……では翁、シロウと手合わせしてくれませんか?』
「え!?」
「フォッフォッフォ。儂は構わんぞ?」
「いやいやいやっ、さっき翁は手合わせの相手じゃないって言ってたよね!?」
『フフフッ。物事とゆうのは、絶対に……とゆうことは無いのですよ?』
嘘つき! また……裏切られた!! とゆうかボクと翁が試合するのは決定なの!?
「フォッフォッフォ。まあそう落ち込むでない。手加減はするぞ? まあ、何時もの修練の稽古以上には厳しくするがのう」
『そうですよシロウ。何事も経験ですよ?』
くそぅ。避けられそうにない。と嘆いているボクの肩に、ポンと手を置くハク。ハクゥ……ボクの癒やしの――
「――シロ君、ガンバ」
くっそぅ~。味方が、味方がいない!!
「それでは、私たちの組み合わせはどのように決めるのでしょうか」
あれ? グラニアさんや、話進めちゃいますか、そうですか。本格的に味方がいない……スコルが哀れむようにこちらを見ているが…………そんな目で見ないで、余計傷つく、泣くぞ。あと、レグルスさんや、あんたはなんでそんな羨ましそうな目で見てんのさ! そんなに翁と闘いたいなら替わってよ!? なんで何も言わないのさ!? 鳴くぞ、涙流しながら吠えるぞ!!??
『……そうですね、闘いたい相手がいるなら……その要望に添う形にしますよ』
その言葉に真っ先に反応したのはレグルスだった
「ならば……オレは、スコルとの手合わせを所望する!」
「……わかった。オレはレグルス殿とやろう」
ふむふむ。金髪同士の闘いか……なかなか見応えがありそうな組合せだ。
「では、私はハクビ殿との手合わせをお願いしたい。……二年前のことも、あります故」
「ンッ。ハクは……構わ、ない」
ふむふむ。ハティアとハクか……ハティアは二年前のこと根にもってる感じがする。……ハクなら、大丈夫だよね……不安だ。
「そうなると私は……このスライ――「スー」――……スーさんとの手合わせ、とゆうことですか」
食い気味にハクの訂正が入ったな。
う~ん、スーがスライムだからなのか……侮ってる? それは……愚者の考えだ。スーは普通のスライムじゃない、それは……一緒に修練してきたボクやハクには解ってることだけど、何も知らない人に侮られるのは……不愉快だ!
「ププ~! プッププ~!!」
スー……うん、そうだね。これは試練を受けられるか否かの手合わせ、……ならスーが受けるにたる力があると示せばいいだけだ!
こうしてそれぞれの手合わせの相手が決まった。
……でも、やっぱり翁が相手なのは納得がいかない!?
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