表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

子狼、手合わせすることになった

 ……森の中、音を立てずに疾駆する、一つの影。

 な~んてカッコ良さげに言っても、ただ走ってるだけ。まあ、気配消してるし、結構な速度で走っても物音一つたててないから、あながち間違いじゃないよね。

 ……う~ん。匂いからして、この辺りのはずなんだけど……。おっ、見~つっけた。


 シロウの視線の先にいたのは、白と黒の入り混じった髪をサイドポニーテールにした、まだ幼さの残る顔立ちの少女、ハクビことハクという白虎の娘だ。


「お~い、ハク~」

「ンッ! シロ君、探した」

「うん、ごめんねハク」

「プル~」

「あっ、スー(・・)もごめんね」


 さて皆さん方、スーという存在、気になってしょうがないですよね! ……あの……そんな、テンプレだろとか、そのネーミングセンスは……とか、呆れた顔しないでくださいよ!?

 そりゃあ? 安易な名前かもしれないですけど? 良いじゃないですか!?

 ……え~それでは気を取り直して。スーは、ハクと一緒に森で修行中に出会ったスライスなんだよね。

 ボクたちがいるこの森は、母さんのいる聖地を中心に囲うように、強者達が住んでいる森、比較的に弱い魔物や動物が住み着いている森、って感じの広大な森になってる。

 スーを見つけたのは強者の森だ。普通、スライムが生きていけるような環境じゃない。最初に出くわした銀髪少女と金髪少年、角虎、他にも強い魔物や魔獣が存在する。

 魔物と魔獣の違いは単純に力の差、そして知能の差。言葉を解し、発する程の知能を持つものを魔獣と呼ぶが、中には言葉を発さないものもいる。ようはピンキリだ。

 まあそれはそれで、そんな化け物級がうようよいる森だ、スライム一匹が生き延びてこれたのが不思議で、いつか殺されるかもしれないと思ったら可哀相だなって、だから拾って来ちゃったんだよね。

 ……それになんか、可愛かったし。……こう、なんか、ぷるぷる動いてるとことか、鳴き声とか(口無いけど)、こっちを見る感じとか(目ないけど)、なんとなく愛着が湧いて、見捨てることが……できませんでした。

 今じゃ立派な家の家族です!

 話が凄まじい勢いで脱線した気がするけど、気のせいだよね。……気のせいったら気のせい!


「それで二人共、何かようだった?」

「ンッ、お母さん……呼んでる」

「プルル~」

「そっか、それじゃあ行こっか」

「ンッ」

「プルッ」


 二人と一緒に母さんのところへ向かった。


――――


 ……そろそろだね。森の空気が変わってきた。この森、中心に行くほど空気が美味しくなるんだよね。やっぱり聖地だからかな。

 あっ、見えてきた。


「母さん!」

『あら、漸くきましたか』

「ンッ。連行、した」

「プップル~!」

「いや、ボク犯人とかじゃないんだけど、悪い事もしてないんですけど! ハア、それより呼んでたみたいだけど、どうしたの?」

『フフフッ。そう急かさないで、まだ揃ってはいないのですから』

「揃ってない? 他にも誰か呼んでるの?」

『ええ、でももう少し時間が掛かりそうですね』

「そうなんだ。ならそれまでは暇になるね」

『フフフッ。なら魔力制御の修練でも観ましょうか』

「うん!」


――――


 まずは楽な姿勢(お座り)になる。次に、体の内側にある魔力を感じる。……感じる事ができたら、その魔力を体中に巡らしていく。…………充分に巡らしたら、体外に全力で放出する。放出した魔力を身体の周りに留めて維持する!!

 この工程を速く、長く維持しなきゃいけないんだけど、なかなか難しい。魔力を巡らすのがスムーズにいかないし、一歩間違えたら放出した魔力を維持できなくなるし、全力でやってるからまだ、長時間の維持は難しい。


『フフフッ。最初の頃に比べれば、だいぶ早くなりましたね。それに維持も、あの頃より長くなってますよ』


 こ、心を読まないでほしい。人権侵害だよ、狼だけど。


『フフフッ。シロウは顔に出やすいのですよ。それより、そろそろみたいですね。やめて良いですよ』

「ふぅ~。それで、誰が来るの?」

「ンッ。気になる」

「プル~?」

『フフフッ。それは、会ってからのお楽しみですよ』

「む~。それじゃあ何するかだけでも教えてよ」

『フフフッ。そうですね……それではシロウ』

「は、ハイッ」


 うわ、何だろ……威圧感のある声音だ……ゴクリッ。


『シロウ、アナタには、いえアナタたちには……コレから来る者たちと手合わせをしてもらいます』

読んでいただき、ありがとうございます。またのご愛読よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ