最終話:終焉
微笑んで、
さよなら
たった一言を残して君は、また僕の前から消えた…
気だるい白い世界で佇んで、ただ雨に打たれていた。また止められなかった…
止められなかったけど、何でか、不思議となにもなくて、伝えたかったことを伝えられたことには、満足していた。
納得、とはまた違うけど、納得みたいなかんじ…
結局、央の決意は僕がどうこう出来るもんじゃなかった。彼女は彼女なりの考えで、僕の前から消えた。
伸ばした手は、虚しく空を斬った
また渦が帰ってきた
グルグル
グルグル
グルグル…
やがて、機械音がやんで、鉄の扉は“今”を告げた
ぼやけた視界に、見慣れた研究室
不意に声がした
「…満足したかね…?」
「…また…僕は…止められませんでした」
「…」
「でも」
「でも?」
「僕の中の央の最後は変えられました」
「…どんなふうに?」
「いつも泣かせてばかりで、最後まで泣かせてたけど…笑顔だった…凄く優しい、僕が好きだった笑顔で、さよならだった…」
視界が歪んで、滴が落ちた。僕が泣いていたのか、空の泪なのかは、わからない…
もし次君に逢えるなら
ありがとうをたくさんと
愛しているを一つ、
捧げよう
二度と泣かないように。
笑顔を絶やさないように。
君に沢山の幸せを…
わかりあうことも
慰め合うことも
伝え合うことも
ままならぬまま
ただ君を
真っ直ぐ愛していました
いま
君に伝える言葉は
ありがとう
やっと終りました!当初のイメージとはかけ離れてしまいましたが、まぁ満足してます。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました! anotherstoryとして央視点の番外編も書く予定なのでよろしければどうぞ。