第七話:白日
そしてついに、待ち望んでいた日がやって来た。
待ち望んでいたはずなのに
何故か怖くて
「本当に行くのかい?」
教授の質問には今までより重みがあった。
答えなんて決まってる
「えぇ。行かなきゃ行けないんです」
そう、それが無駄に終ろうとも。
この命がつきようとも。
「私の希望全てを君に託すのは、重荷過ぎるが、それくらいの夢をのせて、君は旅立つのだな…」
辛い表情でも、その目は真剣で。
「教授、くだらない戯言に付き合ってくださってありがとうございます。」
「それはお互い様だ。私の戯言にのってくれたのは君だし、君の戯言にのったのは私だ」
夢のような戯言を背負い、過去へ飛び立つ未知の機械に、足を踏み入れた…
「いいかね、紫堂君。この機械が成功しても、あちらには三時間が限界だ。三時間したら、戻りなさい」
「わかりました。」
機械音がして、重い鉄の扉が閉まる。
向かう先は“君”
目が回るような感覚がした。吐気さえした。
目をギュッとつむって、見ないことにした。
グルグル
グルグル
グルグル…
ふと、瞼に水滴が乗った気がして、目を開いた…
ぼんやり、白い世界に、佇んでいるのは、見間違うはずもない、愛しい君だった。雨の雫が視界を霞ませる。今にも消えそうな君の心みたいに、空から降る泪は、止む気配がなくて。
その小さな体でどれだけの重荷を背負っていたの?