第5話:囈
「私としてはあまり勧められないぞ。未知の機械の実験と言うものには少なからず、命の危険がついてくる」
「何度も言いますが、」
例えしょうもない我儘だとしても
「後悔はしたりしませんよ。それだけの覚悟はあります。」
覚悟と言うよりはただの悪あがきの様な気もした。
悪あがきに終っても構わない。
死なせたくなかった、伝えたいこともあった。
仮に未来は変わらなくても、伝えなきゃいけないことがある。
「あまり頼みたくないのだが…気持は痛いほど分かる。だが君には明日のその先の未来があるのだよ。それを棒にふることはない。」
「あるかもしれませんね。でも、後悔したまま先に進めない。やるだけやったらどうなろうと構わない」
どのみち僕の時間は止まったままだ
「無責任な話だが私は責任を負えぬぞ」
「僕がどうなろうと、あなたに責任はありませんよ」
そして暫く押し黙ってしまった。
「明後日の夕方四時だ」
不意に、教授が口を開いた。
「明後日…実行に移る」
そう言った教授の目には決意の光があった。
「明後日までに僕がしておくべきことは」
「記憶を整理しておきなさい。チャンスは一度だ。間違えばもう後には退けないぞ」
「…わかりました」
ただ真っ直ぐに進むしかない。全ては君に向かっていくから、迷い躊躇いも殴り捨てて、ただ、ひたすらに
雨は止む気配がなくて、どんよりした空色は僕の希望を嘲笑う。
次に泣くのは誰?