89/104
見守る存在
私たちは、自分一人で大人になった気になっているが
階段から転げ落ちないようにと、二、三歩後ろで、大きく両手を広げいつでも構えていてくれた
大人になった今でも、それは変わらないのかも知れない
何かあったら、帰って来い
辛い事があったら、相談しろ
首が回らなくなったら、泣きついて来い
いつも、そんな想いを胸に
生まれ育った田舎で、静かに、慎ましやかに生活している
それが、親というものだろうか
その人たちを時には鬱陶しく思い、時には忘れたように過ごし
父の日や母の日と騒ぐ世間に、思い起こされる。
それだけの存在
時々、思い出すだけの存在
私たちがそうであったように
私たちもそうやって、時々思い出されるだけの存在になるのだろう
必要とされる内が花なのだ
あとは枯れ木と成るばかり
いやいや、もう一花咲かせよう
老いぼれて仕舞わぬ内に
光が消えて仕舞わぬ内に




