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幸せな二人の不幸せな物語  作者: 秋西 愁紅
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序章~春~

2011年2月25日 読みにくかったので、改行修正。

2016年8月16日 一部修正。

春―――それは出会いと別れの季節。春―――それは喜びと悲しみの季節。春―――それは楽しいけれどちょっと憂鬱な季節。

そう、春という季節は人々の日常が大なり小なり変わる・・・そんな季節だ。

かくいう僕、矢下 幸平(やした こうへい)も、そんな別れの季節を間近に控えている。三年間通った中学の卒業式が明日、行われる。

考えてみれば、三年間色んなことがあった。

入学式は半分以上が僕の知らない人達で、友達出来るかな?上手くやっていけるかな?って不安になったし、新入生キャンプで行われたナイトウォークでは、あまりの森の暗さに足がちょっと震えたっけ―――でも、あの時一緒に探検したグループの人達とはすぐに友達になれたんだ―――そして、初めての体育祭ではクラスメートとの衝突もあった。けれど、みんなの努力の甲斐もあって、見事優勝を果たしたし、クラスの結束も強まった―――その代償として皆どこかしら怪我していたけれど―――その後は・・・・、まあ、この辺にしておこう。思い出話には限が無いし、読んでいる方としてもつまらないだろうから。

そんなふうに、僕の中学生活には数え切れないくらいの思い出がある。

そしてその思い出には一人いつも同じ人が出てくる。隣家に住んでいる幼馴染の少女、井波 海夏(いなみ みなつ)だ。

彼女とは同い年で、両親同士が高校時代の友人同士ということもあって、生まれてからずっと家族ぐるみの付き合いをしてきた。

おまけに幼稚園時代から今まで、クラスは全く一緒だし、家の部屋もお互い窓に手が届くくらい近い。

はっきり言って今まで生きてきた時間の大半は彼女と一緒にいるだろう。

もはや、お互いのことで知らないことはほとんど無いと言っていいくらい・・・だと思う。

 

しかし、最近は前より彼女と上手く話せなくなってきたように思う。

話す時間も短くなったから、会っている時間も以前の半分くらいになっただろう・・・。

何故かと言えば・・・・・・、何故なんだろう?僕自身ハッキリとは分からない。

少なくとも中二の始めくらいまでは、一緒にいることが多かったはず。でも、中二の後半くらいになると、学校の中はおろか学校の外でも一緒にいることが少なくなった―――それこそクラスメートに喧嘩したのかと心配されるくらいに。

でも、喧嘩したわけじゃない。仲が悪くなったわけでもない。

原因は・・・思春期に多くあるもの。そう、互いに異性として意識したからだろう。いや、意識したどころじゃない、完全に恋に落ちたんだ。たぶん、彼女も同じだと・・・思う。

じゃあ、何で付き合わないのかって?

その理由は簡単だ。

僕も―――たぶん彼女も―――言うのが怖いんだ。「好きだ。」ってただ一言を言うのが怖いんだ。だって、その一言を言った瞬間、『隣家に住む幼馴染』っていう関係はなくなってしまう。もし予想に反して告白を断られたら?・・・下手をすると一緒にいることすら出来なくなってしまうかもしれない。だから、言えずに『隣家に住む幼馴染』でいつづけた。

だけど、それもそろそろ限界だ。お互い想いを隠し続けてきて、だんだんと関係がギクシャクしてきた。今では、偶然会うとびっくりしてお互い話せなくなってしまう。このままじゃどちらにしろ関係は崩れてしまうだろう。

だから明日、僕は、彼女に、・・・・・・・・・・告白する。

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