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理想的なおっぱいの話だけど、3.114514は黄金円周率です。  作者: 鳥山正人


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2話

始まりの街に飛ばされたボクが真っ先に向かったのは鍛冶屋だった。


普通の人ならば、チュートリアルを行わずに銀を採取できる鉱山に向かうのが、攻略としては最短距離。


だけど、みんなと同じ行動をすれば、鈍臭いボクはどうしても出遅れてしまう。


オープンベータ版の時は人の波に飲み込まれて、出遅れて、鉱山で採取待ちの列にひたすら並んでた記憶しかない。


「今度こそは……」


鍛冶屋の中に入るとAIの受付嬢が出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか?」

「鍛冶場を使わせてください」

「生産者の方ですね。鍛冶場の使用にはお金はかかりませんので、奥の部屋をご自由にお使いください」

「わかりました」

「生産頑張ってください」

「はい」


受付嬢の案内で奥の部屋の扉を開けると、鍛冶場が姿を現した。


と言ってもそこはファンタジー世界でよく見る汗臭いような鍛冶場ではなく、まるでキッチンのような場所。


鉱石を焼成する炉は電子制御で稼働する冷蔵庫のような大きさのモノで、テーブルの上には武器や防具作りに使う様々な型が並べられている。


「よし、まずは鉄鉱石の焼成からだな」


冷蔵庫の扉を開けるような感じで、焼成炉の扉を開けて、チュートリアルで採取した鉄鉱石を中の皿に乗せて、扉を閉める。


このまま鉄鉱石を自動焼成モードで焼き上げれば、普通品質の鉄インゴットが出来上がる。


だけど、ボクが求めているのは普通品質の鉄インゴットではない。最高品質の鉄インゴットだ。


最高品質の鉄インゴットで作る最高品質の鍛冶ハンマーがボクにはどうしても必要なのだ。


チュートリアルで手に入れた見習い生産者のマントは姿が見えなくなる隠遁の効果はあるが、攻撃すればその効果がなくなる。


鈍臭いボクにとっては二撃目が必要な武器はいらない。求めるものは一撃必殺で倒せるアイテムのみ。


だからまだ誰も作りあげたことのない最高品質の鉄インゴットを求めるのだ。


「手動焼成モードで、レシピは……」


鉄鉱石の融点は1538度。自動焼成モードでは1時間ほどで出来上がるが、最高品質を目指すのであれば、詳細な設定が必要になる。


「鉄鉱石の焼成の温度カーブや時間設定は……」


ボクは陶磁器作成に興味を持っていた時期があり、その時に陶磁器の焼き方なども勉強していた。


「このゲームはAIのビッグデータを活用したリアル志向だから、こういう焼き物に関する焼成データを参考にするはずだ」


ここまではオープンベータ版の時にすでに考えていて、実戦しようとしていた。だけど、よくよく考えてみると大手のクランも同じように考えていて、すでに実戦しているはずだ。


だからボクはその上を行くような知恵を絞り出さないと最高品質にはたどり着くことは不可能だろう。


だからボクは必死になって考えた。そして、あるひとつの結論にたどり着いた。


このゲームのタイトルは『黄泉の国の桃太郎』だがサブタイトルもある。


『黄泉の国の桃太郎 ~追い求めし、禁断の黄金の果実~』


サブタイトルから導き出し、ボクがたどり着いた結論は黄金比。最高品質を作り出すには黄金比を使ったレシピがきっと必要なんだ。


そして、今ここで初めて実戦を迎えることになった。


「ここで失敗すれば、ベータ版の時と同じように奴隷のような日々がきっと始まるんだろう。だけど、ボクは生まれ変わるんだ」


自動焼成モードでは一定の間隔で一定の温度が上がるプログラム設計になっている。


だけど、陶磁器を焼成する際の設計はそうはなっていない。


陶磁器の焼成の温度カーブは低温部はじっくりと時間をかけて焼成するようになっている。そうしないと不純物などは急な熱膨張をしてしまい、陶磁器にヒビが入る。


ある一定の温度を超えると不純物は焼成されて、急な温度カーブにしてもヒビが入ることはない。


そして、その温度カーブはフィボナッチの黄金螺旋に近い形をしていたことをボクは覚えている。


「鉄の融点、最大膨張点を加味し黄金螺旋を意識した焼成レシピを作るとすると……」


30度から300度で55分

300度から910度で34分

910度から1538度で21分

1538度でキープ時間13分


「これでいけるはずだ。終わったあとは自然冷却で冷まして……で、最高品質ができるのか?」


何か違う気がする……焼成の温度カーブが黄金螺旋を描くなら、冷却も黄金螺旋を描くはず。それなら焼成レシピは、


30度から300度で55分

300度から910度で34分

910度から1538度で21分

1538度でキープ時間は13分

1538度から910度で21分

910度から300度で34分

300度から30度で55分


「こっ、この温度カーブは……まるで富士山の曲線のようだ」


多くの人を魅了する富士山。山の曲線は黄金螺旋を左右対称に描く形。まさにフィボナッチの黄金の山。


「これで最高品質ができるはずだ。作業開始」

「集中スキル・タイムアンドサーモス・発動」


焼成炉に入れられた鉄鉱石は黄金螺旋を描く温度カーブと共に徐々に真っ赤に燃え盛る。


「ここからはキープ時間。黄金の山の頂上を決める時間だ」


13分後。

「ここから先は冷却時間。黄金螺旋は二度微笑む」


110分後。

「これで終わりだ!!」


焼成炉は黄金色に光り輝き、天使が舞い降りてきた。


『鉄インゴット、100%の神品質』


「よっしゃぁ!最高品質……じゃない!!か、神品質だとぉ───!!!」


驚きのあまりボクは頭が真っ白になってしまった。


想定外の出来事。最高品質より上位の神品質ができるとは思ってもみなかった。


少し時間が経ち、落ち着きを取り戻したボクは焼成炉から出来上がったものを取り出し、作業台に置かれた神品質の鉄インゴットをマジマジと見始めた。


「これがあれば、ボクは……」


次の目標は銀鉱石の採取とシルバーゴーレムのコアの入手。さらにその先にある目標を最短距離で達成しないと、マイファームの入手は遥か彼方へと遠ざかる。


「余計なことを考えてる時間はない。出来上がった神品質の鉄インゴットを使ってハンマーとポンチ作りをするぞ」


ボクは作業台にハンマーの型とポンチの型を置いて、作業開始。


「鍛冶スキル・発動」


鉄インゴットは粘土のように柔らかくなり、ポンチの型に合うように成形し、型にはめる。ハンマーは持ち手には無名の木を使い、頭の部分に合うように組み合わせる。


「鍛冶スキル・ハンマーとポンチ・製作」


『ハンマーとポンチ(鉄)、100%の神品質』


「鍛冶スキル・終了」


普通品質だった鍛冶ハンマー(鉄)は100%の神品質になり、黒光りする質感にグレードアップ。


「これで準備は完了。急いで次に向かうぞ」


ボクは鍛冶屋を飛び出し、銀鉱石が採取できる鉱山へと向かい始めた。


~~~


[システムエラーが発生しました]

[軌道修正のためのバージョンアップを行います]


………


[バージョンアップが完了しました]

[禁断の黄金の果実にバナナを追加しました]

[禁断の黄金の果実は、リンゴ、桃、バナナの3種類となりました]








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