16話
ゴーレムの乱獲。ボクにとっては難しい作業で時間がかかると思っていたが、かなり早く終わることになった。
鉛付与した無属性魔法のグラビティ。二重グラビティ状態のゴーレムは動くことができず、ただ一方的にボクに虐殺されるだけだった。
「っていうか、マオさんが鉛付与した無属性グラビティ使ったら、どうなるんだろ」
グラビティの魔法はかなり強力だが、大きな欠点もある。それは常時最大MPの9割を消費した状態になるという点だ。
これはポーションによる回復ができないことを意味する。
生産職以外の人達の有能なバフは常時1割以上のMP消費状態になるので、グラビティとの併用は無理だということを示す。
だからグラビティは生産職の人のための魔法とも言われている。
今はまだ正式リリースからそんなに時間が経っていないから、強力なバフスキルを持っている人はいないだろう。
しいていうなら、ビーストモードとバーサーカーモードを扱えるヨム様くらいしかいないはずだ。
だからこそ、マオさんが鉛グラビティを使って鬼イベントで超絶無双することが可能になるかもしれない。
だけどこれを行うにはマオさんに魔法創成の答えを教える必要がある。
ボク以外のまだ誰も解けていない試練。
それを誰かにだけ教えるというのはやはり躊躇してしまう。こういうのはやはり攻略サイトに情報提供するのが筋だと思う。
でもちょっと待てよ。
マオさんが配信で情報を解禁するのなら有りかもしれないな。
それならマオさんもバズることができるし、情報提供もきちんとできる。
「よし、この案をマオさんにぶつけてみるとするか」
ボクはスマホを取り出して、マオさんにメッセージ。
『黒鬼襲来イベントの件でお話があります。できれば直接会いたいのですが可能でしょうか?』
『私も準備があるから忙しいんだけど、エナジーチャージの件だけなら会わなくてもいいって思うんだけど、それ以上の何かがあるってことなんだよね?』
『はい、そうです。まずはブルームーンハニーの提供を考えています。それ以上のこともあるので、ぜひお願いします』
きっとマオさんはこれからブルームーンハニーを採取しに行くことが考えられる。だからまずはこの情報をマオさんに提示する。
そして、それ以上のこともあると提示することで、必ずマオさんはボクの話に乗ってくれるはずだ。
『さすがハヤトくんだね。私がこれからすることをわかってる感じがやっぱり信用できるわ』
このあと、待ち合わせ場所を指定して、ボクはマオさんと会うことになった。
「で、直接会ってまで話したいこと何かな?」
「その前にマオさんは魔法創成の試練を行ったことはありますか?」
「んー、内容は知ってるけど、やったことはないかな。攻略情報が出てからでも問題ないかなって思ってるから。もしかして、ハヤトくんは攻略できたってこと?」
「はい、そうです。ボクはそれを攻略して、無属性魔法のグラビティを強化しました」
「へー、そうなんだ」
マオさんは頷きながら、少し考えた表情になり始めた。
「ハヤトくんは私にも同じようにグラビティの強化をして欲しいってこと?グラビティのデメリットもわかってる上での提案なんだよね。で、その先はどうなるの?」
「ボクの考えとしてはですね、今の時点だと近距離用のバフよりも強化されたグラビティを使った方が強いと思っています」
「ほう、それで?」
「マオさんがランキングトップ10以内に入ることができるのであれば、ボクはイベントを無視して攻略を進めたいと思っています」
「報酬のステータスアップより攻略を優先するというの?」
「はい、そうです」
マオさんは再び頷き始めた。
「ハヤトくんの言いたいことはわかったわ。でも、私としては攻略情報を独占して自分がランキング上位になるのはやりたくないわ。炎上リスクの方が高いと思ってる」
「ボクもそう思います。ですから、マオさんから配信で攻略情報を流してもらいたいです」
「ハヤトくんの手柄を取れってこと?」
「はい、そうです」
マオさんはゆっくりと深呼吸をしてから口を開いた。
「そっかぁ。こういうのはギブアンドテイク。ハヤトくんは私に何をして欲しいのか、聞いてもいいかな?」
「攻略を先に進めるための素材採取の手伝いをお願いしたいです」
「それはわかってるわよ。ハヤトくんがいやらしいお願いするとは思ってないわよ」
マオさんの口からいやらしいお願いという言葉を聞いてしまうと、ちょっと意識してしまう自分がいる。でも、それは表に出しちゃいけないものだ!
「ちょっとー、ハヤトくん、いやらしい目になってるよ」
「す、すみません」
「まぁ私から話振ったのが悪いんだけどさ。で、何が欲しいの?」
「ボクが欲しい素材は今の段階で採取に向かうには変だと思われるものです。ですが、マオさんと一緒に採取に行くのであれば、ただの挑戦にしか見えないものです」
マオさんは少し息を吐き、一拍置いた。
「で、その素材は?」
「ゴールデンアイズブラックキャット」
「……」
マオさんはハッと驚き、声が出ないようだった。
ゴールデンアイズブラックキャット。金眼の黒猫は即死攻撃をするモンスター。
ボスモンスターでもある死獣は即死攻撃してくる者が多い。これはまだ挑戦できないことを意味するのだが、雑魚モンスターで即死攻撃をするのは珍しいこと。
死獣の即死攻撃は追尾型の攻撃で回避不可能。
だけど、金眼の黒猫の攻撃は速すぎて回避のできない即死攻撃というだけ。
だから強化されたグラビティであれば回避可能なのかもしれない。そういう挑戦のために挑んだ。
多くの人の目にはそう映るはず。でもそれはカモフラージュ。
金眼の黒猫の爪からはマオさんの火力アップに繋がるアイテムを作ることができる。
だから挑んだ。
でも本当は黒猫の金眼が目的だった。
金眼は近眼。このアイテムを持っていると幻術にかからなくなる。
このアイテムがあれば、羊の死獣に挑戦できるようになり、ここから召喚の指輪を作る作業が始まるのだ。
「ハヤトくんの考えでは倒せるモンスターだということなんだよね。それでいて私の火力アップに繋がるということね」
「はい、そうです。ボクからしたら魔法創成の情報は表に出せる情報だけど、表に出せない情報もすでに持っています。だからマオさんの協力が必要なんです」
「なんだか私だけがすごく得をするようにも思えるんだけど、まぁいいわ。さすがにまだ表に出したくない情報を探るつもりはないわ」
「ありがとうございます」
「よし、じゃあまずは魔法創成の試練に向かわないといけないね。で、魔法創成の答えってなんだったの?」
ボクは一拍置いて、答えた。
「核物理の魔法数が答えです」
「何それ?核物理の魔法数って何よ?そんなの聞いたことないよ。そんなの誰にもわかるわけないじゃん」
マオさんは少し怒った表情になってる。やっぱりこんな反応になるよね。
「でも、なんかハヤトくんらしい答えって感じ。答えもわかったことだし、行くわよ」
「はい!」
ボクとマオさんは魔法創成の試練に向かい始めた。
誠に勝手ながら、人気の出ない作品のようですので、途中ですが、ここで完結といたします。
また、この作品は少ししたら削除したいと思います。
次回作品にご期待ください。




