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だいたいハッピーエンド

異世界に聖女として召喚されたけど、それはちょっと無理

作者: あかね
掲載日:2026/02/06

「聖女様、お戻りいただけ……?」


 ぽかんとした私を凝視する皆はコスプレしているみたいだった。

 あれ? 会場入りしちゃった?

 なんて思ったけど背景が本格的過ぎる。


「誰ですかな」


 それはこっちが聞きたい。


 理性的なおじいさん(神官長、超偉い)と王様と名乗った青年、その護衛というおじさん、それから給仕役の女性、そして、私の五人がその場に残された。


 おじいさんが言うには、数年前に帰還された聖女を呼び戻す予定だったらしい。その呼び戻すためのアイテムというのが、腕輪である。

 いとこに綺麗だねと褒めたら、じゃあ、あげるね! とお気軽に渡されたものである。


「アユムちゃんが聖女?」


 そのあたりが半信半疑である。

 そのいとこ、男である。正真正銘、でかい男。遅かった成長期にニョキニョキ伸びて半年で制服買いなおしと叔母ちゃんを絶叫させていた。

 その結果、うちの弟にお下がりがいっぱいあって幸いである。


 というわけで、あの従兄が聖女。


「あの、申し訳ないですけど、聖女って女性ですよね?」


 この世には聖女な男もいるのだ。2次元的に。


「女神の言葉を受ける女性が当地の聖女の定義です」


 ますます、怪しい。数年前ねぇと記憶を辿ってみる。

 そういえば、2日ほど行方不明だったことがあるらしい。山に登って遭難。よくわかんないけど、麓に降りてきて保護された。その間の記憶はなかった、という証言だった。

 以降、我が一族では山登りが禁止されている。


 それは余談だが、そのころでも男である。当たり前だが。

 見た目で言えば、確かにひょろってしたちびっこだったなと遠い記憶を辿ったりした。あと、中二病だった。俺の右手が光って唸ってた。ボーイソプラノのきれいな声で……。


 ……。

 嫌な予想がついた。


「そ、それで、聖女を呼び戻してどうするつもりだったんですか?」


「聖女様、です。

 後継者が決まらず国家の危機ですので、呼び戻した次第です。あなたは、聖女様をご存知ですか?」


「えーとー、これはいとこからももらったもので、もういとこは……」


 ってことにしておこう。元気で、彼女と新規事業を打ち立て忙しいが、今呼ばれても困るだろうし。


「なんと!」


「それでは、あなたが運命を託されたのですね」


 黙って聞いていた王様がそう口を挟んできた。雲行きが、とっても怪しい。


「いえ、なにも。綺麗だから、あげるっていわれただけで……。その頃はとても元気でしたし。

 私、帰れるんですよね」


 帰還した前例がある。

 そう言うとおじいさんから輝かんばかりの笑顔でもちろんと肯定された。超絶嘘くさい。


「まずは、女神の神殿でお話を……」


 そういった時に、持っていたカバンからスマホの呼び出し音がした。


「懐かしい音ですな。相棒のシリーン様も引き継ぎになられたのですね」


 ……スマホのAIも神格化されてる。まあ、有能よ有能。というか異世界のどこに電波があるの。

 そんなことは後回しで、スマホを取り出し、通知を見る。


『もしかして、異世界いる?』


 従兄から、ラインが来た。ピンポイントに来た!


『いる。呼ばれた。聖女様』


『なんか、嫌な予感してたんだよな。

 呼び戻しするので3日待って。うちには女神がいる』


『あとで説明』


 りょ!というスタンプが返ってくる。可愛らしい猫型生物にいらっとした。やつに悪気はないが使用者に悪意がある。


 そして、聖女確定したやん! 話早くて助かるわぁじゃなくて、そこまでわかってるなら阻止しろ。


「しばらく逗留しますので、よろしくお願いします」


 3日と言われるのならば、逃亡は必要あるまい。いきなり、監禁されてぶっ殺されることもなさそうだし。生贄系じゃないのは助かるぅ……。


「おお、良かった。

 では、一度神殿へ」


「いや、聖女殿はお疲れであろうから一晩はこちらに泊めることにしよう。

 問題を説明せねばならぬ」


「そうです。問題はなんですか」


 後継者問題というが、私があみだくじで選んでいいもんでもなさそうだし。

 そもそも、ここに王様いるし。

 すぐに死んじゃう病気だったりするんだろうか。


「便宜上、私が王となっていますが、正式なものではありません。

 戴冠には女神の祝福が必要なのですが」


 そう言って困ったような顔をしていた。


「女神の祝福を受けた妃、つまり、配偶者が必要になります」


 おお、そういうこと! ぽんと手を打ってしまった。聖女呼び戻して結婚してもらおうとしたんだ!

 なんだって!?


「あ、すみません。故郷に婚約者がいて無理です」


 いもしない婚約者をでっちあげた。恋人の一人もと思うけど、趣味が悪くてなかなか。


「…………そうですか」


 二人とも苦虫を噛み潰したような顔だった。立場として、そういうのを無理強いすると困るような感じなんだね。戻れないから諦めろとか言わない。


「なにもしないのもアレですし、王妃選び、お手伝いします」


「お手伝いとは」


「まず、女子会しましょ!」


 候補者集めて女子会。可愛い女の子と美味しいお菓子と素敵なお部屋。どうせ、過ごすならそれのほうがいい。

 女子に囲まれる。いい。いい匂いのする空間は素敵だ。

 それに私もバレたくはない。


 大変申し訳ないが、私も男なんだ。女装趣味の……。



 その3日で、女の子を褒め上げてお姉様と妹たちとなったのは余談である。

 ちゃんと王様の奥さんは選んだことは私の名誉のために言っておく。

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― 新着の感想 ―
百歩譲って元の世界でTS転生したけど前世は女とか、心は女ならともかくただの女装癖なのが。 過去に召喚した人達が見た目で「女性」と認識して聖女の判定基準にしちゃっただけで、歴代聖女の中に他にも生物学上は…
そっちかよ〜〜〜!!! というか彼女…?女神様…??にも不信感が。 まぁたしかに選択眼は確かだと思う。
その定義なら聖女じゃないねぇw
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