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第3話 無駄な努力と笑う村
村の広場では、若者たちが剣術の訓練をしていた。
俺も混ざろうとしたが、リーダー格の少年が鼻で笑う。
「シエル、お前の努力は無駄だよ。
この世界じゃ才能がすべて。AIの加護がなければ上限は上がらない。」
「……それでも、やってみたいんだ。」
「勝手にすれば?」
冷たい視線を背に、俺は丘へ戻る。
木剣を構え、反復の動きを繰り返す。
一度、二度、三度――同じ動きを、何百回も。
太陽が沈み、夜風が吹く。
膝が震え、視界が滲む。
それでも、剣を振り続けた。
努力しても、誰も見ていない。
成果が出なくても、誰も褒めてくれない。
それでも――止まらない。
夜空の下、オラクルβの無機質なログが世界の裏で響く。
『観測データ:対象個体、成長値変化なし。
しかし、動作精度、微上昇。理由……不明。』
AIにも理解できない、小さな奇跡が始まっていた。




