表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/9

あらすじ 魔王編




 隣に裸の知らないお姉さんが寝ていた。


 瞬間、ガクの脳内に流れ出す魔王城での記憶、しかし侵入した後の記憶はすべて不明瞭だった。


「俺は逃げた、正直状況が分からなかったし、それより魔王を倒す方が先だと思ったからだ…」


 ガクは問題を先送りにした。


「城内を彷徨うまでもなかった、爆音が鳴ってる方に向かえばよかったんだからな」


 音の鳴る方へと走り、階段を上り、細切れになった魔物の死骸を飛び越え急いだ。


 その場所に到着した時、既に戦いは始まっていた。


「驚いたよ、エルフ共は軒並み蹴散らされてて、ルーミアもマヤも魔力切れで動けない、メリアはふらつく足で何とか立っていて、シンシアだけが辛うじて魔王の攻撃を受け流している状態だった」


 大臣と違い、魔王の姿は高身長の人間のような姿をしていた。 身体の至る所に傷を負っている。 ガクはその魔王の背後を取っていた。


 剣を大きく振り魔王はシンシアから距離を取ると、手から巨大な火の玉を生み出し、放つ。


「絶望的な状況だったが…俺にとっちゃ一番の好機だった」


 咄嗟にガクは懐に入れていたベロニカから貰った魔法を封じ込める道具を投げる。


 そしてシンシアが自身の命を諦めようとした瞬間、視界を覆っていた魔法が消えた。


 驚くよりも先にシンシアは魔王へと飛び込み最後の力を振り絞る。 起きた状況に理解が追い付かず魔王の対応が遅れた。片腕を斬り飛ばされる。


「最初に俺に気付いたのはルーミアだった。信じられないみたいな顔をして俺を見て、泣いてた」


 続いて、マヤ、メリアもガクの存在に気付く。そしてシンシアが気付いたのもガクは心を読んで把握した。


 魔王はシンシアに気を取られていて、まだ気付いていない。


 手にした剣を構えて、隙を待つ。


「まずメリアが自分の最後の魔力を全て使ってシンシアを回復させた、次にルーミアが限界を超えて自分の生命力から魔力を作り出してシンシアを強化させた」


 強化された一瞬、シンシアは全身のばねを使って魔王の剣を跳ね上げる。 その勢いで身体を回転させ魔王の両足を横薙ぎに斬り飛ばした。


 うつ伏せに倒れることになる魔王、だが焦ってはいなかった、今の連撃でシンシアは全ての力を使い切っている、追撃は来ない。



 その場の全員の(こえ)が重なった。


「今だッ!! ガク!!!」


 魔王が初めにガクを知覚したのは、その足音だった。


 剣を魔王の首に向かって振り下ろす。


 同時にマヤがその剣に重力魔法をかける。 そして大量の吐血、長くは持たない。


 ズブッと剣が魔王の首に刺さる。 だがそれ以上押し進める事が出来ない。


(ベロニカの道具には命を救われた、マヤの魔法で大臣を倒せた、フィオナの船がなかったらここまで来れなかった、メリアの知識でセーラを助けられた、セーラの回復魔法でシンシアを回復させられた、ルーミアがいなかったらダンジョンでくたばってた、シンシアがいなかったら俺はここにはいなかった、俺は……俺は何をした?)



 頭から、足の先まで、全身の力を剣に込める。


『俺が魔王を倒す!!!』


 だが、


(お、押し返される…!!)


 相手は魔王である、両足と片腕を斬り飛ばされてなお、耐える。


(ダメだ…俺じゃあ…勝てねぇ…!)


 瞬間、ガクの脳内に流れる魔王の細胞(こころ)の声。


 それは、どこをどう斬られたらまずいのかをガクに知らせてくれた。


 更に、ガクの剣の上からシンシアの剣が叩きつけられる。


 声を交わす必要はなかった、ガクならば、シンシアに合わせることが出来る。


『『おおおおおおおおぉぉぉおおおおおあああああああ!!!!』』



 二人の剣は、魔王の首を斬り落とした。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ