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ドラゴン退治の様子

 ドラゴン、と言われて思い浮かぶのは、大きなトカゲのようなものだろうか。

 それともファンタジー小説らしく、人間の形を敢えて作っている、人では敵わない特別な存在だろうか。


 前者に関しては、こちらの世界にも確かに存在している。

 建物や木よりも大きなその体は、最早“歩く災害”と称されてもおかしくはない。


 ただ、その数は少ない。


 そして少なくとも、そんな存在ばかりなら、こんな狭い場所で、魔法で作った槍一本で立ち向かうなんて状況にはならない。




 ならば同じ形状の小型なのかというと、そうでもない。


 派遣される時に多関節型と言われていたのは、そういう形状の話だ。


 今、オレの目の前にいるドラゴンは、オレよりも大きくて、蜘蛛のような形をした、鱗のついたドラゴンである。


 その動きは正に機敏の一言に尽きる。


 オレの身長は百六十五センチ。

 そこから考えるとその高さはギリギリ二メートルないだろう。

 しかし横幅の長さを測ると、その足の形状も考えればその三倍ほどはあるだろうか。


 敢えて狭い場所にしてくれたのだろう。

 この大きさで場所も広ければ、より苦労したかもしれない。


 逃げ場がないのは互いに同じ。


 その方が、戦いやすい。



「──ふっ」



 短く息を吐き出し、全身に魔力を走らせ、それをそのまま運動能力向上へと充て、前へと爆ぜる。


 玉から出されたばかりで動きが固まっているドラゴンの、その頭頂部に向け……生成した槍の穂先を、突き刺した。



「────────っ!!!!!!」



 耳にではなく、脳に直接響いてきそうな、かな切り声。

 魔力で耳をカバーしていなければ鼓膜が破れていたかもしれない。


 ……経験則で分かる。


 この声はまだ、殺しきれていない。


 聞こえていないのに、肌で伝わる。



 だから──すぐさま槍を抜き、第二撃へ。



 抜いた勢いを活かして軸足を使って回転し、そのまま首の根本を狙って刃を振り下ろ──




「がっ……!」




 ──そうとしていたその背中から、強い衝撃。

 視界が急激に動き、見えているのに何も認識できない状況から一秒にも満たない時間で、壁に激突したのが分かった。



「いたた……」



 壁が壊れてしまった。

 くそっ……修繕費が派遣処に請求されるな。

 こちらの報酬も引かれてしまうかもしれない。

 これ以上は周りを壊されないようにしなければ。


 どうも、八本の足だと思っていた前の二本は、オレを殴り飛ばしたところをみると腕だったようだ。

 正面に立っていたオレに攻撃できたことと、ドラゴンから見て真横へと吹き飛ばされたことを思うと、薙ぎ払うような軌道だったのだろう。

 背中への痛みは軸足から回転している時にぶん殴られたからか。



「ちっ……間抜けが」



 蜘蛛みたいな形だからと蜘蛛のように全てが足だと思ったオレの落ち度だ。

 実は六本足の昆虫型だったとは。


 距離を置かれたことで、ドラゴンはこの空間から出ていこうとしている。

 吹き飛ばした後追撃してこなくて逃げようとしているとは、一撃目もそれなりにダメージが入っている証拠だろう。


 このレンタル闘技場は、飛行型でない限りは天井が屋外仕様となっている。

 天井を付けても破壊されることが分かっているからだろう。

 目の前にいるドラゴンだって、壁の縁に右足を掛け、左足をそのまま乗せれば外へと逃げ出してしまう。

 そうなれば罰金どころでは済まない。


 体に痛みはない。

 足だと思われていた腕で叩かれた衝撃で服は破れ消失してしまっているのか、背中が涼しい以外は特にダメージはない。


 ドラゴンの攻撃は基本的に、鉄であろうともあっさりと破壊する。

 そのため鎧や盾といった防具となるものを、オレたち戦士は基本的に携帯しない。

 あっても無意味だし、それ以上に一撃から守るにしては費用対効果が合わない。


 それよりは、身体に魔力を纏う練習をした方が良い。


 服や武器に纏わせることが出来れば、それだけでドラゴンの攻撃に対しての防御になる。

 攻撃にもなることは言うまでもない。


 今回服が破れたのは、オレが咄嗟に──というか無意識に、身体に纏わせることしか出来なかったからだ。


 まあ、死んでしまうことを思えば安い損失だろう。


 とはいえ、これ以上損失を増やす訳にはいかない。

 槍の穂先をドラゴンに向け、



 ──>>火属性Lv2<<──

『フレアランス』



 二条の炎が交差しあいながら、ドラゴンに向けて放たれた。

 ドラゴンのサイズを考えれば小さな炎だ。

 大きなダメージになるはずもない。


 それに本物の炎ではないため、ドラゴンには熱しか与えない。

 そう反応しているように見えるし、オレたちが実際に燃えないからそう考えているだけの、炎のような魔力の塊でしかない。



 それでも、上に登るために掛けていた左足の一本を外すのは十分だ。

 ズルリと、ドラゴンが倒れにいくその巨体とすれ違うように、魔力を足に込めて、大きくジャンプする。




 後はただ、高い位置から落ちる勢いを乗せた土の槍で──仰向けになり始めていたドラゴンの、その下顎から脳天に向けてを貫き砕いた。

 一応、プロローグとして書いたのはここまでです。


 明日からは1話か2話ぐらいの更新になりますが、既に完成させている作品を読み直しながら投下しているだけなので、2週間後の2月6日までには終わらせたいと思っております。


 まあ自己満足目的投下ですので、生暖かく見守って下さい。

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