お仕事の内容
受付を済ませてお店から事前にもらっていたお金を払い、案内された部屋へと向かう。
事前に他の誰かが使っていることもなかったので、待つことなくその部屋へと入ることができた。
広さとしては、幼稚園の運動場ぐらいだろうか。
子供が走り回るには広いが、大人の視点で見ると狭い。
依頼内容的にもこのぐらいの広さで良いと、派遣処が判断したのだろう。
それなら正しいはずだ。
色々と不満はあるものの、こうした仕事はちゃんとしてくれると長い付き合いから信頼している。
「では、早速玉の方を」
「これです」
背負っていたカバンから取り出し、手渡されたのは、両手でやっと持てる程度の球体。
ドラゴンを封印している玉。
空のこの球体をドラゴンにぶつけることで、この中へとドラゴンを封じることが出来る、この世界特有の魔法道具の一つ。
ちなみにこのサイズは中型サイズを収納するのに使うサイズだ。
とてもじゃないがこの部屋で対処できるサイズじゃない。
……と、普通の戦士なら判断するだろうが、オレは鑑定魔法が使えるので問題がない。
魔力を流して中にいるドラゴンのサイズを把握し、受付の人の判断が問題なかったことを再確認する。
サイズが合わない魔物ならば格納できないので、敢えて大きい玉を使うことだってある。
この判断は間違いではない。
「じゃ、部屋の外に。後はこちらで対処しますので、終わったら呼びますよ」
「はい」
こちらの言葉を受け、オジサンはそそくさと部屋から出ていく。
さて、ここからがオレの仕事だ。
後はこの玉を部屋の中央に置き、破壊するだけ。
そうすれば中に封印されたドラゴンが、この玉に収まるはずがないサイズでその場に現れるという訳だ。
ま、言ってしまえばポケ○ンのモ○スター○ールか。
違うところといえば、ドラゴンは中にいるだけで成長していくため、玉のサイズをオーバーすると勝手に破壊して出てくることがあることと、捕まえた奴がこちらに懐くことは決してないこと。
ドラゴンにとってみれば居心地がよくて危険もなくて身体が成長する場所なのだから、捕まることに抵抗する理由がない。
だからあっさりと玉の中に入る。
弱くしてから玉をぶつけるなんて手間も必要ない。
そのため戦えないものでも、身の危険が及べばとりあえずぶつければ良いので、護身用に持っていることだってある。
そして人間相手にぶつけてしまった場合でも、普通に手で払ったり入りたがらない意志を見せれば追い出されるため、誤使用も少ない。
難点は、再び外に出して殺さなければいけない点だけだろう。
「さてそれじゃあ、初めますか」
足に魔力を込め、勢いよく大地を踏みしつける。
──>>武器生成Lv2<<──
『槍・創生』
長く、土で固めた棒状のものが生えてくるので、それを勢いよく抜く。
穂先には長い刃。
こちらも土から生成し、しっかりと切れ味がつくように鋭く研磨されている。
土でも固めて研げば、十分に傷つける得物となり得る。
「さて……いこうか」
切っ先を天へと向け、玉に向けて振り下ろす。
そうして玉を破壊して、中のドラゴンを解放した。