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8/21

私、勇者様とお泊まりしました

前回のあらすじ

なんやかんやで家に帰る事になりました


以上!


━━━━━━━━


シキ「お主の家に泊まるじゃと?」


ヒカリ「はい、一旦家で休憩してそれから旅に出ましょう!」


足痛いから休みたいし、お風呂入りたいし

とりあえず家でゆっくりしたい!ゴロゴロしたい!


シキ「私はさっさと魔王城に行きたいんじゃが...まぁ今回は私のミスが原因じゃし...仕方あるまい」


シキ「だが休憩するなら別にラダムでもいいぞ?」


ヒカリ「えーっと...どうせなら目的地の魔王の城に出来るだけ近い方がいいですし...!」


私は家でゴロゴロしたいんだって...!


シキ「まぁお主がそう言うなら」


よっしゃ!


ヒカリ「それじゃあ家に向かって出発!」


シキ「急に元気になったのぉ...」


私は勇者様と一緒に、自分の家まで戻ることにした


はぁ〜

今日は本当に色々あって疲れたなぁ


突然魔王倒せと言われ

魔物と戦い、何時間も歩いて勇者様に出会い、そして一旦家に帰る


なんだかもう心も体もボロボロ....


これが夢でした!って事にならないかなぁ


シキ「ヒカリ!」


ヒカリ「ふぇ!?」


シキ「魔物じゃ!構えろ!」


ヒカリ「え!?は、はい!」


あーもう!疲れてる時になんで魔物が!!

この鬱憤全部魔物にぶつけてやる!


えいやーっ!

そりゃーっ!


勇者様と私でというかほぼ私が魔物を倒した


ふぅ....疲れた....


でもストレス発散にはなかったかも


シキ「.....」


勇者様が何か言いたそうにこちらをじっと見ている


ヒカリ「...勇者様どうかしましたか?」


シキ「...いや、なんでもない」


何でもなかったらじっとこちらを見ないでしょ!

って言いたいけど言いたくないなら追及しないでおこう


ヒカリ「しかしまぁ魔物って突然現れますよね〜。油断も隙もないというか...勘弁して欲しいですよね」



シキ「....そうじゃな」


そういうと勇者様は歩き始めた


ヒカリ「....」


シキ「.....」


ヒカリ「あ、勇者様!怪我は無いですか?私は無事ですけど」


シキ「....無事じゃ」


ヒカリ「それなら良かったです〜!」


ヒカリ「.....」


シキ「.....」


ヒカリ「....今日は暑いですね〜」


シキ「....そうじゃな」


ヒカリ「.....」


シキ「.....」


........

.......気まずいいい!!


何この気まずい雰囲気!苦しいわ!

いやまぁ私口下手で話題ふるの苦手ですけど

もうちょっと会話しようとする気ないんですか!?


.....もしかして私の事鬱陶しいと思ってる!?


何か悪いことしたっけ....?

思いつかない....


まぁ妹のルナと同じくらいの歳だろうし

思春期は難しい難しい年頃だもんねぇ


そっとしておこう....


私と勇者様はそのまま無言で歩き続けた

ぼーっとしながら道を歩いていると突然頭の中に声が


ルチア(ひかりさん〜もう少し会話とかしないんですかー?)


ヒカリ(ルチア様!?いやまぁ会話しようと思ったんですけど、中々続かなくて....)


ルチア(なに思春期のカップルみたいな事言ってるんですか!?)


ヒカリ(例えがわかりにくいよ!)


ルチア(天からヒカリさんとシキさんを見守っていますけど〜あまりにも暇すぎるんです!)


ルチア(もっと楽しい会話とかして私を楽しませてくださいよ!)


ヒカリ(あんたの余興の為にやってるわけじゃねぇ!!)



ルチア(まぁ冗談はさておき)


ヒカリ(本当に冗談ですか...?)


ルチア(これから旅をしていくんですから、お互いの事をもっと知るべきだと思うんですよ)


ルチア(絆も深まれば、戦い等色々やりやすくなると思いますし)


ヒカリ(まぁそれはそうですけど...)


アホ女神の言うことにも一理あると思う

しかし、何を話せばいい...?


話題がなんにも思いつかない...!


私が酒場で働いていた時

初見なのに数十分後にはまるで往年の友人みたいに仲良くなっている客同士を何度も見た事がある


私はあのコミュ力がとても羨ましく感じるのと同時に

絶対に自分には無理だと思った


だって出会って間もない人と

笑って肩組んで楽しそうにお酒なんか飲める!??


いやいや無理無理!!絶対無理!

あんな事普通の人間に出来るわけないって!

私の住んでる次元と違いすぎる!


そんな事ぶつくさぶつくさ考えながら歩き続け

夕焼けが見える頃に私が住んでいる町にたどり着いた


ヒカリ「着きました!ここが私が住んでいる町です!」


シキ「....普通じゃな」


むしろ何を期待してたんだ!?


ヒカリ「で〜ここが私の家です!父と母と妹が住んでいます」


シキ「ふむ、まぁ普通じゃな」


だから何を期待してたの!?失礼過ぎない!?


みんな私が帰ってきたら驚くだろうなぁ


そんな事を思いながら私は玄関を開けた


ヒカリ「ただいま〜!」


母「あら〜おかえりなさい!旅は楽しかった?」


いやまだ始まったばかりだけど!


父「おぉ!帰ってきたか!魔王どうだった?強かったか??」


だからまだ倒してないって!


ルナ「おかえりお姉ちゃん!やっぱりダメダメなお姉ちゃんに旅なんて無理だったんだよ!」


ルナ「これからは旅に出るとか馬鹿なことはしないで、ずっと家にいようね!」


なんか酷い言われよう!

ちょっと休憩しに来ただけだって!


ルナ「あれ....そちらの方は...?」


ルナが不思議そうな顔で勇者様を見ていた


ヒカリ「みんな、一旦落ち着いて聞いて」


ヒカリ「こちらは一緒に旅をすることになった勇者様で1度家で休憩してから、討伐の旅に出ようと思って寄っただけ」


ヒカリ「まだ、魔王も倒してないし世界も救ってないからね!」


ヒカリ「ほら勇者様挨拶」


シキ「シキじゃ....その...今日は世話になる」

勇者様は恥ずかしそうに言った


父「勇者様!この子が!?」


母「あら〜!!可愛い!勇者ちゃんもしかしてルナと同じくらいの歳じゃない?」


父「若いのに...立派だなぁ....うぅ..」グス


泣くな!どこに泣く要素がある!?


母「勇者ちゃんここは自分の家だと思って好きに寛いでね!今日は料理に腕を振るわなくっちゃ!」


シキ「ちゃん呼びは...恥ずかしいからやめて欲しい...」


父母「「勇者ちゃん可愛い〜!!」」


人の話聞いてあげろよ!


ルナ「..お姉ちゃん旅をやめた訳じゃないんだね...」


ルナが少し不機嫌そうな声で言ってきた


ヒカリ「うん...まぁね。その...意外だった?」


私は諦め癖がついていて、何事も続かなかった

ルナは今回も途中で私が逃げ出すと思ったのだろう


ルナ「うん。ちょっと意外だった...まさかお姉ちゃんが本当に魔王を倒すつもりだなんて」


半ば強制的だけどね....


ルナ「まぁ兎にも角にもお姉ちゃんが無事に帰ってきてくれて嬉しいよ!」


うぅ....!優しい妹でお姉ちゃん嬉しい...!


私はみんなと食事を済ませ

お風呂に入った後椅子に座って休憩してた


勇者様は今お風呂に入ってるらしい


今日は本当に色々あったなぁ

濃い一日というか

一日の長さがいつもの何倍にも感じられた

まだ魔王討伐のスタート地点にも立ってないのに


そんな事を考えていたら父が話しかけてきた


父「なぁヒカリ、その勇者ちゃんとは仲良くするんだぞ」


いきなり何を言い出すんだこの人は?

あとちゃん呼び確定なのね


ヒカリ「突然どうしたの?」


父「いやなぁ...勇者ちゃんが魔王を倒せば勇者ちゃんは英雄になって色んな国から褒美とか色々貰えるだろ!」


父「ならその勇者ちゃんと結婚すればお前大金持ちになるぞ!」


ヒカリ「...はぁ???」


父「いやだから!勇者ちゃんと結婚すれば金持ちになれるんだって!」


何を言ってるんだこの人は!!?

私たちは女同士だぞ!気が狂ったのか!?

というか発想が最低だな!


ヒカリ「私たち女同士だけど!それに私も勇者の仲間として褒美は貰えるはず!」(あとアホ女神からのお金も)


父「愛に性別なんて関係ない!それに大金持ちの2人が結婚すればさらにビッグになるぞ!」


まじで最低だなこいつ!!


母「あら〜ヒカリ勇者ちゃんと結婚するの?孫の名前はどうするか決めた〜」


なんで母さんもノリノリなの!?

女同士だぞ!


ルナ「お父さん、笑えない冗談はやめてね」


ルナが軽蔑の眼差しを父に送った


父「ご、ごめんなさい...」


有難うルナ...!


ガチャ


どうやら勇者様がお風呂からあがったらしい

寝巻きはルナのを貸している

ルナと同じサイズで良かった


シキ「その...今日は色々と世話になった...感謝しておる...」


勇者様は小さい声恥ずかしそうに言っていた


多分誰かの家に泊まることって慣れてないんだろうなぁ

まぁ、私もだけど


母「いいのよ〜気にしないで!勇者ちゃんはもう一家の一員みたいなものだし!」


母「あ、そうそう悪いけど客室用の部屋ちょっと今汚れててヒカリと同じ部屋で寝てもらえるかしら〜?」


母「いいわよね?ヒカリ」


はぁ!??ちょっと待って!

あの部屋別に汚れてなんかないはず...!


何か視線を感じて振り向くと

父がグーサインをしていた


いやグーじゃないよ!

本気で結婚させようとしてんのかあんたら!!??


ルナ「お母さん!別にあの部屋汚れてないしそれにお姉ちゃんの汚部屋なんか勇者様に失礼だよ!」


よく言ったルナ!

って汚部屋は余計なきが!!


母「ルナ....!」


いつも笑ってる母が何故か真剣な顔をしている

これにはルナも面食らい、黙り込んでしまった


シキ「私は別に構わんが」


母「じゃあ決まりね♪」


決まりねじゃないよ!

なんだこれ...!色々おかしいぞ!


まさかこれ....!


ヒカリ(ルチア様!!)


ルチア(は〜い?)


ヒカリ(何か仕組みましたか?)


ルチア(おぉ〜ヒカリさん意外に鋭いですね〜!)


ルチア(シキさんとひかりさんが同じ部屋で寝るように、私がちょっとヒカリさんのご両親を説得したんです〜)


ヒカリ(って事は結婚とかどうとか!?)


ルチア(あ、それは関係ないです)


違うんかい!


ヒカリ(なんの為にこんな事したんですか!?)


ルチア(誰かとお泊まりする時、就寝前って話が弾むじゃないですか〜)


ルチア(まぁそんな感じでシキさんと絆を深めて欲しいなぁと思いまして。あとまぁ私が楽しみたいのもありますけど)


本心はそっちだろ!


ルチア(ヒカリさんが会話しないのが悪いんですよ〜だからこうやって私が手配してあげてるんです)


ルチア(感謝して欲しいですね)ふんすっ


あんたには感謝と言うより憎悪しかないよ!


....まぁでもお互いを知るにはいいきっかけかも


ヒカリ「勇者様、私の部屋はこっちです」


ガチャ


シキ「これは....」


シキ「随分散らかっておるな....。ちゃんと掃除しておるのか...?」


うぐっ!!これでも少しは片付けたんですよ...!


ヒカリ「私、下で寝るので勇者様はベッドを使ってください」


シキ「お主の部屋じゃろ、私が下に寝るから良い」


ヒカリ「いや、勇者様は客人ですし!」


シキ「気にしなくて良い、それにお主が下で寝ると私が気まずい」


ヒカリ「えーっとじゃあ....一緒に寝ませんか?」


シキ「むっ?」


???「んんんーーーー!!!!」

え!?廊下から聞こえたけど誰の声!?


ルチア(ヒカリさんダイターン!)


うっさい!


ヒカリ「それならお互い気を使わなくていいですし。どうでしょうか?」


シキ「お主がそれで良いのなら」


???「きぃぃぃ!!!!」

いや誰の声!??


私と勇者様は同じベットで寝ることになった

元々大きくないベッドが2人一緒に寝ることによって更に狭くなった


シキ「....狭くないか?」


ヒカリ「す、すみません」


シキ「あ、いや...こっちこそすまん」


ヒカリ「....」


シキ「....」


ただ寝ずらいだけで

会話とかかそういうの全くないんだけど!


シキ「そのヒカリ、お主に聞きたいことがある」


ヒカリ「え!?あ、はい。なんでしょうか?」


シキ「お主なんでそんなに強い?」


シキ「お主が住んでる場所か家族に、何か強さの秘訣があるかと思った」


シキ「だがそんなことは無く普通の町、普通の家庭だった」


シキ「そんな場所で過ごしたお主が何故そんなに強いかずっと気になってたんじゃ」


シキ「勇者である私よりなぜ強いのかと」


あぁ!だからあの時普通じゃなと言ってたんだ


どうしよう

私が勇者の力を持ってるってバレちゃいけないしどうしよう!??


いや、別にバレもいいのか!?

困るのあのアホ女神だけだし!


いやでもあのアホ女神に何か呪いとかかけられそうだし!

何よりバレたら約束守らないと思うし!


あぁもうなんで私が嘘つかなきゃいけないんだ!


ヒカリ「えぇっと...実はルチア様に加護を受けてまして」


シキ「ルチア様に?」


ヒカリ「はい、私元々滅茶苦茶弱くて旅に向いてないとか言われて」


ヒカリ「それで、ルチア様に加護を付与して貰ったんです」


シキ「なんでそんな弱いお主が魔王討伐のメンバーに選ばれたんじゃ?」


うぐっ!適当に思いついたからそこまで考えてなかった!


ヒカリ「え、えーっと...私、弱いですけど実は潜在魔力が他の人と比べてとてつもなくて...」


ヒカリ「それで選ばれたとか〜?」


なんか適当に言ってしまったが

納得してくれるだろうか!?


シキ「なるほど。そういう事か」


納得してくれた!


シキ「....今日は楽しかった。感謝しておる」


ヒカリ「いえ、こちらこそ。勇者様が来てくれたおかげでみんな楽しそうでしたし」



シキ「...良いご両親と妹を持ったな。大切にするんじゃぞ」


ヒカリ「え?あ、はい」


ヒカリ「....あの勇者様、勇者様のお父さんとお母さんは旅に反対しなかったんですか?」


何故か唐突に聞いてみたくなってしまった


シキ「私に両親は居らん。2人とも事故で亡くなっておる」


ヒカリ「あ...ごめんなさい」


シキ「別に気にしておらん。それに両親の代わりに私には祖父と祖母が居る」


シキ「ちなみに私の口調も祖父の影響じゃ」


あぁなるほど


シキ「旅に出るのは猛反対された。だが私が勝手に飛び出る形で旅に出たんじゃ」


それは反対されるよね

孫娘1人しか居ないのなら特に


ヒカリ「どうしてそこまで?」


シキ「私は本気で世界を救いたいと思っておる。この世界を救いみんなを幸せにして、祖父母に恩返しをしたい」


シキ「私が魔王を倒せば、みんなが幸せになる。食べ物やお金で苦しい生活をしなくて済むようになる」


シキ「もうじいじとばあばに苦しい思いはさせとうない....!」


シキ「だから私は絶対に魔王を倒したいと思っておる」


.....私より年下なのに、私よりしっかりしてる

最初の印象と比べて大違いだな


シキ「お主は旅に反対されんかったのか?」


ヒカリ「いえ....むしろ倒してこい〜って鼓舞されました....」


シキ「ふっ....楽しい家族じゃな」


ヒカリ「妹以外変わり者ですからね」


少しだけ

少しだけだが、勇者様の事を知れた気がする


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