8 完璧な嫁さんだと!?
「ふんふーん、料理は愛情~♪」
独特の鼻歌を歌いながら軽快に包丁を扱う玲奈ちゃんのその姿に思わず驚いてしまう。お嬢様だから料理とは無縁と思っていたが、花嫁修業をしたというのは嘘ではなさそうだ。台所には玲奈ちゃんが持ち込んだと思われる調理道具や新しい電子レンジや冷蔵庫などがあり、玲奈ちゃんはてきぱきと夕飯の支度を進める。
「何か手伝おうか?」
思わずそう聞くと玲奈ちゃんは笑顔で言った。
「大丈夫です。今日はお嫁さんとしての力を見せなくちゃですから」
「そ、そう・・・わかった」
まあ、俺はそこまで料理が出来るわけではない。家庭科レベルでしか調理なんて出来ないから足手まといになると思いリビングで待機することにした。テレビをつけるが、テレビもいいものに変わっていたのでなんとなくぼぅとしながら見ていると、不意に目を覆われる。
「だーれだ?」
「・・・玲奈ちゃん」
「正解です。愛の力ですかね」
「かもね」
これで玲奈ちゃん以外だったら俺はある意味悲鳴をあげていたかもしれない。見知らぬ第三者がいるとかホラー展開すぎるからね。
「出来ましたよ。食べましょうか」
「ああ、うん。ありがとう」
机に移動すると、そこにはご飯、味噌汁、玉子焼き、肉じゃがというレパートリーの食事が並んでいた。しかもどれも俺の好物だ。ただ、なんだか妙に懐かしくなるような気がする。
「美味しそうだね」
「さあさ、食べてみてください」
「うん。ありがとう」
まあ、見た目は凄くいいが一昔前のヒロインなら味が絶望的なんてことがありそうで俺は一口食べてから・・・フリーズする。かちゃりと箸を置いてから俺は思わず玲奈ちゃんに聞いていた。
「玲奈ちゃん。もしかしてこれは・・・」
「はい。お義母様の味を再現してみました。いかがですか?」
「凄く美味しいけど・・・」
まさか母さんの味をそのまま再現するとは。しかも一番美味しい時の味だ。うちの母親はかなり味付けが雑なのでその時によって同じ料理でも味ががらっと変わるのだが、まんま美味しい頃のものなので少しだけ驚いてしまう。
「玉子焼きも甘めの味付け・・・俺が好きだったものだ」
「大人になって恋しくなったんじゃないかと思いまして。胃袋を掴みに行ってみました」
「ははは、やられたよ。完全に不意討ちで鷲掴みにされたよ」
まさか玲奈ちゃんがここまで器用だとは思わずに驚いてしまう。あの小さかった女の子がこうして美人さんになって俺のために料理を作ってくれるなんて思わなかったのだから人生とは不思議なものだ。
「しかし、これから毎日玲奈ちゃんの料理を食べれるのはありがたいかな」
「えっへん。まあ、私も先生のために色んな料理を作れるようになりました。要望があれば遠慮なく言ってください」
「なら、今度は玲奈ちゃんの本来の味を知りたいかな」
「私のですか?」
その言葉に頷いてから言った。
「これも美味しいけど、玲奈ちゃんが頑張って作ったものなら俺はなんでも食べたいかなって・・・変かな?」
「いえ、やっぱり私先生のこと大好きすぎるみたいです。キスしてもいいですか?」
「あ、後でね?」
「わかりました。我慢しましょう」
どこまで本気なのかわからずに困惑してしまうがなんとなく幸せだと思うのだった。
何人かの方からご指摘があったのでこちらで少しだけ書かせていただきます。一応小学校の教師なら最短で20歳でなれるそうです。あと主人公の年齢を21才にしたいのは(21)を寄せて書くとロリに見えるというネタをやりたかっただけですw
まあ、そんなところはさておき、設定やらを気にしない甘いやつを書ければと思いますのでご理解よろしくお願いしますm(__)m皆様からの感想への返信はしてませんが、皆様の言葉が書く活力にはなっていますので、今後とも本作品を温かく見守っていただけると幸いです。ではでは(* ̄∇ ̄)ノ