7 引っ越しが既に終わってるだと!?
お引っ越しは速やかに
「これは一体・・・」
電話を終えて家に入ると、見事に家具や電化製品がバージョンアップされていた。出掛ける前までは確かに安物のテレビや冷蔵庫だったのに劇的なビーフォーアフターを遂げていたのを見て俺は思わず聞いていた。
「もしかして、合鍵とか持ってるの?」
「はい。お義母様からお借りして作りました」
玲奈ちゃんの手には二つの鍵があったので、おそらく出掛けている間に業者か、あるいはお金持ち特有の使用人とかにお願いしたのだろう。昨日から驚いてばかりなので流石に疲れてきそうになるが、その前に俺はどうしても気になることがあった。
「ところで玲奈ちゃん。高校卒業したんだよね?」
「はい。そうですよ」
「進路とかはどうするの?やりたいことあるなら応援するけど」
「ありがとうございます。でも、私の希望は先生のお嫁さんですから主婦になりたいです」
「そうなの?ならいいけど・・・」
何かやりたいことがあるなら、無理しないで言ってもらいたかったが、本人がいいならいいのかな?
「あ、そうそう。結婚式なんだけど、母さんがお古のウェディングドレス貸してくれるそうだけどどうかな?もちろん仕立て直すけど、嫌なら新しいのを買うけど」
「お義母様のウェディングドレスですか?是非着たいです」
「え、いいの?」
驚く俺に対して玲奈ちゃんは嬉しそうに微笑んで言った。
「前に見せて貰ってから憧れていたんです。凄く高価なものだったので。なんでもお義母様のご両親が娘の結婚祝いに奮発されたとか。素敵な話ですよね」
「息子の俺ですら知らない話をよく知ってるね」
「何度かお邪魔してますから。もちろん妹さんと弟さんにもお会いしました。それにお義父様にも」
「・・・大丈夫だったの?」
親父に会ったことに少しだけ心配してしまうが、そんな俺に対して玲奈ちゃんは優しく微笑んで言った。
「はい。少しだけ外見が怖い付き添いを連れて言ったらあっさり了承してくれました」
「ああ、そうなの」
どうやらうちの親父は随分と小心者のようだ。
「あ、そうそう先生の部屋のエッチなゲームは今後控えてくださいね」
「やっぱり見られてたんだ・・・」
朝は動揺していて忘れていたけど、普通にエロゲーが並んでいるから見られても仕方ない。一応言っておくと全部ストーリーゲームだから。まあ、それでもかなり気まずいが。
「先生は私だけを見てください。浮気は許しません」
「ゲームでもダメなの?」
「はい。これからはリアルの良さを毎日体験してもらいます」
「その前に俺は昨夜の出来事を未だに思い出せないんだけど・・・」
玲奈ちゃんの初めてを奪っておいて忘れているのは完全に鬼畜の所業なのでなんとか思い出そうとするがなかなか思い出せない。そんな風にして俺はこの日から玲奈ちゃんと同居生活を開始することになるのだった。