5 同居が確定だと!?
夫婦になったので同居
玲奈ちゃんのご両親に挨拶をしてから、いよいよ後には退けなくなったことを悟ってしまう。まあ、そもそも婚姻届を出した時点でわかっていたことだけど。
「先生、じゃあ帰りましょうか」
「ああ、うん。そうだね」
そう返事をしてから、はてと疑問に思う。自宅から当たり前のように出て来て見送るだけではなくこの台詞。まるで同居でもするかのようだ。
「玲奈ちゃんはどこに住んでるの?」
「実家暮らしですが、すでに先生の家に荷物は運んであります。これからは先生のお嫁さんですから」
「そ、そうなの?」
そういえば朝は気が動転していて気づかなかったけど確かに見慣れない家具があったような気がする。一人暮らしには広すぎるから同居自体は構わないんだけど・・・あの豪邸を見た後だと不安になる。
「その、うちはそこまで広くないだけど大丈夫なの?」
「ええ、ご心配なく。私も荷物はそれほど多くはありませんから。それに寿家に嫁いだのですから寿家のルールに従います」
「いや、うちは特にはルールはないけど・・・」
「大丈夫です。花嫁修行もきちんとこなしましたし、初夜も昨夜済ませました」
わかっていたことだけど、やっぱり俺は酔った勢いで手を出してしまったのか・・・あまりのことに頭を抱えそうになるが、やってしまったものは仕方ない。潔く責任をとろう。まあ、既に結婚してるから責任を取ってるのだろうけど。
「そういえば、結婚式とかはしなくていいの?それくらいのお金ならなんとかなるけど」
子供の頃からのお小遣いとお年玉の貯金に、学生時代のアルバイトの貯金、そして社会人になってからの貯金とそれなりにコツコツ貯めたので多少の出費は大丈夫だ。まあ、余ったお金で時々エロゲーを買ったりラノベを買ったりはしてるが、それでも大した額ではなかったりする。しかし、そんな俺の言葉に玲奈ちゃんは首を横に振って言った。
「これから子供が産まれた時のためにそのお金は残しておいてください。結婚式はいいんです」
「でも・・・」
「先生と結婚できたことが幸せなんです。それ以上は望みません」
あまりにも謙虚なその台詞に俺は少しだけ考えてから言った。
「なら、お金のかからないささやかな式ならいいかな?」
「ささやかな式ですか?」
「親族のみの簡単な式だよ。豪華じゃないけどそれくらいはさせてよ。俺も玲奈ちゃんの夫になるために準備が欲しいからね」
「先生・・・ありがとうございます」
そう微笑む玲奈ちゃんに俺も思わず笑ってしまう。まさか自分からこんなことを言う日がくるとは思わなかったからだ。結婚式か・・・弟と妹の結婚式には出たけどやたらと準備を手伝った記憶しかない。そういえば、玲奈ちゃんは母さんには会ったようだけど、弟と妹には会ったのだろうか?今度聞いてみよう。そんなことを思いながら俺達の同居生活が始まろうとしていた。