10 同じ浴槽で密着だと!?
ご褒美タイム
「ふぅ・・・こういう狭いお風呂は初めてで楽しいです」
「そ、そうなんだ」
ナチュラルな金持ち発言だが、それを言及する余裕はなかった。背中を流してから玲奈ちゃんと俺は同じ浴槽に玲奈ちゃんを俺の上に乗せるように入っていたからだ。おかけで玲奈ちゃんが近づくと無意識に反応してしまう。色んな意味で。
「やっぱり先生大きいですね。後ろから抱き締めてくれませんか?」
「え、いやいや、それは流石に・・・」
「ダメですか?」
「やらせていただきます」
拗ねたような表情で言われたのでNOとは言えなかった。来年の目標には是非NOと言える日本人になることにしよう。あとお酒は控えようと思う。
ぎこちなく俺は玲奈ちゃんを抱き締めるが、あまりの細さと女性特有の柔らかさに思わず感嘆の息を洩らしそうになる。まあ、我慢したけど。
「なんだかこうして抱き締められると凄く安心できます」
「そうなの?」
「はい。先生なら私の全てを捧げてもいいと思えますから。まあ、既にいくつかは差し出してますが」
一体これ以上何を差し出すと言うのだろうか。純潔やら結婚やら色々と捧げてくれているのに。そして俺は大したものを返せそうにないのに。
「あのさ、玲奈ちゃんは俺なんかのどこがいいの?」
「全てです」
迷わず断言された。
「詳しく言いましょうか?容姿から性格までの全てです。先生の優しい心も、凄くお人好しなところも、女性に苦手意識があるところも、喜怒哀楽の全ても、先生の少しだけ筋肉質で男の人特有のがっしりた体も、小柄な私よりも高めの身長も、責任感の強さも、私なんかのことを救ってくれたことも、私の愛を色々言いつつ受け入れてくれたこともそうですし、他にも・・・」
「あ、いや。もう十分だから」
ここまで褒められたのは初めてなので思わずそう制止してしまっていた。色々と知ってる上に見抜かれてそれを愛しく思ってくれているのがわかったので照れてしまう。でも、ただ一つだけ訂正したかったので俺は言った。
「あのさ、俺は玲奈ちゃんだから助けたかったんだ。それに本音を言えば玲奈ちゃんからの好意は凄く嬉しいんだ。だから、その・・・こんな俺で良ければこれからも側にいてくれないかな?」
最後は照れてしまったが、なんとか言えたので反応を伺うと玲奈ちゃんは溢れんばかりの笑みを浮かべてから俺に抱きついてきた。
「もちろんです!先生大好き!」
「ちょっ、れ、玲奈ちゃん裸で抱きつくのは・・・!」
湯船のお湯が俺達の動きで減っていく。しばらくそうやって格闘しながらも、後で冷静になって考えると俺はかなり大胆な告白をしたのではないだろうかと思う。というか、なんだかんだで最初以降は玲奈ちゃん相手にトラウマが蘇ることはないので、これが本物の力なのかもしれないと思うのだった。