再愛
あの日は雨が降っていた。
あれから7年が経ち、私は24歳になった。
高校を卒業後、普通の企業に就職し、それなりに充実した日々を送っていた。
彼氏ができたりなんかもして……
あの日、いつも通り仕事を終え、家に帰ろうと、いつも通り電車に乗り、最寄りの駅で降りて改札を抜けた時、突然
「紗耶ちゃん……?」
と呼び止められた。
誰、この美人。
え、誰?
私にはこんな知り合いいな……あ
「ゆいり……」
ちょっとウェーブのかかった明るめの茶髪。丸くて大きい茶色の瞳。間違いない。ゆいりだ。
西条ゆいり。
高校二年生の時に仲良くなって……まぁ、その、色々あった……子だ。
大人になってまた一段とキレイになった。
というかキレイになりすぎ。一瞬誰だか分からなかった。
「やっぱり紗耶ちゃんだ! 久しぶり~!」
「あ、うん、久しぶり……」
別れ方も別れ方だったからなんだか気まづいような……
なんて思っていたら
「あ……ごめんね、久々に会えたのが嬉しくて……
あんなことがあったのに、嫌だよね……ごめん……」
なんて言ってあまりにも悲しそうな顔をするから
「ううん! もう昔の話だし、私も会えて嬉しいよ! 元気そうで何より!」
これは本心だ。会えて嬉しい。まぁ、心配だったし……。元気そうで良かった。それにあの感じからしてもう気にしてないみたいだし、ちょっと身構えすぎたかな……もう7年も前の話だしね。
「本当!? 良かった! 紗耶ちゃんも元気そうで良かったよ~!」
なんて二人でしばらく話ていたが、こんな所では何だから、と居酒屋に移動した。
高校時代の話、恋愛の話などで盛り上がっていると結構な時間が経っていたらしく、店の人に
「すみません、もう閉店でして……」と、言われた。
もうそんな時間か。
折角いい気分になった所だったのになぁ、と思っていたら
「じゃあうちで飲み直そうよ!」
と彼女が言うので
「そうしよう! 明日は休みだしまだまだ飲むぞ~!」
なんて言いながら店を出て、コンビニでお酒とおつまみを大量に購入し彼女の家に向かった。
彼女の家でもまた盛り上がり、結構な量のお酒を空け、空が明るくなってきた頃、
眠い……瞼が落ちてくる……
「紗耶ちゃん?」
と呼びかけてくる彼女に
「あ……うん、うん……」
と返事をした所で私の意識は途絶えた。