ゴミはゴミ箱に
ふわっ~と、あくびをしながら職場に向かう。
朝方まで練習をしていたせいで、完全に寝不足だ。枕は穴が開いているし寝にくいのなんのって。
悪魔を探すのは、休みの日にしよう。夜中とか次の日に支障が出るしな。
それにしても、満員電車も人混みも無い、車で家から20分の職場。渋滞なんて勿論無いし、信号につかまることすらほぼ無いのだ。老後に田舎暮らしをしたいって気持ちがわかった気がする。
一番の衝撃はコンビニだ。
セイコー○ートってなんだよ。安すぎるってレベルじゃねーぞ。ホット○ェフとか旨いし安いし。パスタ100円とかスーパーより安いじゃねーか。
なんて考えているとあっという間に職場の駐車場に着く。ちょうど上田さんも着いたようで車から降りてきた。
可愛い! この人、東京で働いたら一瞬で彼氏出来るぞ。⋯⋯って、んっ? 肩にいるあれはなんだ?
まばたきを、何度かしてもう一度よく見てみる。紫色した二本の角が生えている生物。手にはフォークみたいなものを持って、上田さんの肩の上に飛んでいる。
えっ? あれ悪魔⋯⋯?
「赤城さん、おはようございます」
「おはようございます。⋯⋯上田さんちょっといいですか」
《超素早くゲンコツする》
ゆっくりと上田さんに近づき、肩の上に飛んでいる悪魔にゲンコツをしてみた。
ゲンコツが当たった瞬間に、プシュン! と、消えていなくなった。
「肩にゴミが着いていました」
「ありがと~」
「どういたしまして」
そう言いながら、事務所へと二人で向かって行く。
ん~⋯⋯弱くね? 一番最初のステータスじゃ、スライムだって一撃じゃ死なないぞ。
「何かあったの?」
考えている姿を見た上田さんが話しかけてきた。
「いえ、ちょっと考え事を⋯⋯あ、そう言えば最近何か困ったことってありました?」
「え~なんだろ? あぁそう言えばコンビニで買い物をするときに何でかわからないけど、小銭を毎回落としちゃうんだよね~。疲れてるのかな」
「へ、へぇ~」
⋯⋯ちっちゃくね? 悪魔の悪事ちっちゃくね?
「赤城さんは何かあるの?」
「枕に穴が空いちゃって買い直さなきゃって事ですかね」
「え? 枕って穴あくの?」
うん、そうだよね。俺だって聞いたことねーよ。枕に穴があくなんて⋯⋯
「不良品だったかもですね」
「不良品って⋯⋯赤城さん面白いね!」
他の人からしたら面白いだろな。俺は困ってるけど。
「そう言えば、ろっこくに新しいスーパーが出来たんだって! だから今度の休みに見てくんだ~。いいでしょ~」
「えっ? ろっこくって何ですか?」
「ろっこくは国道6号線の事だよ。茨城じゃ常識だから覚えてたが方がいいかんね」
その略し方はなんなんだ。ろっこくでも、ろうごうでも文字数同じだけど⋯⋯。むしろろくごうの方が言いやすいまであるぞ。それ以上に新しく出来るスーパーに興味ある? 茨城ってどんだけ何も無いんだよ。
そんなわけで、茨城の新たな情報を手入れ、悪魔の悪事の事はとてつもなくモヤモヤしたけど、ここで電話するわけにもいかず、今日一日ずっとモヤモヤしながら仕事をする羽目になった。⋯⋯帰ったら電話しよ。
悪魔の事をちゃんと聞いておこう――――
※上田さんはたゆんたゆんではありません
ご理解ください。




