茨城から出る方法
遅くなりました⋯⋯
ぶぶぶっ。ぶぶぶっ。ぶぶぶっ。
それから五分ほどしてまた電話がかかってきた。
『払って来ましたのでセーフでございますよ』
いや、払わずに店を出た時点でアウトだけどな。そんなことを言っても、どうせ神様だからセーフなんだろうから、言うまでもないな。
「多分だけど、茨城神よりかはまともだと信じて聞くけど、俺はどうやったら茨城から出れるんだ?」
『それなら簡単な事でございますよ! 茨城に住み着いている悪魔を10体倒せばいいんですから』
おっとりした声で、コイツもとんでもないことサラッといってきがる。異世界で魔王倒すのと大差ねーぞ。魔王とか知らんけど。
「⋯⋯全然簡単じゃねーだろ」
⋯⋯ははっ、コイツもバカだ。だいたい悪魔ってなんだよ。俺は安倍晴明の生まれ変わりかなんかなの? 茨城が安倍晴明の出身地っていう伝説が残ってるらしいけどさ。
『えっ? スキルがあるのですから簡単だと思いましたけど』
「え~と、ごめん。⋯⋯スキルってなに?」
『いばちゃん! スキル言ってないの? ねぇ、ちゃんと説明してって言ったじゃない。そんなんじゃ赤城さんに、ごじゃっぺって言われちゃうよ』
⋯⋯ごじゃっぺってなんだよ。そんな言葉知らないから言わねーよ。
受話口の向こうで、美少女がたゆんたゆんに怒られている。素晴らしいシチュエーションじゃないか! 夢が広がってきやがる。
ってか、いばちゃんって呼ばれてるのかアイツ。いやいや、今はそうじゃない。情報量が多すぎるけど、スキルってなんだよ!
『ごめんなさいね。ちゃんと説明してなかったようでございますね。』
しばらく受話口からは説教している声が聞こえてたが、どうやら終わったらしく謝罪をしてきた。
「らしいね。で、スキルと悪魔について教えてもらっていいかな?」
『赤城さんには、スキルって呼ばれる特殊能力が一つ与えられているのですよ。悪魔には効果大でございます。悪魔って言うのは各都道府県にいるのですが、悪さばかりする嫌なやつなのですよ。私も嫌いですね』
そんなものがあるなら余裕そうだな。なんたって効果大なんだろ。
「ちなみに、俺のスキルって言うのは、どんなものなんだ?」
アニメ好きの俺としては、スキルって言葉でチョットばかしワクワクしてしまっている。
『【超素早くゲンコツが出来る】ってスキルでございますよ』
⋯⋯舐めてるのか? 否! 舐めすぎている! 俺のワクワクを返してほしい。
「うん、君達はお馬鹿さんなのか? それともさっき言ってたごじゃぺなのかな? ゲンコツで悪魔が倒せるなら、誰だって倒せるわ」
『いえいえ、ゲンコツじゃございませんよ。超素早くゲンコツが出来るのですから。それに茨城の悪魔は弱いで有名ですからね』
「茨城の悪魔は弱いのか?」
『はい、そりゃもう! 47都道府県で 最・弱。都道府県の魅力に応じてその力も変わるのですが、茨城は【魅力の無い都道府県ランキング】で、ここ数年は常にワースト1でございます。』
なるほど、最弱だからこそ簡単だと。しかしゲンコツで倒せるって⋯⋯。にわかには信じられないぞ。
『それと普通の人には、悪魔は見えませんのでご注意を。他の人に喋るのはオススメしませんよ。頭がおかしな人だって思われちゃいますからね。赤城さんは転生するときに受けた祝福、【天使の目】があるから見えるのですよ』
「⋯⋯何それ? 祝福とか受けた記憶ないけど」
『ねぇ! いばちゃん、なんで? お菓子食べないで答えて!』
あぁ舐めてるわ~。舐め腐ってるわ~。絶対にアイツはコンソメ食ってるわ~。
『もういいです! 私行ってきますからね! ⋯⋯もしもし、今からそちらに行きますね』
プツッ。と電話が切れたと同時に目の前に、目の前が光でおおわれ、たゆんたゆんが現れた。それはそれは立派なものです。
うん、やっぱり想像通り。⋯⋯たゆんたゆんだ。比喩的表現で言えば筑波山だ。




