決断
またぐわんぐわんと揺さぶられ、自分の部屋へと戻ってきた。
ふと時計を見ると、時間は全く変わっていなかった。こちらの世界の時間では一秒とたっていないんだろうな。
内容はかなり重かったけど。
暫く沈黙が続いたけど、この沈黙に耐えられずふと疑問に思ったことをぶつけた。
「なぁ、俺と切り離しされたら地上にいたらコイツはどうなるんだ?」
「天界に居たときとはわけが違いますので、人間として構築し直すのが一番かと⋯⋯」
「人間っ? 嫌無理だろコイツじゃ。な、なら俺が残りの期間使って悪魔を100体倒せればとりあえず天界には戻れるんだろ?」
「そうですね。そうしていただけるのであれ⋯⋯」
「無理よ」
コイツが珍しく急に話しに割り込んできた。
「自分でも感じてるでしょ? 一ヶ月位なら今の力のままで生活は出来るでしょうけど、そのスキルや、体の耐久性だって弱まってきてるの」
「な、なら一ヶ月で⋯⋯」
「仕事は? 仕事辞めたら死ぬわよ。人についてるのが殆ど何だから夜中じゃ殆ど悪魔を見つけられないから休みの日に探す? 1日10体も探して倒すなんて無理」
「⋯⋯」
今までだって早々見つかるわけでは無かった。人が多い所に行けば。とも考えたが移動までに時間がかかりすぎる。それに見つけられるとも限らない。
やるだけやってみて、無理なら俺だけ東京で生活する? そんなふざけた事は嫌だ。
「⋯⋯無くは無いですよ」
「⋯⋯っ!」
振り向くとたゆんたゆんは、静かに喋り始めた。
「今まではいばちゃんに任せて誤魔化してきた部分がありましたが、もう辞めます。確かにいばちゃんが天界から追い出された状況では100体は無理でございます。なので赤城さんが⋯⋯」
「東京神っ!」
たゆんたゆんに睨みつける。コイツがこんな顔をするのを初めて見た。
「私は、⋯⋯私は嫌なのよ。いばちゃんがいばちゃんで無くなのが! いばちゃんに沢山助けられてきた私は、助けてもらってばかりの私は、嫌なの⋯⋯」
泣き初めてしまったたゆんたゆんの肩にそっと手を置き、コイツは怒りを無くし、微笑みながらが喋り始める。
「アナタはもう一人でもやっていけるだけの力があるわよ。私が神でなくなったとしても、こうして会いに来て話せるわよ」
「で、でも⋯⋯」
そんな二人のやり取りを見て、自分だけ帰れるか?
ははっ、無理だな。
「言ってくれよ。その方法ってやつを」
「アンタっ」
「いいだろ? 聞くだけならたいした問題じゃないし」
俺はニコッと笑ってみせた。コイツはポンコツだけど、根は良い奴だってわかったしな。
「⋯⋯聞くだけならね、⋯⋯わかったわよ。その方法って言うのはアンタが私の眷属になるの。つまり天使になるのよ」
「天使?」
「そうよ。人間を辞めて天使になって悪魔を倒すの。それならば寿命も無くなるし期間も無くなる。人間って概念が無くなって私の眷属になるから、私のエネルギーの移動も私が自由に出来るわよ」
なるほど。まぁ詳しくはたゆんたゆんが説明してくれるだろうな。
「わかった。俺は天使になるよ」
そう言いながら、コイツの頭にポンっと手を置いた。
「ちょっ! アンタっ!」
「⋯⋯えっ?」
急に体が光始め、自分の体を見渡す。なんで光ってるの?
「アンタ、神である私に触れながら天使になるって言った瞬間に、契約が結ばれちゃうのよ」
「知らねーよ!」
「普通は神にそう簡単には触れられないの。日本でアンタくらいよ、そんな簡単に神々に触ってるのは」
言い方があるだろ。ちょっぴりエッチに聞こえちゃうだろ。
そんなことを思っていると光が消えた。体を見渡してみるけど、何も変わった感じはしない。
背中に小さな羽とかもないし。
「⋯⋯えっ? 何で?」
「わかりません。⋯⋯失敗? いえ、そんな話しは聞いたことがありませんよ」
『はははっ。こうなると思っていた。来なさい』
どこから。というか、頭の中から声が聞こえてくる。二人を見るとたゆんたゆんは驚愕し、コイツは凄く嫌な顔をしている。
「なんだ、どういうことだよ?」
「大神様よ。⋯⋯最悪。あの人絶対に見てたわね」
「のようですね。行きますか?」
「仕方ないわね。私の神としてのエネルギーも何か戻ってるし、行かなきゃまた怒られるわね⋯⋯」
二人が勝手に話しを進めているけど、着いていけていない。
「いやいや、どういうことだよ? 行くってなに?」
「行けば分かるわよ」
コイツは嫌そうな顔は変えず、俺の腕をガシッと掴んでくる。
「だからどこにだよ?」
「大神様の所よ」
こうして俺はよくわらないまま、天使になり、大神様の所へと向かうのだった――――




