茨城とは国の集まり
「茨城は独立した国なんだよ」
今日は仕事帰りに、上田さんに誘われて居酒屋に来ている。何でも飲みたい夜もあるのだとか。そんなことを言われて断るヤツなんかいない。
もちろん、二つ返事だ!
ちなみに茨城の居酒屋の特徴は、なんと言っても駐車場が広い。車で来ることが前提の作りだ。駅前にもあるのだろうが、そもそも茨城の殆どの人は車通勤の為、駅前の居酒屋には行かないとの事だ。
そのため、飲んだら代行で帰るのが基本らしい。
なるほど、だから大通りにも居酒屋があるのか。
さて、そんな居酒屋でビールで乾杯して、一杯目を飲み干したところで上田さんに言われた。
スタートから随分と飛ばしすぎやしませんか?
「⋯⋯ちょっと何言ってるかわからないです」
「それは宮城県でしょーよ! 茨城なら頭を思っきり叩かないと。でも叩いたら二度口聞かないけどね!」
とても残念な事になっていますよ。上田さん。
仕事中はとても良いお姉さんって感じなんだけど、この人プライベート残念だな⋯⋯。
美味しそうにビールを飲んでる姿はとても良いだけに残念だ。
「で、その独立した国とはどういう意味なんですか?」
とはいえ、気になることを言われれば、聞かずにはいられない。
「茨城って、隣の市でも言葉が通じない事があるんのよ。高校入ったときはそれで、苦労するって結構あるある」
「何ですかそれ?」
隣の市で言葉が通じないってどんだけ閉鎖的なんだよ。
いや、もしかしたら比喩的表現ってだけで、俺がイメージしてるものとは全然違うって可能性だってゼロでは無いはず。
「なんて言うん。茨城なのに方言が違うって言うのかな。
えっ? みたいな顔されっときが事があんのよ。【はっちょ】と【ちく】みたいな感じかな~」
お、おう。どっちも意味がわかんねないぞ⋯⋯。
なんでどちらもわかるでしょ? みたいなテンションで話すかな。両肘を付きながら、手に顔をのせながら喋る姿は可愛いけど、可愛さには流されないぞ。
「ねぇ、わかんないみたいな顔してっけど、常識だかんね。それっくらいわっかんないと、大和駅の池に沈められっちゃうよ」
むしろそれくらいで池に沈めるって⋯⋯。ってか駅に池があるってどういうこと? 展開が早すぎて追い付かないけど。ここは下手なことを言わずに下手に出るに限る。東京時代に培った社会で生きる術だ。
「すみません。無知な僕に教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「もぅ仕方ないな~。どちらもウソつきって意味だよ。まぁ、はっちょぺーぺーっていう人もいるけどね」
新しい単語が波のように押し付けてくるじゃないか⋯⋯。
その後も沢山の茨城弁にやられてしまい、酔うこともなく代行で帰った。
今日の出来事を家についてからアイツに話したら、
「なんも知らなすぎじゃない? あんたはなんで茨城にいるの?」
と、罵倒されたが、そんなこと決まっているじゃねーかよ。
お前のせいだ!




