焼き饅頭の形を想像してごらん
群馬神を部屋に招き入れ、ソファーに座るように促す。
「すみません」
と、一言言うとスカートがシワにならないうに、お尻から足にかけて手を滑らせてから座る。
そのお陰でヒップラインがもろに分かり、トイレに駆け込みたい気持ちをグッとこらえ、風呂場のドアを叩きがらコイツを呼ぶ。
「おい、出てこい。群馬神がきてんぞ」
シャワーのシャーという音より大きな声で返事が返ってきた。
「グンマーでしょ。焼き饅頭でも食べながら待っててって言っといて」
二つの単語は分からなかったが、口調からして間違いなく馬鹿にしてるのだけは伝わった。
「とりあえずさっさと出てこいよ」
と、伝えてリビングに戻ってきて群馬神に、
「もう少しで出ると思うんでもうちょっと待ってて下さい」
と伝える。
⋯
⋯⋯
そうだった。あぁそうだとも。アイツが出てくるわけが無いんだ。何を期待していたんだ俺は。
すでに群馬神と無言の20分を過ごし、これ以上は耐えられない。
「アイツ出てこないんで、先に話し聞いていいですか? 何しに来たんですか?」
当たり障りの無い天気などの話しをして距離感を詰めてから確信の話しへと持っていくのがスマートなんだろうが、俺にはそんなスキルは無い。
「はい。今、群馬では3mを越える鬼が発見されたと情報が入りまして、まだ山の中にいるようなのですが、街に降りてきたら大きな被害が想定されます。そこで、茨城神へと協力要請をしに参りました」
真剣な顔で訴えかけてくるが、アイツに協力要請とは何かの間違いか?
「えっと、すみません。アイツに協力要請ってわかってます? こういうのもなんですがアイツはポンコツですよ」
俺がそう言うと、群馬神は急にソファーから立ち上がり、
「みんなそうやって言いますが、あの人は凄いんです! そして愛くるしさ120%なんですよ! それに体は小さいのに堂々とした姿。周りにとらわれず自分自身を貫く姿。素晴らしいと思いませんか?」
「は、はい」
とは、気迫に押されて同意してしまったが、それってだだの傲慢で自己中と言うことではないだろうか? やはりこの人は、ダメな人だったか⋯⋯
「ってか、神様って攻撃が聞かないんだろ? 協力要請って何してもらおうと思ってるんだ?」
「それは赤城さんに倒して貰おうと思っています!」
やっぱりか⋯⋯そりゃそうだわな。ガックシと項垂れはしたがここで断るのは申し訳ない。ナイスなヒップラインを見せて貰ったんだ。そのお礼はしなければならないだろう。
「はぁ、まあわかりましたが、そこまで俺行けるんですか?」
「特典って受けていますか? それによるとは思うのですが、場所は地図でいうところの桐生市のちょっと上です」
あぁ、そう言えばそんなのもあったなすっかり忘れてたわ。アイツのパワーが落ちてるせいで物忘れが激しくなってきたな⋯⋯
「いや、最近は特典もらってないな。アナタでも特典って出来るんですか? 出来るならやってもらって行けるか確認してくれ」
「わかりました。では失礼します」
と、俺の額に手を当てる。仄かに暖かくなるのを感じる。
「大丈夫ですね。行けますのでお願いします」
俺の額から手を話すと笑顔でそう言ってくる。行けるなら行くしかないよな。
「因みにアナタってどんな加護が出来るんですか? さすがに3mともなると危険が生じると思うので協力はしてもらいたいんだけど」
それを聞くと、群馬神は左上の時計をじっと見始める。
おいおい、まさかな。そんなわけないよな⋯⋯
「⋯⋯おい」
たまらず群馬神へと呼び掛ける。
「いえ、⋯⋯はい。え~と、そうですね。⋯⋯暗算が早くなります。すみません。戦闘に不向きで」
やっぱりポンコツか。そんな感じはしたんだけどさ。仕方ない頼るべきはたゆんたゆんだな。
「ちょっと待って、今応援の電話するから」
現在時刻は17時を回ったところだ。前回のように夜ってじゃないだけマシか。あぁヤダヤダ⋯⋯
それにしてもアイツ風呂から出る気が無いのかね。まぁ無いんだろうな。




