袋田の滝のデカさは偉大
「でっか!」
あれから一週間が経ち、今日は茨城県久慈郡大子町【袋田の滝】にドライブがてら来てみた。さすがは日本三大瀑の一つに数えられる、幅74mの滝だ。
目の前にするとその迫力はとんでもなかった。
松尾芭蕉が尊敬していた西行法師が『四季に一度ずつきてみなければ本当の良さはわからない』と絶賛したと言われるだけのことはあると思った。
ただ、残念なのは隣でボリボリとポテチを食べるコイツがいることと、若い人が誰もいないということだ。若い人は一体どこにいるんだマジで⋯⋯
「⋯⋯で、何でここにいるんだ? 暇だからか?」
「そう、見てわかるでしょ。ん、食べる?」
滝を見たまま視線を変えずにポテチをこちらに向けてくる。
「サンキュー。って何でここの場所わかったんだ? 俺が出掛けるときまだ寝てたろ」
向けられたポテチの袋に手を突っ込み、二枚取って口にほおばりながら聞く。
「アンタを再構築させたのは私だからね。そりゃわかるよ」
「そう言うもんなのか。俺のプライベート完全無視もいいところだな」
再度、ポテチの袋に手を入れてポテチをもらう。
「で、いつまで滝見てるの? あっちに悪魔いたよ」
「はっ?」
コイツの方を見ると、来た道とは逆の出口を指差していた。あぁあっちから来たのね。と、どうでもいいことまで考えちゃったじゃないか。
「見つけたなら、倒してからこいよ。何で野放しなんだよ? ほら行くぞ」
と、コイツの腕を掴んで、指を指した方の出口へと歩き始める。ただの観光くらいは何も考えずゆっくりさせてくれよ⋯⋯。最近じゃ景色をゆっくり見るのが好きだっていうのに。
「そりゃ無理だからに決まってるでしょ。私達、神は悪魔を物理攻撃出来ないんだから。前に聞いたの覚えてないの?」
「えっ? そうだっけ?」
思わず歩くのを止め、振り返りながら聞いてしまった。
「そー、だから倒せるのはアンタと、天使たちだけ。ほら、わかったならちゃっちゃと倒しちゃってよね」
そう言いながら、歩き始めたコイツの後を追いかけた。悪魔までの道案内はコイツについていけば良いだけだが、やばっ⋯⋯すっかり忘れてたわ⋯⋯
「ほらあれよ」
歩きながら考えていた意識が、コイツの声で前へと向けられる。
前を歩くおじいさんの頭の上を飛び回っている掌サイズの悪魔だ。流石に六体目の悪魔ともなると見慣れてくるからなのか、この掌サイズの悪魔って商品化したら売れるんじゃ無いって感じのフォルムだよなと思えてくる。
まぁ、とはいっても悪魔は悪魔だ。やっつけなきゃならないことには代わりはしない。おじいさんに黙って後ろから近づき、悪魔にゲンコツする。プシュン! と、聞きなれた音と共に悪魔が消滅するのを確認して、そのまま出口へと向かって歩き出す。
悪魔を見ちゃったし、もう滝をのんびり見る気にもなれないしな。出店で焼き餅と、焼き里芋が売ってたのを思い出したしそれを買ってさっさと帰ろう。
「お前はテレポートで帰るのか?」
同じく出口に向かって横を歩くコイツに質問をすると、
「ん~、暇だから助手席で帰るよ。アユの塩焼き食べたいし」
「はいよ」
とりあえず聞くことは家に帰ってからにしよう。話しに集中しすぎて事故ってしまう可能性があるしな。ペーパードライバーの俺には衝撃過ぎて受け止められない話しが飛んできたらたまったもんじゃないし―――




