栃木と言っても佐野ラーメンあたりの物語
『着いたぞ』
一瞬にして雑木林らしきところに連れてこられた。月と星の光でなんとかかろうじて回りは見えなくもないが、こんな所ってわかってたら懐中電灯持ってきたのに⋯⋯。せめて連れてくる前に言って欲しいもんだ。
茨城ライフを送ってると言っても、こちとら24年間ネオン輝く夜も明るい所に住んでたんだ。夜の暗さにはまだ慣れちゃいないんだよ。
愚痴ってても仕方ないので、スマホのライトで周りを照らす。
『バッ、おまっ!』
⋯⋯えっ?
ぐふぉっ⋯⋯車か何かが俺に体当たりをして、そのまま吹っ飛ばされ木に激突した。前も後ろも激痛だ。
ちょっ⋯⋯ちょっと、待ってくれ⋯⋯はぁはぁ、意味がわからんぞ。栃木に着いて一分でぶっ飛ばされるとか、展開が早すぎるだろうよ⋯⋯
だぁ~、クソッタレ! ダメージはあるもののなんとか立ち上がり、前を向くと紫色に発行した悪魔がこちらを睨んでいる。羽は生えているが、地面に立っている。あの腹が出てる体型ではさすがに飛べないのか?
『馬鹿者! こんなところでライトをつけるものがいるか! 悪魔は目の前なんだぞ!』
「な、なら⋯⋯先に⋯⋯、言ってくっ⋯⋯れよ」
ははっ⋯⋯。まったく普通は悪魔の目の前にいきなり連れてこねーだろ。コイツもポンコツかよ。なんとなくわかっちゃいたけどさ。
「な、⋯⋯なぁ。身体中激痛なんだわ。回復してくれない?」
『私は回復など出来ん! 出来るのは敵を魅了するだけだ』
それ、神様の技じゃなくて、サキュバスの技だろーが⋯⋯。
「なら少し魅了して、動きを止めててくれ、その間に呼吸を整えるから」
『任せよ!』
そういうと、悪魔の前に立ち、仄かに光りを帯びる栃木神⋯⋯。それはそれは怪しげなダンスを踊る。こちらからは後ろ姿なので顔は見えないからどんな顔で踊っているかわからないが、その代わりバッチリ揺れ動くお尻が見える。
バ、バカヤロー! そんなの拝ませてくれたら、一瞬で元気出ちゃうじゃねーか! 神様のお尻から、悪魔へと目線を変える。
《超素早くゲンコツをする》
上田さんの時と同じようにゲンコツが当たった瞬間に、プシュン! と、消えていなくなった。ははっ、このデカさの悪魔でも一撃で悪魔を撃破かよ。当たりさえすればやっつけられるだな。
ただ、倒すことは出来たが、防御力が致命的だ。これから防御力の補填をどうするかが課題だな。
地面にへたり込み、スマホを取り出して電話をかける。
「もしもし、栃木に栃木神と一緒にいるんだけど、回復お願いしていい?」




