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ことば

朝食をとるためにキッチンに向かうと、母の小言が落ちていた。冷蔵庫の前に大きな小言が落ちているのを蹴飛ばして、冷蔵庫を開けた。

母はもう出勤したようだ。父は一昨日から出張で家には帰ってこない。

食パンをトースターに入れ、牛乳をコップに注ぐ。リビングのテーブルにコップを置き、テレビをつけた。テレビからは東京から電波で飛んできたアナウンサーの声が発せられている。滑舌が良く綺麗に見えるアナウンサーの言葉は、原稿を読んでいるだけに過ぎない。ある程度漂っていると、役目を終えたかのように消えてしまう。



自分以外の人間に、言葉が見えないと知ったのは、小学五年生のときだった。当時、キャラクター同士で戦わせるカードゲームが仲間内で大人気だった。そんな中、僕らのグループで一人だけカードを持っていない仲間がいた。彼は貧乏というわけでもなく買えないこともないはずなのに、僕らが遊んでいるのを見ているだけだった。

「お前意外のやつはみんなやっているのに、どうしてお前は見ているだけなんだ」

と、見ているだけの彼に別の仲間が言っているのが見えた。彼が「んー、なんとなく」と答えたのを見て僕は、「意外じゃなくて、以外だよ」と、最近の授業で知ったばかりの知識を披露した。そのときのみんなの表情は今でも忘れない。僕の発言を聞いたみんなが無言でこちらを見ていた。何か間違ったこと言ってしまったのではないかと、僕は不安な気持ちになったまま、不自然な空気もそのままで、それぞれがカードゲームに戻った。この一件が忘れられなかった僕は、自分の発言を意識するようになった。いろいろと模索すると、僕以外の人間には言葉が見えないということが分かった。小学五年生のときに気づいてから高校二年生に至る今までの七年間、いろいろと分かったことがある。言葉には、色、形、質感、雰囲気などがあり、それを僕は触れることができる。想いの強さで僕に見えている時間が変わる。嘘を言ったときはすぐに消えてしまう。自分でも詳しいことはよく分からない。ただ、非日常的な僕にとっての日常を過ごしている。「なんかおもしいことねーかなあ」と生きているだけだ。



面白いことが起こった。中学からの友人がストーカー被害にあっているらしい。他人事なので、おもしろいこと、で済む話だが本人にとってはかなり深刻なようだ。話を聞いているうちに、僕もおもしろいこととは思えなくなった。

「メールの数がやばいんだって」

ほらぁ、と情けない声を出して、二つ折りの携帯電話を差し出してきた。千件以上のメールの記録が保持できるメール受信ボックスが埋まっていた。一番過去のメールは四日前だ。

「気持ち悪い」

僕は心からそう思った。

「アド変は?」

「した。何度も」

机にひれ伏せているせいで、北川きたがわの声はこもっている。

北川はストーカーがストーキングするのも頷ける、よく出来た男だ。彼に惹かれていく女性が多いのは不思議ではない。

「俺さ、告白しちゃおうかな」

「ストーカーに?」

ムッとしてあげた北川の顔は冗談を受け付けていない。

「冗談だって」

北川には好きな人がいる。同じクラスの立花紀子たちばなのりこという子だ。北川はよくビー専だと言われる。美人よりも不美人を好む、というやつだ。実際、紀子も容姿に気を使っている様子もなく、女性的な魅力は見た目からは感じられない。他の男子生徒から恋愛対象に見られるということもまず、ない。しかし、僕も紀子が好きだ。異性としての好意ではないから、北川とは恋のライバルにならずに済んだけれど、北川が紀子を好きだというのを聞いたときは素直に北川の恋を応援しようとは、すぐにはならなかった。自分だけが密かに好きだと思っていたロックバンドをいつの間にか友人が好きになり、ファンの先輩である自分にそのバンドの良さを語ってきたときのような、そんな感じの心境だった。

 紀子の言葉は澄んでいて、ファンタジーに出てくる草木に囲まれた泉をイメージさせられる。僕はその言葉にいつも癒されている。残念なことに紀子は口数が少ないので、授業中の教科書の音読は貴重だった。

 実は北川はビー専ではない。過去の恋人にはアイドルのような顔立ちの子もいた。ただ、ビー専と言われてもしょうがないような相手を選ぶこともあった。顔やスタイルだけ見れば、みんなバラバラで好みというのが浮かびあがってこない。共通点が見当たらない。しかし、僕には共通点が目に見えて分かっていた。みんな言葉が美しい。北川の過去の恋人たちが持っている言葉は、見上げると体が溶け込んでしまいそうな青空や、その先に広がる神秘的な宇宙のようだった。北川は無意識にそういう人たちを選んでいる。もしかしたら、僕に言っていないだけで北川にも言葉が見えているのかもしれない。北川が好きになる女性は僕も好きだったし、そんな女性を好きになる北川も、僕は好きだった。

「そうか、告白するのか」

「ああ」

「いいのか?結果はどうあれ、告白したっていうのがストーカーに知られでもしたら立花さんが危ないんじゃないか?メールの感じからして、ストーカーの北川への好意は異常だ。まして、付き合うなんてことにでもなったら」

「だから」と言って北川は僕を見た。

「決着をつける」

僕が反応を示さないでいると、北川は体を起こした。

「決着をつけるんだ。俺をつけている奴と、決着をつけっ、ぶっ」と最後まで言い終わる前に吹きだしてしまった。自分で言っていておかしくなったのだろう。僕も一緒になって笑った。

「まあ、それでだ」と、一段落ついてから北川が続けた。

「メールを見る限り、俺のことを監視でもしているかのように見ているんだろうな」

確かに、メールには北川の行動が気持ち悪いくらいに細かいところまで書かれている。

「ここまで監視されていたら、俺も気づくと思うんだよなあ」

「まあ、確かに」

「俺が犯人に気づくのも時間の問題だと思う」

「そうかも、でも、気づいたところで何とかなるのか?」

「何とかなるんじゃないか?」

ストーカー被害に遭っているわりに、北川は楽観的だった。テスト前の無気力な学生のようだ。点数が悪いからって死ぬわけでもないんだし。そんな感じだった。

「ちょっと何通かメール見て」

「んっ?」

北川の携帯電話はまだ僕が持ったままだった。

「ああ、うん」

「写メが添付されているメールがあるだろ?」

何通か見ていくと、確かに写真が添付されているメールがあった。そのメールには、下駄箱の中にある室内用の靴の上に一輪の花が置いてある写真が添付されていて、明るい調子で自分からのプレゼントである、ということが書かれていた。

「え…?」

と僕は北川の顔を見た。ドラマなどで見るストーカー被害はもっと気持ち悪くて派手なものが多いけれど、身近に起きるとなるとこれくらいでも十分恐怖を感じる。

「他にも、弁当を作っておいたって、俺の机の上に弁当が置かれた写メ付きでメールがきたこともある」

「その弁当どうした?」

「廊下に置いてたらいつの間にかなくなってた。そのあと『北川くんの口には合わなかったかな?』ってメールがきたけど」

北川は淡々としていた。

「お前、怖くないのかよ」

「怖いけど、怖がってたってしょうがないだろ」

さっきは情けない声を出していたくせに、今は他人事みたいだ。

「これらのことから推理すると」と言って、北川は人差し指を立てて、ふざけて探偵のように話し出した。

「犯人はこの学校の人間の可能性が高いな」

確かに、下駄箱にならまだしも教室の机に弁当置くなんて、ここの学校関係者以外には難しいだろう。

「それでな、犯人が俺に関係する何かを写メってるのを発見すればこっちのものだと思うんだ」

「現行犯逮捕ってこと?」

「写メってる現場を押さえて、携帯ぶんどって、メールでもなんでも中身を見ちゃえばいいんだよ」と北川は得意気だった。こんな乱暴で行き当たりばったりな作戦を成功できると思っているのだろうか。

「現行犯かあ…」

北川の言うとおり、北川に関係する何かを撮影している現場を押さえて、メール送信ボックスでも見てしまえば犯人かどうか一発で分かるよなあ、と考えながら、花に飾られた北川の靴が映る携帯電話の画面を見ていた。そのままボーっと見ていると「メールを受信している」という旨のメッセージが表示されていた。

「あ、メール」

プライベートだとか個人情報だとか、そういったものは全く考えずに、受信したメールを開いてしまった。

『また、アドレス変えたの?私にもちゃんと教えなきゃダメだぞ!!』

ストーカーからのメールのようだ。僕が画面から目を離せないでいると、いつの間にか誰かが横に立っていた。

「こら、校舎内での携帯電話の使用は禁止だよ」

見上げると隣のクラスの委員長、最上栞さいじょうしおりがいた。

「いや、これは」

何となく、メールを見られてはいけない気がしてすぐに携帯電話を閉じた。

すると、「没収です」と言いながら栞は、僕が持っている携帯電話に手を伸ばしてきた。

「いや、これは…僕のじゃないんだ。北川ので」と、僕は北川を目で示して「僕が見せてほしいって言って見せてもらってて、だから、没収は勘弁してくれないかな?」と慌ててつくろった。

「ふん、まあ、いいでしょう」

と、栞は腕を組んで微笑んだ。

栞は、その容姿や人望から、生徒たちにとって憧れの存在で、先生たちからの信頼も厚い。おそらく、男子生徒からモテているだろう。しかし、僕は栞が嫌いだった。僕はこのクラスの委員長を務めている。クラスの委員長同士ということで、栞とは文化祭などのイベントの準備のときや、その他委員長の仕事のときに近くにいる機会が何度かあった。彼女の気の利いたセリフや明るい口調とは裏腹に、口からこぼれる言葉自体は白い仮面を被ったように冷め切っていた。「そういう人なのね」と、いつも僕は栞の言葉を眺めている。セリフの意味とは真逆の印象を持つ言葉しか話さない、栞のような人は別に珍しくない。こういう人のことを世渡り上手というのだろう。

 「なにか連絡?」

栞とは個人的な付き合いはないので、委員長としての用事だろうと思った。

「ああ、放課後に生徒会室に集合だって。5時までには終わる用事らしいよ」

「わかりました」

意識したわけではなかったが他人行儀な言い方をしてしまった。

「じゃあ、また放課後」と言って栞は僕らから離れていった。教室から出るまでに何人かの友人と話したり、男子生徒の視線を集めたりしながら教室を出て行った。

「栞さんって、モテるのかな?」

と、栞が出て行ったドアを見ながら北川が言った。

「モテるんじゃないかな」

周りの男子生徒の反応を見ると、きっとそうだろう。

「可愛いもんなぁ」

と北川は目を輝かせた。そして、ぼそっと「俺は好きじゃないけどね」と言って両手を頭の後ろに組んだ。僕からは見えないが、その視線の先にはきっと紀子がいるのだろう。

「やっぱりね」

やっぱり、北川は女性を見る目がある。

「なにが?」

「いいや」



 僕も犯人捜しに協力するということで話がまとまった。なんとかして、証拠をつかむ。犯人が特定された後は、北川がどうにかするらしい。「暴力はダメだぞ」と言っておいた。「いっちゃうかもね」と拳を突き出す真似をしていたが、ストーカー相手でもそんなことする男ではないと僕は分かっていた。



 授業が終わった。安堵の言葉やくたびれた吐息で溢れる教室を後にして、生徒会室に向かった。ノックをして生徒会室に入ると僕以外の委員長はすでに揃っていた。生徒会室は教室の半分くらいの広さがある。真ん中に置いてある大きなテーブルを囲んで、A~Fクラスの委員長が座っていた。僕はD組だ。僕の学年の委員長だけが招集されていて、生徒会長と生徒会顧問の教師が一人、各クラスの委員長、計八人が生徒会室に集まった。

「えー、最近」と生徒会長が口を開いた。どうやら、学校内で盗難事件が相次いでいるらしい。しかも、僕らの学年の生徒だけが被害に遭っているようだ。

「ということなので、移動教室の際は貴重品を持ち歩くことを徹底させてください。放課後、帰るときも盗まれて困るようなものを置いておかないように、と生徒たちに伝えてください」

何名かのクラス委員長が生徒会長の言葉に頷いた。

「えー、以上です。みなさんお帰りください」

椅子から立ち上がって、各クラスの委員長たちは生徒会室から出て行った。その流れにのって僕も生徒会室を後にした。生徒会室から出て間もなく『こんくらいのことで呼び出すんじゃねぇよ。担任通して連絡すればいいじゃん』と文句が落ちていた。それもそうだ。5分もかからない連絡にいちいちクラス委員長が呼び出されるのは面倒だ。これはうちの学校の方針らしく、諸連絡は担任教師ではなく各クラス委員長がする仕事だ。委員長自身とそのクラスの生徒に、委員長はクラスの代表であることを認識させるためだとか。



玄関までの間に、一緒に帰るような友人とは会わなかった。下駄箱からスニーカーを取り出して、地面に放り投げた。スニーカーに足を押し込んでいると、北川に見せてもらった写真を思い出した。もしかすると、今も下駄箱になにか入っているのではないのだろうか。北川の下駄箱の扉を開けてみる。そこには北川の室内用の靴以外に、怪しい物は入っていなかった。試しに靴の中も見てみる。何もない。なんとなく安心して、深く息をついた。こんな真剣な面持ちで北川の下駄箱を開けているところを誰かに見られたら僕が怪しまれてしまうかもしれないな。そう思い、周りを見渡して誰にも見られていなかったことを確認した。しかし、怪しまれることはあるかもしれないが、男である自分にストーカー容疑がかかることはないだろうな、と思い直す。やっと足が入ったスニーカーで歩き出した。


学校から家までの距離はそう遠くない。遅刻しそうなときは自転車を使うこともあるが、そうでない日は歩いてきている。運動部には所属していないので、身体を動かす機会といえば登下校時以外には体育の時間ぐらいだ。少しでも一日の運動量を増やすために、なるべく歩くようにしている。今朝は、いつも通りの時間に家を出ることができたので帰りも徒歩だ。

学校から少し歩くと、公園がある。ブランコやジャングルジムなどの、それなりの遊具とスペースがある。小さい子供たちなら、遊具のないスペースでサッカーを十分に楽しめる広さだ。すでに陽が傾き始めているのもあって、公園に子供たちの姿はなかった。代わりに、デコボコしたたくさんの何かがジャングルジムの近くに落ちていた。近づかなくても、それがなんなのかは検討がつく。僕がここに来る前に落ちた言葉たちだ。公園内に入ると、どの文字が落ちているか、どんな意味を持った文章だったかが見えてきた。

 「うるさい」「おまえがそうしろっていったから」「ゼッコーだ」

どうやら、ここで喧嘩があったらしい。心にもないことを勢いで言ってしまったのだろう。暴言をたくさん吐いていたようだが、そのほとんどは溶けて消えかけている。僕がこうしている間にも、地面に染み込んでいくのが目に見えてわかる。この喧嘩は、ついさっき起こったのかもしれない。

 漢字がないところから推測すると、小学校に入学する前の子供たちが喧嘩をしたようだ。“絶交”の文字が片仮名になっているのが、何とも可愛らしい。誰かが言っていたのを聞いて、意味だけを知っていたのだろう。それを、ここぞとばかりに使ったようだ。

 僕の子供のころも事あるごとに、「○○したら、ゼッコーだかんな!!」と騒ぐ友人がいた。

“ゼッコー”という言葉は、その意味の重さに反してリズムがいい。言いたくなる気持ちも分かる気がする。似たような言葉に“絶好調”というのがある。こちらはリズムだけでなく、持つ意味も良いので、僕は“絶好調”のほうが好きだ。


言葉には魂が宿る。だから汚い言葉や悪い言葉を口にしてはいけないよ。これは先人たちの教えだ。『言魂』と言う。悪い言葉も良い言葉も口から発すれば、巡り巡って自分の身に返ってくるという考えもある。この言魂の力を使って、人を呪わんとするのが「呪詛」である。良くも悪くも、言葉には人に対する影響力があると、昔から考えられていた。

以前、本気の殺意が込められた「殺す」という言葉を、僕は見たことがある。本気の殺意が必ずしも殺人の衝動に直結するわけではない。だから僕は、本気の「殺す」は見たことがあるけれど、殺人現場を見たことは当然ない。その「殺す」を見たときは、この世に存在しない魔物を見たような気持ちになったものだ。

口から発せられて、漂ったりそのまま落ちたりしている言葉を人間は無意識に感じ取れるのかもしれない。

 ただ僕はこれを“見て”感じるだけだ。

 呪詛の言葉を僕の前に並べたとする。僕はその言葉を視覚で受容する。きっと良い気持ちではないだろう。毎日のように呪詛の言葉が僕の前に並べられたら、気分が悪くなってくるに違いない。

 “見て”感じることができない人は、視覚以外の何かで受容してしまうにのではないだろうか。その受容力は視覚ほどではないにしても、受容してしまっている以上、いつかは悪影響が出てしまうだろう。

励ましの言葉が力になるのと同じように、呪いの言葉は毒になる。

この影響力に気づいた昔の誰かが「言魂」という概念を考えたのだろう


 ここで喧嘩した子供たちはきっと後悔しているはずだ。暴言はもう、消えてなくなっていた。


                   

                    4

次の日、北川は早速犯人を見つけたらしい。

「あいつに違いない!!」と、教室で僕と顔を合わせたかと思うと叫んできた。

「なにが?ストーカー?」と聞くと、「そうだ!!」と元気よく返ってきた。

「よかったじゃないか、解決して」と気のない受け答えをしていると、北川は犯人らしき人物を目撃したときの様子を説明し始めた。

「今日の朝、いつものように登校していたんだ。普段から人通りの少ない道に入ったとき、なんか気配を感じたんだよな。」

「ほう」

「パッと後ろを振り返ってみたら、電柱の陰にパッと隠れる人が居たんだよな。電柱の陰に移動したくらいで隠れた気になってんじゃねーよって思ったけど、顔は見えなかったし、そのときは正体を確かめようとは思わなかったから、結果的にアイツは隠れることに成功したわけだな。」

「どうして成功を阻止しなかったのさ。正体、確かめればよかっただろ」

 「いや、心の準備が…」と北川はモジモジしている。

 「お前、ストーカー被害者で、しかもストーカーを自らの手で捕まえようとしてるのに、なんか楽しそうだな」

「まぁな。これ解決したら、告白するわけだし」

急に真剣な顔で、真剣な声になったので、僕は少し戸惑った。 

「お前なら、告白すれば即OKだろ」

当然、真剣な友人の力にはなりたいわけで。なんとかこの問題の解決に協力したいと思った。

「やっぱり?そうだよな。俺だしな」と調子づいた言葉が躍っているのを見て、やっぱり協力するのはやめようかな、と思った。

僕が協力しなくたって、もうすぐ解決するような気がしていた。



放課後。練習中の女子バレー部の声や、バスケ部がバスケットボールをつく音など、遅くまで残っている部に練習の音が聞こえる。

学校中が薄暗く、使われている教室以外の電気は消えている。

帰宅部の僕が用もないのに遅くまで残っている理由は、教師一人と学級委員二人で学校内を見回ることになったからだ。

盗難事件のせいである。実際に犯人を見つけ出すことが目的ではなく、見回りを行うこと自体が防止に繋がるだろうという考えだ。

 今日は、僕と隣のクラスの最上栞、僕のクラスの担任である佐川の三人で見回ることになった。曜日ごとに教師も学級委員の二人も代わりばんこになっていくシステムだ。

 「犯人を見つけることが目的にでないにしろ、もし出くわしたら大変だ。先生たちの間では、犯人は外部の人間ではなく、学内の人間だろうということで、出くわしてもそこまで危険じゃないだろう。てことで、本当は三人で行動しなくちゃいけないが、三人で手分けして回ろうか。な?お前ら二人なら安心だ」と笑う佐川の顔を、学内の人間は危険じゃない根拠なんてないよなぁと思いながら見ていた。

 僕の担任である佐川は今年で43歳になる。娘が一人いるらしい。教師陣の中では中堅に位置して、ベテランといっていい。しかし、担任教師として最低限の仕事しかせず、適当なところが多い。授業中、ポッと空いた時間ができるとすぐに自由時間にして、自分自身も自由に過ごしている。たまに、「騒ぎすぎるなよー」と注意するぐらいだ。

 なので、三人で手分けしてさっさと終わらせるという提案が教師らしからぬ提案でも、佐川としては普通の提案なのだ。

三階は三年生、二階は二年生、一階は一年生の教室がそれぞれある。僕は三階、栞は二階、佐川は一階を見回ることにした。特別教室などの鍵のかかった教室は見回りの対象外だ。

廊下や教室の電気がつかないわけではないが、一人一つの懐中電灯が渡された。僕に渡された懐中電灯の電池は切れていたようで、点灯しない。佐川の適当さがうかがえる。

20分後を目途に一階の職員室の前で落ち合って、解散することになっている。

三階へ続く階段を登ると、廊下も教室も薄暗かった。人の気配はない。廊下の電気をつけて、一番奥の三年A組の教室から見ていくことにした。

 教室の中に入ると同時に、マナーモードにしていた携帯電話が震えだした。北川からの着信だ。

 まだ学内なので使用禁止だが、律儀にそのルールを守る生徒は少ない。僕も、大勢の律儀ではない生徒の一人だ。

 「もしもし、どうした?」一応声は潜めて、電話に出る。

 「俺、ちょっと寄り道してさ、まだ家に帰ってる途中なんだけど」声が一定のリズムで弾んでいる。北川は歩きながら電話をかけてきたようだ。

 「ストーカー、後ろにいるかも」

 「え?どうすんの?」驚いて、声が大きくなってしまった。

 「どうしようかー」北川は他人事のような余裕だ。

 「現行犯逮捕?」

 「現行犯っていってもなー、俺の後ろを歩いてるだけかもしれないしなー」

 「じゃあ、どうするんだよ」

 「それを相談するための電話じゃないかー」

 現場にいない僕に相談してもしょうがないことだが、自分以外の誰かの意見を求めたくなる気持ちは理解できた。

 「もう試したかもしれないけど、立ち止まってみたり、なにかの店に入ってみたら?」

 「そうだな。ちょっと店に入ってみる。家まで着いて来られても困るしな。ちょっと電話切る。」

通話が終わった。

 現時点で僕にできることはない。なんとかうまくいって、この一件が勝手に解決することを願った。

 教室の電気を点けて、人が隠れることができそうな教卓の下や掃除ロッカーの中を見て、なんとなく教室全体を見回してから電気を消した。同じように二組、三組、と教室を見て回ったが特に変わった様子はなかった。

 見回りを始めて10分くらいしか経っていないが、職員室の前に向かうことにした。どうせ他の二人だって、20分もかかるわけがない。

 ところが、佐川も栞も、僕が職員室の前に来て10分ほど経っても姿を現さなかった。佐川のことだから、どこかで残っている生徒と出くわして立ち話でもしているのだろう。栞は20分以上もかけて馬鹿丁寧に見回りをしているのだろうか。

 そうして待っているうちに忘れ物をしていることに気がついた。明日まで提出の数学の課題があったはずだ。ノートと問題集が机の中に入れたままだ。

 十分待たされたのだから、僕が教室に戻っている間に二人が来て、少しくらい二人を待たせることになってもいいだろう。教室に忘れ物を取りに行くことにした。

 いつの間にかすっかり日は沈み、グラウンドを照らすライトが点灯している。

 北川はどうなったのだろうか。何も連絡がないということは解決していないのだろう。見回りが終わって、学校を出てから連絡を入れてみよう。

 そうしているうちに、暗くなった三階へと続く階段を登り終えるところだった。

 僕のクラスはD組なので、僕が今登ってきた階段の左方向にあって、右方向の奥からA組、B組と並んでいる。

 廊下の電気のスイッチの位置をいまいち覚えていなかったので、暗闇のまま進んだ。暗闇といっても全く前が見えないわけではない。非常口の方角を示す緑色の看板や、非常ベルの赤のライトが廊下の床に反射している。

 忘れ物を取りに行くだけなので、教室の電気を点けるつもりはなかった。暗くて見つけられなかったら、ケータイの画面で照らせばいいだけだ。

 教室の後方のドアを開けると人影が目に入った。一瞬驚いたが、クラスメイトの誰かだろうと思い直した。

 「ごめん、忘れ物を取りに来たんだ。暗かったから誰もいないと思ったよ。今、電気つけるね」

教室に入ったとき、相手の人影も驚いていたように見えたので声をかけてみたが、なんだか様子がおかしかった。

「いや。やめて。」

電気を点けようと教室の前方に移動する僕に、ズシリと冷たい言葉がぶつかってきた。その言葉からは、怯えと敵意を感じた。

「そこで何をしていたの?電気つけるよ」

立ち止まって、人影を見据える。

 「やめて。違うの。違うんだってば。」

 静かに激しい言葉が僕に飛んでくる。飛んでくる言葉で怪我したことが今まであっただろうかと思い返しながら電気をつけると、取り乱した人影の正体が、まぶしさでぼやけた視界に浮かんでくる。

 荒らされた北川の机の前に、泣きそうな顔の最上栞が立っていた。



そこから学校を出るまでが大変だった。

「お前がストーカーだったのか!」とか「現行犯逮捕だ!」とか、指を差して叫ぶような暇はなく、「違う、違う」と、うずくまって泣きじゃくる1人の女の子をなだめるので手一杯だった。

「分かったから。事情はあとでゆっくり聞くから。」と、できるだけ優しい言葉で、偽りの言葉にはならないように、声をかけて、泣き止むのを待った。

「もう遅いし、先生に見つかると面倒だから、とにかく帰ろう。」

そう言って僕は、散らかった北川の物を適当に机の中につっこんだ。

手をひいていくわけにもいかなかったので、電気のスイッチに指を添えて、栞が教室を出ようとするのを待った。

下を向いてとぼとぼと歩く栞が、後方のドアに手をかけたあたりで電気を消して、僕は前方のドアから教室を出た。

教室を出てすぐの廊下で、栞を追い越して、振り返って着いてくるのを確認した。

「先生には見回りは終わったって、僕が話すよ。栞さんは帰りました、って言うから。」

 こくんと頷いてからは、少し歩幅が大きくなって気がした。

 玄関に着くと遅くまで残っていた部活動の生徒たちが帰ろうとしているのが外に見えた。

 「待っててね。君にいろいろと聞きたいことがある。だから、待っててね。」

 栞が曖昧に頷いたのを見て、僕は職員室に向かった。

 職員室に入ると、佐川は自分の机に座っていた。職員室の中央、廊下側に佐川の机はある。「おー、遅かったなぁ。」と左手を挙げて、右手にはコーヒーカップを持っている。「すみません、友達と話し込んじゃって。」と適当に言い訳をすると、「俺もさっきまで、居残ってた生徒と話してた。」と周りの先生に気づかれないように小さく笑った。

栞がここには寄らずに帰った理由を適当に話し、持っていた懐中電灯を返す。立ち去りながら会釈をすると、佐川は「おー、お疲れ。」と手を振って、コーヒー啜った。

「おい。」と佐川に呼ばれたので振り向くと、懐中電灯のスイッチをカチカチ押してニヤニヤしていた。

「点かねぇぞ?壊したな?」

 「僕が貰ったときには、もう点きませんでした。ちゃんとチェックしてから渡してください。」と僕が不満を口にすると、「おー、悪かったなぁ」と、ちゃっかりとした表情で言ってきた。その、ちゃっかり顔に会釈をして僕は職員室を後にした。

 玄関には栞の姿はなかった。帰っちゃったのかな、と思っていると柱の陰から俯きながら出てきた。

 「隠れてた。誰か生徒が通るかもしてないから」

 ふてくされたようにつぶやいたその言葉は、もう白い仮面ではない。

 「そっか。待っててくれてありがとう。」

 「今逃げたって、明日も同じ学校に登校するんだから」と僕をにらんだけど、涙でぐずぐずになった顔は別段怖くなかった。

 「それもそうだね。家まで送るよ、いろいろ話しておきたいこともあるし。家、どっち方面だっけ?」

 「あっち」と指を差した方角は僕の家と同じ方角だった。話を聞くと、僕の家よりも学校から遠いところにあるマンションに住んでいるらしい。登下校の時間はずれているようで、滅多に遭遇することはなかったが、ごくたまに見かけていたような気がした。

 各々靴を履いて玄関を出た。僕が歩きだすと栞は後ろから着いてきて、栞がどんな表情をしているのか見えない。

 「北川の机をあさっていたのはどうして?」

 僕の言葉が空中を漂ってできるだけ優しく、栞まで届くようにつぶやいた。

 「北川くんの机だったから」

 ぽつりと答えてくれたけれど、僕は前を向いて歩いているので、後ろを歩く栞の表情も言葉も見ることはできなかった。

 「最近問題になっている、盗難とは関係ないんだよね?」

 「うん。」

 それから沈黙が続いた。

 信号待ちのときも栞は隣に来ることはなく、少し後ろに立っていた。

 いろいろと聞きたいことや話したいことがあってけど、なんとなく話しづらかった。

 「あのさ」と僕は振り向いて、後ろを歩く栞の顔を見た。

 「顔を合わせずに話すのって、なんか嫌じゃない?生身の人間が同じ空間にいるのにさ。最上さんは僕の背中に話しかけているのかもしれないけど、僕の言葉は一度空間を漂って、最上さんにちゃんと届いたか見届けることができないんだよ。」

栞は眉をひそめていた。

「もうすぐ公園がある。そこで少し、いいかな。」

「あんた、なんなの?どういうつもりなの?」

栞は相変わらず眉をひそめていたけれど、口元に少しだけ笑みが見えた。



栞は急にしゃべりだして、公園のベンチに座るまで、座ってからもたくさんしゃべった。

「いろいろ聞きたいことがあるから待っててね、って言われたから待ってたのに、全然何も聞いてこないし」

「最上さんが黙っているから、なんか話しづらくて…」

「そりゃ黙りもするでしょうが。あんな現場を見られたんだよ?ストーカーってバレバレじゃん。

 それになに?あのときの顔。玄関で私が柱の陰から出てきたときの、あんたのホッとしたようなあの顔。私はてっきり、糾弾されるもんだと思ってたのに、その顔見て拍子抜けよ」

よく分からないけど、栞は憤慨していた。

「まぁ、ただ話を聞こうと思ってただけだしね。怒ったり罵ったりするのは僕の役目じゃない。そうするなら、それは北川の役目だ」

北川の名前が出た途端、栞はおとなしくなった。

勢いが「北川」という単語に吸い取られたようだ。

「そうだろうと思ってたけど、君がストーカーなんだよね」

「うん」

「教室で、僕と北川と最上さんの三人で北川のケータイを囲んでいたときにきたメールも最上さん?」

『また、アドレス変えたの?私にもちゃんと教えなきゃダメだぞ!!』というメールのことだ。

「そう。その…北川くんに話しかける前に教室の外でメールを送ったの。メールを送信しても、すぐに相手のケータイがメールが受信するわけじゃないでしょ?新しいアドレスは私の人脈を使えばすぐ手に入るし」

「自分はストーカーではありませんよ、ってアピールをしたのか。ちなみに、あのとき話しかけたのは北川にじゃなくて、僕にだけどね」

「そんなつもりはなかったけど、結果としてそんなアピールになってたかもね。私にはあれで精一杯。その…北川くんの隣にいるあんたに声をかけるだけでも精一杯なんだ」

「どうして…」どうしてストーカーじみたことをするのか、もっと他に想いを伝える方法はあったのではないか、そういったことを言おうと思ったのだが、僕が話しだす前に栞は話し出した。

「北川くんのことになると私、よく分からなくなっちゃうの」

そう言ってから僕をチラッと見た。

「だから教室で、あんたに見つかったときはパニックになって、泣いちゃって。下手でも言い訳の一つや二つ出てきそうなものなのにね」

確かに、あのときは急に泣き出すもんだから驚いた。でも、あのときあんな風に栞が泣いていなければ、今ここでこんな話はできなかった。

「私、自分が男子にモテることは自覚してるけど、北川くんには好かれている気がしないの」

今度は僕を見ず、少し離れたところにあるジャングルジムを見た。ジャングルジムは外灯に照らされている。

「どうやったら私に興味を持ってもらえるのか分からないのに、私の“好き”はどんどん膨らんでいって、手がつけられなくなったの」

「へぇ、最上さんがねぇ」

何気なくつぶやいた僕の言葉に、栞が睨んできて、大きくため息をついた。

「どうしたらいいのか、分からない。ただ、好きなだけなのに」

そう不自然に明るく言った栞の顔は、僕とは反対方向を向いていた。

ピンクのふわふわをまとった“好き”という言葉が、ポッと漂っているのだけが見える。

「なんだ、大丈夫じゃないか」

栞はあっちを向いたまま何も反応を示さなかったが、僕は続けた。

「最上さんはもう、本当の気持ちを言葉にできているじゃないか。いつもみたいな、白い仮面の言葉じゃない。本当の気持ちから生まれた言葉の力はすごいんだよ。ほら、目の前に漂っている“好き”を北川に送ってみなよ。何も伝わらないわけないよ。伝わらないことなんて、ないんだよ」

僕の言葉が、今放った言葉が栞に伝わって、あわよくば良い方向へと向かうきっかけになってほしくて、僕は恥ずかしいことを言ってしまった。

「どういう意味?よく分からないんだけど」と栞は笑っていた。

僕は余計恥ずかしくなったけれど、「意味わからない」と笑う栞につられて、一緒になって笑った。

栞が笑ってるなか、僕はケータイを取りだして電話をかけた。

『もしもし』

「もしもし、そっちのストーカーはどうなった?」

『あぁ、ストーカーじゃなかったよ。俺のファンだってさ。困っちゃうよなぁ』

困っちゃうようなぁという台詞を言って、本当に困っている人に僕は出会ったことがない。

「ストーカーも熱烈なファンみたいなもんだろ。どんな経緯でストーカーじゃないって分かったの?」

栞が笑いやんで、こちらの会話を気にしていた。

『店に入って様子を見ようかと思ったんだけどさ、やっぱりやめて、俺から声をかけたんだよ。「何か用ですか?」って、そしたら、ファンなんです!握手してください!って。話を聞いたら、こうやって後を追ってきたのは初めてみたいで、だからあのストーカーではないなって。ちょっと話して別れたよ』

「本人が後をつけたのは初めてだって言ったのを信じたのか。口からデマカセかもしれないぞ」

『口からデマカセなんてお前、久々に聞いたな。だいたい、ストーカーっていうのは、もっと陰険な奴がやるもんだろ。あの子は明るくて素直そうだったぜ』

話の内容から、僕が北川と電話していることを、栞は気づいているようだった。今の北川の素直な意見は聞こえただろうか。

「いやいや、分からないよ。明るて社交的に見えるストーカーもいるかもしれない。

 じゃあもう、帰宅中?」

『ああ、いま駅前のコンビニに寄ってるとこ。もう帰るよ』

「そうか。じゃあまた、明日ね」

『おう。じゃ』

「明るくて社交的に見えるストーカーもいるかもっていうのは、全然フォローになってないから」

通話が終わって間髪入れず、栞が詰め寄ってきた。

「別にフォローのつもりじゃないし。事実を仄めかしただけだ」

「明るくて社交的に見える、って部分は言いえて妙ね。あくまで、そのように見えるだけだから、私は」

僕は何も答えたかった。

栞はまた、笑っていた。今日だけでいろいろな表情を見たなぁと、栞の笑った顔を見ていた。

「なんか、ありがとね」



ともあれ、これでストーカー事件は解決したようだ。

次の日、北川も僕も普段通りに登校し、栞もいつものように過ごしているようだった。

相変わらず、言葉は白い仮面のままだったけれど、学校での「最上栞」としての地位を、その仮面で確立しているのだから、いきなり仮面をとるわけにもいかないのだろう。

「まぁ、しょうがないよねぇ」という感じでその様子を眺めていた。

ここ何日か、北川からストーカーの話を聞かなくなったので、本当に解決したのだろう。わざわざ確かめるほどのことでもない。

それにしても、公園で栞に「ありがとね」と言われたときは驚いた。北川のことが好きだということを知らなければ、僕のことを好きなのかと勘違いするような、色や雰囲気だった。

その言葉を見て、僕はちょっとだけ栞を可愛いと思うようになった。


H27.2.9に完成させた作品。小説として形になったものはこれが生まれて初めてです。

ノートに書いて自己完結してたと思っていたら、ちゃんとwordに入力していました。

この作品、メモ帳に書いてたら、知り合いに見られちゃったんだよなあ。

@砂糖

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