私の恋はまだ終わらない
「………え?」
少年の予想外の言葉に
少女は全身が硬直していた。
「どうしたの?」
「僕の醜すぎる声に驚いてドン引きしちゃった?」
「ゴメンね?僕みたいな社会のゴミクズが
キミのことを助けるなんておこがましいよね♪」
え?ちょっと……なに…?
「ところで…………大丈夫?怪我はない?」
「!!!!!!」
気付けば私はしりもちをついていたらしく、
間抜けに地べたにへたりこんでいる。
そんな私に彼は手を差し伸べてくれた。
「ありがとう……ございます!!!」
「あはは♪さっきからお礼を言ってばかりだね♪」
私は彼の手を有りがたく取った。
「あ!!あの!!」
「なんだい?」
「お名前を………お聞きしても……」
「あ、警察と消防車が来たね♪」
視線を他に移すと消防車とパトカーが来る音が
段々と近づいてきてる。
「じゃ、僕は行くね♪」
少年は走って何処かに行ってしまった
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「はぁぁぁぁぁ………」
「なんとか間に合った!!!!!!」
少女は入学式に間に合い教室でHRを終えたところだ。
「どうしたのー?カレン」
私に話し掛けて来た3人の少女……
右は高橋鶫、少女漫画が好きな眼鏡女子。
見た目は大変知的だが…中身はかなりの個性的。
左は新田壱葉、長身で黒髪のお姉さん的存在。
さっきはクラスの学級委員長になったところだ。いつも冷静な
ツッコミを入れてくれる。
真ん中にいるのはこのメンバーのおバカ担当。
テストはいつも赤点を取る居残りの常習犯。九九がわからない。
そして物凄くうるさい。いい意味では凄く元気。
みんな中学からの付き合いだ。
「うぅぅぅぅぅぅ」
「今日、車に轢かれそうになった。」
「マジか!!!??」
「ここの先輩に助けてもらった。」
「マジか!!!??」
「そして先輩に一目惚れした。」
「アンタの今日スゴいな!!!!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
廊下を歩きながら、今朝出会った先輩のことを考える。
物凄く変な人だったが、私を命掛けで守ってくれた。
そして彼は何故、見ず知らずの自分を助けてくれたのか……
会って理由を聞きたかった。そしてもう一度ちゃんとお礼を言いたい。
「(そういえば…………)」
「(あの人が私の前に立った瞬間、急に車が方向を変えたな……)」
「(なんか……まるで無理矢理、不思議な力で方向を変えたみたいに……)」
「女子バレー部入りませんかー?」
「ふぇ!?」
突如、ボーっとしていた私の脳を
叩き起こした女性の声。
部活の勧誘だろうか?
噂はやはり噂だったらしい。
この学校は至って普通の高校だ。
教師も普通、生徒も普通、部活もふ………
『お悩み解決部』
普通!!!!!??????
聞いたことの無い部活。
部室らしきドアに貼り紙が貼ってある。
何だろう?
名前の通り、お悩みを解決する部活だろうか……
私は部室のドアをノックした。
コンコン
「入ってどーぞ」
女性の声が聞こえてきた。
OKを貰えたので遠慮なく部室に入ると……
「あはは♪」
「ようこそ………」
「お悩み解決部へ♪」
白くふわふわした頭
赤く怪しい魅力のある瞳
ニコリと笑う少年の顔
私の恋は
まだ終わらない。