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64 理想と現実は一致しない

前話につきまして内容を投稿日に複数回訂正しております。

もしかしたら話のつながりに違和感を感じる方がいらっしゃるかもしれません。

そうなってしまっていたら申し訳ありません。

田中次郎 二十八歳 彼女有り

彼女 スエラ・ヘンデルバーグ 

   メモリア・トリス

職業 ダンジョンテスター(正社員)

魔力適性八(将軍クラス)

役職 戦士


どうにか第一関門は突破できた。

あとは勇者である学生たちと面と向かってからの反応次第だが、監視付きで話し合うとなれば途中で止められる可能性もある。

それを想定しつつ、しっかりと話を聞かせなければ……それこそ二度と勇者をしようなんて思えないようにへし折らねば。


「どうかしたかね?」

「いえ」


おっと、つい悪い笑みが出そうになった。

これからやる計画の再確認と変更がないか確認しながら司教の言葉を笑顔で受け流す。

待合室から連れ出されて向かうのはいったいどこなのやら、闇ギルドの経営する酒場に比べればわかりやすい道のりを頭に叩き込み脱出路を確認しながらの道中だ。


「そうかね、ところでタナカ殿は随分とお若そうだが歳はいくつになるかな?」

「ええ、今年で二十九になりますね」

「その若さでこのような大任を任されるとは随分のやり手のようで」

「若輩の身ながら過分の評価を頂いてますよ」


しかしこの狸親父め。

誰だコイツと言いたいぐらいの変わり身だな。

さっきまでの高圧的な態度は仮面だったかと思わせる穏やかな口調で温和な表情。

俺の背後に見えぬ国が控えると予測した段階で態度は段々と変わっていったのはわかった。

厄介なのはその間の取り方だ。

それに気づき理解していたが、まるで違和感を感じ取れなかった。

意識して警戒していなければきっとそれが普通なのだと騙されていたレベルで、先程までの剣呑な雰囲気から今の穏やかな雰囲気への変わり方に違和感がない。

さっきの口調は仕方なかったと本当はしたくはなかったと言わんばかりだ。

だからこうやって嘘は言わないが真実を言わない無難なスタイルを貫いている。

あとは勝手に相手が勘違いしてくれれば儲けものだが……


「そうですか、あなたのような部下を持ててきっと上司の方は鼻が高いでしょうな」

「でしたら幸いですね」


それは難しそうだな。

さっきから仲良くなりましょうという政治家トークが止まらん。

正直に言えば表情筋が疲れてきたぞ。

笑顔って意外と頬の筋肉を使うんだな、こんなに笑顔を続けたことがないから初めて知ったよ。

知りたくもなかったがな。

さて、表情筋が硬直するのを感じながら現在位置を確認する。

方角からして段々とこの土地の中心地に向かっているのは間違いない。

進んだ距離は精々数十メートル、百にはいっていないと思うが正確な距離は不明だ。

要所要所に兵士がいるのは想定内だ。

司教への会話は必要最低限の受け答えで対応しながら、正面に見える有視界の中での判断だが間違いではないだろう。

どんどんと奥に進んでいるのは俺を逃がさないためか、それともただ単純に勇者と会えるのはこの奥にしかないのか。

最悪は着いた場所で騎士に囲まれることだが、可能性は低いだろうと思いたい。

素直に勇者たちに会わせてもらえるかは正直半々といったところだ。

俺の立場は嘘に嘘を重ねてさらにハッタリという皮をかぶることで異国の大使だと思わせている。

おかげで対応はデリケートにしなければならないと思ってくれているはずだ。

なのでもう半分の可能性で勇者ではなく司教よりも偉い人の面会という可能性がある。

それは勘弁だと願う、その正体は普通ではないがただのサラリーマンだ。

バレたらいったいどんな反応をしてくれるのやら。

少なくともお偉いさんを騙しているのだ、まともな死に方はしないだろうな。

そう簡単に死ぬ気はないし全力で抗う気満々ではあるが。


「だいぶ奥まで来ましたが、彼らはここにいるので?」

「いえ、彼らはもっと奥の神殿幹部の宿舎で寝泊まりをしておりますので移動と身支度に時間がかかります。焦らずともこの先の会議室で会えますよ」

「そうですか」


そんなことを考えていることを欠片も感じさせないように笑顔をさらに固める。

そのことにこの狸親父は気づいているだろうか?

とりあえず今言えるのは、タバコが猛烈に吸いたいという禁煙三日目に突入した禁断症状に似た我欲を我慢するのが大変ということだ。

これから未成年を相手にするということで我慢しているが、どうにかならんのかねぇ。

ダメもとで一本吸っていいかと聞いてみるか?


「こちらです、いかがですか見事な調度品でしょう」

「ええ、見事なものです」


だがタイミングを逃したのでもうしばらくタバコはお預けのようだ。

そして笑顔の仮面の口から出た言葉と反して俺は内心ではツッコミの嵐だった。

宗教ってのは質素倹約が基本ではと言いたくなるような金銀宝石を潤沢に使った調度品の数々、成金趣味全開の無駄にきらびやかな絵画たち、足場を悪くすることが目的なのかと聞きたくなるほど足が深く埋まる絨毯。

一言で言えば趣味が悪い。

いや、単純に俺の趣味に合わないだけなのかもしれないが、ここで落ち着けと言われたら無理だと断言する自信がある。

口元は引きつっていないよな?

どもっていないよな?

さっきから調度品の歴史を語る司教の内容など右から左に流れている。

返事など、ええ、はい、そうですねの三パターンのみだ。

心底どうでもいいと言いたかったが、営業の仕事はこうやって客の無駄話を聞くのも仕事のうちだ。

悲しいかな勇者という商品を引き出すまではこの会話に付き合わなければいけない。

しかし、さっきから視線が鬱陶しい。

一人や二人ではない。

少なくとも四人、様々な角度から視線を感じる。

この部屋に案内される道筋でも遠くから観察されているのは気づいていた。

いやはや漫画みたいに視線を感じ取れるようになったっていうのは面白いことだが、品定めされているのは面白くはない。

思うに、この視線の何人かは目の前の司教と同等かそれ以上の立場の人間だろう。

となるとだ。

このあとの会話も自然と聞くことになる。

さてさて、そんな環境で用意される勇者となれば……どんな奴が来るかね。


「ふむ、どうやら来たようですね」

「みたいですね」


調度品の説明を中断してノックされた扉を注視する司教に従って俺もそちらに視線を向ければ中々の魔力を感じ取ることができる。

魔力適性は少なくとも六以上かと当たりを付ける。


「入りなさい」

「は、はい、失礼します」


まだ粗さが見てとれる魔力の流れを感じながら司教に促されて入ってきたのは、クラスに何人かはいるであろう平凡と言うべき容姿の少年だった。

そのパターンできたかとこのあとの行動を少し修正する。


「あの、呼ばれて来たのですが」

「うむ、朝早くから呼び出してすまないが君たちへの客人でな」

「お客ですか? 誰……ってスーツ!?」

「ご紹介に与った田中次郎だ。わかりやすく言うなら日本人と言うべきかな?」


いきなり全員と面会できるとは思わなかったが、この少年なら納得の人選だ。

目を瞬いて驚く姿は第一印象のとおり純朴そうな少年だ。

こういった子は言ってはなんだが試金石にはもってこいの人材だ。

クラスへの影響力が良くも悪くもない。

仮に俺に影響されても問題はない人材というわけだ。

彼一人が帰還されても他の勇者には影響しないという目論見が垣間見える人選に悪意を感じながらも、目の前の彼には問題があるわけではない。

だが、心の中で先に謝っておく。

そして聞こえない謝罪を済ませ笑顔を絶やすことなく挨拶をする。


「え、えと僕は鈴木太一と言います!えと、あの、田中さんは僕と同じ勇者なんですか?」

「この歳で勇者を名乗るのはなかなか勇気がいりますね。そういった意味では勇者と名乗ることはできるかもしれないがあいにくと私はそういった立場の人間ではない。もっとシンプル。そう、君たちを迎えに来た役割を持つ人間さ」

「そうなんですか? でもそう簡単に日本とイスアルは行き来できないんじゃ?」


それに返ってくる対応はやはり素直だ。

汚れていないともとれるようなオーソドックスな対応に若いなと自分が年老いてしまったと思わせる。


「そうだね、詳しく説明するにも時間がかかる。まぁ座ってください」


暗に疑問に答えてあげるよといいながら着席を促せば彼は言われるまま司教の隣に座る。

チラリと司教の方を盗み見ても無反応だ。

静観の姿勢か、なるほどね。


「さて、先ほどの質問だけど答える前にいくつか君は僕に日本の質問をしてほしい」

「? なんでですか?」

「ここの国の人からすれば私は日本人かどうか怪しい存在だ。まずはそれを証明しないといけないんだ」


話はまずそれからだと言い、彼はなるほどと納得しいくつか俺に質問を飛ばしてきた。

それは歴史の問題であったり地理の問題、ニュースに出てくるアイドル情報であったり日本人であれば簡単に答えられるものばかり。


「さて、司教様、今のところ全て全問正解ですが、いかがですか?」

「……勇者タイチよ、この者は同郷の者であるといえるか?」

「絶対とは言えませんが……僕は間違いなく日本人だと思います」

「そうか、ならその言葉を信じ貴殿を信じようと思う」

「ありがとうございます」


どうやらグレーゾーンから脱することはできたかね。

それでもいつでもグレーになる立ち位置ではあるだろうな。

お礼を言いようやく整った場に気合を入れる。

これからすることを考えれば信じてくれた少年を裏切るようで心が痛むが、ここは心を鬼にして行くしかない。


「では最初の質問に答えましょう。確かに簡単ではないけど行き来する方法はある」


ここで初めて俺は手札を晒したと言える。

本来であればどうやってイスアルと日本を行き来するかは最重要といってもいい秘密だ。

それこそ手段の有無も十分交渉の手札となる。

手痛くはないが、関心を引くには十分だろう。

そして


「そうなんですか」


普通なら驚いて喜ぶハズの鈴木少年は思ったよりも淡白な反応を見せてくれた。


「うん、その手段を使って私は君たちを迎えに来たんだ。君たちが行方不明になってからだいぶ経っている。親御さんも心配なさっているよ」

「……はい」


次に情に訴えかけるように言えば申し訳なさそうに、そして言いづらそうに返事を返す。

これは何かあると言っているようなものだ。


「どうかしたのかい? もっと喜ぶかと思ったけど」

「あの、言いにくいのですけど」

「いいよ、言ってご覧」

「僕たちはまだ帰れません。ここでやるべきことがあります」

「……それは今君たちがしないといけないのかい?」


そして悪い予感は彼が司教の隣に座った段階で感じていた。

いや、この場合は予感というより悪い予測だろうか。

先ほど彼を純朴だと評したが間違いないだろう。

会話をして態度を見て雰囲気を感じ取り、彼は素直で真面目でどこにでもいる少年だろうと確信できた。

だがその評価は俺にとっては悪く評価したものだ。

平凡が故に憧れに染まりやすい。

平凡が故に自分が特別であるという言葉を欲しがる。

彼にとって勇者というのは麻薬に近い。

でなければ本来は天秤に掛けてはいけないものをその台座に載せるわけがない。

彼を見て確信した。

この国は勇者を手放す気はない。

最初から予想はしていたが、これで確信が持てた。

となると俺の取る手段は自然と決まってくる。


「はい、これは僕たちがしないといけない使命なんです!」


自信満々に言ってくれるねぇ。

責任感が強いのか正義感が強いのか、はたまた両方か。

どっちにしろ、悪くはないが面倒だな。

新入社員によく見られるやる気に溢れる目つきだ。


「だから、帰るのはそれが終わってからで、あ、安心してください! 役割が終わればきちんと帰り道を用意してくれると約束してくれてますので!!」


さてさて、この少年は真剣に語っているのだろうが気づいているのだろうか?

自分が何を言っているのか。


「そのために親の心配を無下にしても?」

「その、こんなことを頼むのもなんですが僕たちのことを親に伝えてもらえませんか? そうすれば心配はしないと思いますので」


分かっていないのだろうねぇ。

でなければこんなことを俺に頼むわけがない。

アメリアに渡したファイルはこんな感じの子を予防するために渡したのだが、この子には意味のない産物だったらしい。


「それは君たちの総意かな? それとも君個人の意志かな?」

「皆同じ気持ちだと思います!」


ふむ、若い。

元気があり自信に満ちた返答だ。

本人も言い切ったと言わんばかりの笑顔だ。

さて、俺は大人の対応といこうか。


「そうですか、分かりました」

「はい、ですので両親への説明はよろしくお願いします」

「お断りします」

「え?」

「ですから、お断りします」


鈴木少年にとってはこれで終わりのつもりであったのだろうが、あいにくとこれで終わりになるほど大人の世界は甘くないんだよ。

ああ、勝を知ってるからもう少しまともな判断が聞けると思ったが、全員が全員あんな大人びた思考ができるわけがないか。

勝手に期待しておいてなんだが、失望したと言うしかない。

聞き手に回るのは終わりだ。

ここからは悪いが一方的にいかせてもらう。


「君は勇者という役割を終えて無事日本に帰れると思っているのですか?」

「で、できます」

「その根拠は?」


するりと俺の中で冷めた感情が鎌首をもたげる。

蛇がカエルを睨めつけるように笑顔で鈴木少年を睨みつけると、いきなりガラリと雰囲気の変わった俺に彼は気づいたのかさっきの自信を捻り出して返事を返す。


「聖女様が責任をもって返してくれると言ってくれました!!」


なるほど、この国の地位のある人が言っているから大丈夫ということか。

自信の根拠はそれか、あの人が言っているから大丈夫という典型例か。


「それは無事に日本に送り返してくれるという保証でしょう? 日本に帰ってからの生活の保証ではないでしょうね」

「え?」

「あなたはもう少し現実というのを見たほうがいい。先ほど私は言いましたよね。貴方がたが行方不明になってから『だいぶ』経っていると。具体的に言えば君たちがこっちで過ごした同じ日数は過ぎている。すなわちもう夏休みは終わっていますね」


時間というのは残酷で、日本という国は一側面で残酷な現実を持つ。


「君たちが勇者としての役割を終えるのにいったいどれくらい掛かるかわかりませんが、少なくとも一年や二年では終わらないでしょう。長ければ十年単位で時間が経過するでしょう。戦争というのはそういうものです。君たちも知っているでしょう? 百年戦争や第二次世界大戦を、国同士の戦いというのはこっちが悪かったからごめんなさいで終わるほど簡単な代物ではない。ゆえに長引く。結果君たちの役割も長期的になります」

「それは、僕たちには関係ない話では?」

「関係ない、君たちは魔王の残骸を倒せばそれで役割は終了だと? だからそこまで時間はかからないと?」

「そ、そうです!!」

「では、その魔王の残骸を倒すまでの過程にいったいどれくらいかかるでしょうと聞き返します。こちらで集められる限りの情報ですが、あれは主戦力級の切り札です。敵が簡単にたどり着けさせてくれるでしょうか? 簡単に倒させてくれますかね。私ならそんなことをさせないように何重にも手を打ちます。幸いなことに堂々とこの国は勇者がいるぞと宣伝してくれていますから警戒はできるでしょう」


あの手この手で時間は残酷に経過していくだろう。

一ヶ月ならインフルエンザにかかった程度だとあきらめがつく。

二ヶ月なら少し重い怪我をした程度だと挽回する気力が湧くだろう。

だが、それが一年、二年となったらどうだろうか。

学校は中退だ。

行方不明で特別処置があるかと聞かれればあるかもしれないが、それはそれ専用の施設になるだろう。

彼が想像するような元通りの生活にはまず戻れない。

早くて成人する前に遅ければ二十代も半ばを過ぎて下手をすれば三十代になって日本に帰還しても待っているのは残酷な未来だけだ。

勇者なんて職歴に書けるわけもなく、仮に説明しても精神を患っているとしか思われない。

就職はまず無理だろう。


「……」


そこまでの内容を説明する段階にはもう少年は何も言えなくなっている。

いや何かを言おうとはしているが、言葉がまとまっていない。

できるのは夢を邪魔しようとしている敵に向けてにらめつける行為だけだ。

痛くも痒くもないその行動にやはりまだ子供だと思い、あとは流れ作業だと思考を切り替える。

次の言葉を用意しつつ、これ以上は止めに入るかと思ったが、司教は何も手を出してこない。

さっきからチラリと鈴木少年が助けを求めているのにもかかわらずだ。

何を考えているのかわからない。

沈黙の中に潜む何かを感じ取れるが測れない。

何かあるかと警戒心はじわりじわりと上がっているが、対処のしようもないことは後回しにするしかない。

今は目の前の前座に集中するとしよう。


「そして私はさっきから気になっているのですが、君は武器を振るって生き物を殺して元の生活に戻れると思っているのですか?」


嫌な雰囲気を感じつつも大人気ないが少年の夢を打ち砕きにかかる。

生き物を殺すことを生業にする勇者を経験して、そんな経験などまずしない日本の環境に戻れると思えるかと問われればこういう解答が出てくるだろう。

一般人は無理だと答え、勇者を経験した人物は可能だと自分ならできると答えるだろう。

後者であるこの少年も思っているようだが、ダンジョンで戦闘を経験している俺から言わせてみればもう普通に戻るには一切の記憶を消してもらわなければ無理だろうと言える。

これがクマやウサギなどの動物程度ならまだカバーが効いて社会復帰は可能だろう。

だが、これからやるのは戦争だ。

人間を殺すことになる。

そうなればもう日常に戻ることはできないだろう。

一度殺してしまえばこの少年、いや勇者となった少年少女たちは悪を裁く行動の中に殺すという選択肢を入れてしまう。

怖気が走る。

それは日本社会の中で無垢だと思われる少年少女の中に爆弾を常に携帯して生活している人間が混じるということだ。


「でも、えっと、僕は」


思考が止まったか。

何を言えばいいのか、指摘された内容に思考が追いついていない。

そこまで深く考えていない人間が陥りやすい混乱状況だろう。

そんなことありえないもっと綺麗な物語が待っている。

苦労も苦節もするだろうが、最後はハッピーエンドで終われると思っていたのか。

そんな夢を打ち砕かれ、憧れを否定され、現実を見せられた鈴木少年は何をすればいいか何を言えばいいかわからなくなってしまったようだ。

勇者をするにあたって名誉と栄光は得られるだろうが、その反面日常と日本での常識を切り捨てなければやってはいけない。

鈴木少年はそこら辺を理解できていなかった。

もし仮にそれを理解していたらもっと別の展開が待っていただろう。

そのリスクを理解し納得できていたらと仮定の話を想像しそうになったが、そこで話は終わりだ。

思考を打ち切り、ターゲットを司教に移す。


「さて、鈴木くんは気が動転しているようなのでこれ以上話は無理のようですね、なので」


ゆっくりと姿勢を整えて司教を前に見据える。


「交渉は後日としましょう、こちらにも段取りがありますので今日はこれにて失礼させてもらいます」

「なんだと!?」


すっと笑顔で立ち上がって言い放った俺の言葉を待ち受けていた司教はがたんと驚き立ち上がってしまった。

それを見て初めてこの狸親父に一泡吹かせたと思えた。



田中次郎 二十八歳 彼女有り

彼女 スエラ・ヘンデルバーグ 

   メモリア・トリス

職業 ダンジョンテスター(正社員)

魔力適性八(将軍クラス)

役職 戦士


今日の一言

ツンデレってある意味交渉の基礎のような気がするなぁ。割合によるが。


今回は以上となります。

勇者がボコボコにされる描写ばかりで申し訳ありませんがもう少しで勇者が活躍できると思いますのでご容赦の方よろしくお願いします。

これからも本作をよろしくお願いします。

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